468 / 556
468話 縮まった距離
しおりを挟む
ポーラ姫は眼を閉じると
期待に満ちた表情で静止している。
彼女のこの行動には見覚えがある。
ああ…そういうことか…。
俺はポーラ姫が望むことを即座に理解した。
そして俺は彼女が望むままに、
その頭を優しく撫でた。
「はあ…やっぱりお兄様のナデナデは至福ですわ…」
ポーラ姫はうっとりとした表情を浮かべると、
気持ちよさげに答えた。
妹が満足してくれれば何よりである。
「こらポーラ!
またそうやって兄君様にすぐに甘えて…」
「だってミリィお姉様…
ユウカ様がお兄様に優しくナデナデされてる姿を見たら、
ポーラ羨ましくなってしまいましたもの。
ユウカ様ったら、
あんなにも幸せそうな御顔を浮かべているんですもの…
これは不可抗力ですわ」
「えっ!?
違っう…」
「優羽花お前…
俺からずっとそっぽを向いてたから
気付かなかったけど、
そんな顔していたのか?」
「ちちち違う馬鹿お兄相手に
そんな顔する訳無いじゃないいい!!」
「だってユウカ様?
あんなにもお口を緩まらせて、
至福に満ちた御顔をしてたじゃ無いですか…?」
「ポーラさあんっ!
それ以上は言わないでええーーっ!」
「ユ…ユウカ様っ、ふぎゅっ」
優羽花はポーラ姫を羽交い絞めにして
その口をを塞ごうとする。
「何だ優羽花。
俺に頭を撫でられてそんなにも嬉しかったのか?
だったら素直にそう言ってくれれば良いのになあ。
よし今からお前が気が済むまで撫でてやるぞ?」
俺はここぞとばかりに、
指をわきわきと動かす素振りを見せながら
ニヤニヤした顔で優羽花を見つめながら言葉を述べた。
「こ、このおおっー!
馬鹿お兄っ!!
また調子に乗って!
殺す!
お兄を殺して!
あたしも死ぬううううーー!!」
俺に向かって飛び掛かろうとする優羽花を
ポーラ姫が後ろから羽交い絞めにして押し留めた。
これは…見事な形勢逆転、と言うべきだろうか?
「ポーラさん離してえーー!」
「ユウカ様、落ち着いて…ですわ!」
「おや?
何だか…優羽花とポーラ姫の距離が
以前よりだいぶ縮まったというか…
随分と仲良くなっている気がするなあ」
「そりゃあそうだよ兄君様、
ユウカ相手にポーラとボクで組手鍛錬を連日していたからね。
こんなにもずっと三人一緒に居れば、
身体の距離と一緒に心の距離も縮まって仲良くなるのは当然だよ」
なるほど…
不器用な武術家同士は容易には語らず、
拳で語り合って互いに交流を深めるというやり方があるが…
優羽花とポーラ姫とミリィも、
拳をぶつけ合うことで仲良くなったということだろうか?
勇者と姫と公爵が互いの拳を通して交流を深めるというのは、
何だか名称から来るスマートなイメージとかけ離れているような気がしたが…
俺は気士、武術家の端くれの身としては概ね納得する内容である。
期待に満ちた表情で静止している。
彼女のこの行動には見覚えがある。
ああ…そういうことか…。
俺はポーラ姫が望むことを即座に理解した。
そして俺は彼女が望むままに、
その頭を優しく撫でた。
「はあ…やっぱりお兄様のナデナデは至福ですわ…」
ポーラ姫はうっとりとした表情を浮かべると、
気持ちよさげに答えた。
妹が満足してくれれば何よりである。
「こらポーラ!
またそうやって兄君様にすぐに甘えて…」
「だってミリィお姉様…
ユウカ様がお兄様に優しくナデナデされてる姿を見たら、
ポーラ羨ましくなってしまいましたもの。
ユウカ様ったら、
あんなにも幸せそうな御顔を浮かべているんですもの…
これは不可抗力ですわ」
「えっ!?
違っう…」
「優羽花お前…
俺からずっとそっぽを向いてたから
気付かなかったけど、
そんな顔していたのか?」
「ちちち違う馬鹿お兄相手に
そんな顔する訳無いじゃないいい!!」
「だってユウカ様?
あんなにもお口を緩まらせて、
至福に満ちた御顔をしてたじゃ無いですか…?」
「ポーラさあんっ!
それ以上は言わないでええーーっ!」
「ユ…ユウカ様っ、ふぎゅっ」
優羽花はポーラ姫を羽交い絞めにして
その口をを塞ごうとする。
「何だ優羽花。
俺に頭を撫でられてそんなにも嬉しかったのか?
だったら素直にそう言ってくれれば良いのになあ。
よし今からお前が気が済むまで撫でてやるぞ?」
俺はここぞとばかりに、
指をわきわきと動かす素振りを見せながら
ニヤニヤした顔で優羽花を見つめながら言葉を述べた。
「こ、このおおっー!
馬鹿お兄っ!!
また調子に乗って!
殺す!
お兄を殺して!
あたしも死ぬううううーー!!」
俺に向かって飛び掛かろうとする優羽花を
ポーラ姫が後ろから羽交い絞めにして押し留めた。
これは…見事な形勢逆転、と言うべきだろうか?
「ポーラさん離してえーー!」
「ユウカ様、落ち着いて…ですわ!」
「おや?
何だか…優羽花とポーラ姫の距離が
以前よりだいぶ縮まったというか…
随分と仲良くなっている気がするなあ」
「そりゃあそうだよ兄君様、
ユウカ相手にポーラとボクで組手鍛錬を連日していたからね。
こんなにもずっと三人一緒に居れば、
身体の距離と一緒に心の距離も縮まって仲良くなるのは当然だよ」
なるほど…
不器用な武術家同士は容易には語らず、
拳で語り合って互いに交流を深めるというやり方があるが…
優羽花とポーラ姫とミリィも、
拳をぶつけ合うことで仲良くなったということだろうか?
勇者と姫と公爵が互いの拳を通して交流を深めるというのは、
何だか名称から来るスマートなイメージとかけ離れているような気がしたが…
俺は気士、武術家の端くれの身としては概ね納得する内容である。
0
お気に入りに追加
38
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる