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468話 縮まった距離
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ポーラ姫は眼を閉じると
期待に満ちた表情で静止している。
彼女のこの行動には見覚えがある。
ああ…そういうことか…。
俺はポーラ姫が望むことを即座に理解した。
そして俺は彼女が望むままに、
その頭を優しく撫でた。
「はあ…やっぱりお兄様のナデナデは至福ですわ…」
ポーラ姫はうっとりとした表情を浮かべると、
気持ちよさげに答えた。
妹が満足してくれれば何よりである。
「こらポーラ!
またそうやって兄君様にすぐに甘えて…」
「だってミリィお姉様…
ユウカ様がお兄様に優しくナデナデされてる姿を見たら、
ポーラ羨ましくなってしまいましたもの。
ユウカ様ったら、
あんなにも幸せそうな御顔を浮かべているんですもの…
これは不可抗力ですわ」
「えっ!?
違っう…」
「優羽花お前…
俺からずっとそっぽを向いてたから
気付かなかったけど、
そんな顔していたのか?」
「ちちち違う馬鹿お兄相手に
そんな顔する訳無いじゃないいい!!」
「だってユウカ様?
あんなにもお口を緩まらせて、
至福に満ちた御顔をしてたじゃ無いですか…?」
「ポーラさあんっ!
それ以上は言わないでええーーっ!」
「ユ…ユウカ様っ、ふぎゅっ」
優羽花はポーラ姫を羽交い絞めにして
その口をを塞ごうとする。
「何だ優羽花。
俺に頭を撫でられてそんなにも嬉しかったのか?
だったら素直にそう言ってくれれば良いのになあ。
よし今からお前が気が済むまで撫でてやるぞ?」
俺はここぞとばかりに、
指をわきわきと動かす素振りを見せながら
ニヤニヤした顔で優羽花を見つめながら言葉を述べた。
「こ、このおおっー!
馬鹿お兄っ!!
また調子に乗って!
殺す!
お兄を殺して!
あたしも死ぬううううーー!!」
俺に向かって飛び掛かろうとする優羽花を
ポーラ姫が後ろから羽交い絞めにして押し留めた。
これは…見事な形勢逆転、と言うべきだろうか?
「ポーラさん離してえーー!」
「ユウカ様、落ち着いて…ですわ!」
「おや?
何だか…優羽花とポーラ姫の距離が
以前よりだいぶ縮まったというか…
随分と仲良くなっている気がするなあ」
「そりゃあそうだよ兄君様、
ユウカ相手にポーラとボクで組手鍛錬を連日していたからね。
こんなにもずっと三人一緒に居れば、
身体の距離と一緒に心の距離も縮まって仲良くなるのは当然だよ」
なるほど…
不器用な武術家同士は容易には語らず、
拳で語り合って互いに交流を深めるというやり方があるが…
優羽花とポーラ姫とミリィも、
拳をぶつけ合うことで仲良くなったということだろうか?
勇者と姫と公爵が互いの拳を通して交流を深めるというのは、
何だか名称から来るスマートなイメージとかけ離れているような気がしたが…
俺は気士、武術家の端くれの身としては概ね納得する内容である。
期待に満ちた表情で静止している。
彼女のこの行動には見覚えがある。
ああ…そういうことか…。
俺はポーラ姫が望むことを即座に理解した。
そして俺は彼女が望むままに、
その頭を優しく撫でた。
「はあ…やっぱりお兄様のナデナデは至福ですわ…」
ポーラ姫はうっとりとした表情を浮かべると、
気持ちよさげに答えた。
妹が満足してくれれば何よりである。
「こらポーラ!
またそうやって兄君様にすぐに甘えて…」
「だってミリィお姉様…
ユウカ様がお兄様に優しくナデナデされてる姿を見たら、
ポーラ羨ましくなってしまいましたもの。
ユウカ様ったら、
あんなにも幸せそうな御顔を浮かべているんですもの…
これは不可抗力ですわ」
「えっ!?
違っう…」
「優羽花お前…
俺からずっとそっぽを向いてたから
気付かなかったけど、
そんな顔していたのか?」
「ちちち違う馬鹿お兄相手に
そんな顔する訳無いじゃないいい!!」
「だってユウカ様?
あんなにもお口を緩まらせて、
至福に満ちた御顔をしてたじゃ無いですか…?」
「ポーラさあんっ!
それ以上は言わないでええーーっ!」
「ユ…ユウカ様っ、ふぎゅっ」
優羽花はポーラ姫を羽交い絞めにして
その口をを塞ごうとする。
「何だ優羽花。
俺に頭を撫でられてそんなにも嬉しかったのか?
だったら素直にそう言ってくれれば良いのになあ。
よし今からお前が気が済むまで撫でてやるぞ?」
俺はここぞとばかりに、
指をわきわきと動かす素振りを見せながら
ニヤニヤした顔で優羽花を見つめながら言葉を述べた。
「こ、このおおっー!
馬鹿お兄っ!!
また調子に乗って!
殺す!
お兄を殺して!
あたしも死ぬううううーー!!」
俺に向かって飛び掛かろうとする優羽花を
ポーラ姫が後ろから羽交い絞めにして押し留めた。
これは…見事な形勢逆転、と言うべきだろうか?
「ポーラさん離してえーー!」
「ユウカ様、落ち着いて…ですわ!」
「おや?
何だか…優羽花とポーラ姫の距離が
以前よりだいぶ縮まったというか…
随分と仲良くなっている気がするなあ」
「そりゃあそうだよ兄君様、
ユウカ相手にポーラとボクで組手鍛錬を連日していたからね。
こんなにもずっと三人一緒に居れば、
身体の距離と一緒に心の距離も縮まって仲良くなるのは当然だよ」
なるほど…
不器用な武術家同士は容易には語らず、
拳で語り合って互いに交流を深めるというやり方があるが…
優羽花とポーラ姫とミリィも、
拳をぶつけ合うことで仲良くなったということだろうか?
勇者と姫と公爵が互いの拳を通して交流を深めるというのは、
何だか名称から来るスマートなイメージとかけ離れているような気がしたが…
俺は気士、武術家の端くれの身としては概ね納得する内容である。
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