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458話 若き魔竜の憤り
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「アポクリファル様…
ワレにはッ、
同胞を敵に捧げて自身の保身のみを計ることなど
理解できないッ!
これが人間というモノなのですかッ!?」
「リュシウムよ。
人間という種族は儂ら魔族とは大きく違う生き物じゃ。
儂らは個体としては強いが数が少なく長命。
対して人間は個体としては弱いが数がとても多く短命。
故に生存方法として若い個体を犠牲にしてでも、
敵に命乞いをしてでも、
生き延びるという方法もまかり通るのかも知れんのう。
より若い者を生かして種としての未来を繋ぐ
生物としての理からは外れるのは儂にも不可解じゃが、
それが人間が選んだ種としての道なのか…
それともこの教会という集団のみが至った道なのか…
それは今後の人間への研究を進めることで解るかのう?」
「しかしワレには…
その様な同胞に対する裏切りに対して
怒りしかないッ…
こんな奴等…我が吐息で
問答無用で吹き飛ばしてしまいたいッ!!」
「若き魔竜リュシウムよ、
その憤りはわからんでもないがのう…
所詮人間は儂らの敵じゃ。
奴等が愚かな選択をするなら、
儂らはそれに乗っかって利を取れば良いだけじゃ。
奴等が儂らと手を組みたいというの言うのなら、
黙って受けてやれば良い。
あの生贄の人間の女達は
折角くれるというんじゃから、
有難く受け取るとしようではないか?」
「アポクリファル様ッ、
念のために申しますが…
魔竜であるワレは魔素さえあれば生きていけます。
人間の女の血肉も魂も一切不要ですぞッ!
…ま、まさか!?
魔導実験にあの生贄の女たちを使われるというのですか!?
しかし、魔導具の力に普通の人間の肉体では耐えられませんぞ…
流石は狂魔導学者として魔界で名を馳せる御方、
何という恐ろしい…」
「そんな勿体ないことはせんわい!
せっかく人間の生きた個体が手に入ったんじゃ。
丁重に扱って飼わせて貰うわい。
お主は本当になかなか言う様に成ったのう…。
幸いにも人間を飼えるだけの肉などといった食料の類は、
領主や商人から受け取ったモノが
凍結魔法で氷漬けにしてあって豊富じゃしのう。
それに他に何か足りないものがあったら人間共に調達させれば良い。
そういうことじゃリュシウム。
此処は教会の話に乗ってみんか?」
「アポクリファル様…了解したッ!」
魔竜リュシウムは長い首をも伸ばすと
教会長クリストの頭上に静止させた。
「良いだろう教会の人間共よ…
その生贄たちに免じて…
オマエ達の身と安全は保障してやろうでは無いかッ!」
「ははっ、
偉大なる魔竜リュシウム殿…
ありがとうございますじゃ。
これからも定期的に贄を捧げさせて頂きますので
今後もどうぞ良しなに…」
(こ、こ奴等ッ…!?)
リュシウムはクリストの言葉に内心怒りに震えたが、
その感情を飲み込んで、
咆哮として吐き出した。
「グオオオオオッーー!」
魔竜の怒りに満ちた凄まじい咆哮は、
竜穴全体に響き渡った。
ワレにはッ、
同胞を敵に捧げて自身の保身のみを計ることなど
理解できないッ!
これが人間というモノなのですかッ!?」
「リュシウムよ。
人間という種族は儂ら魔族とは大きく違う生き物じゃ。
儂らは個体としては強いが数が少なく長命。
対して人間は個体としては弱いが数がとても多く短命。
故に生存方法として若い個体を犠牲にしてでも、
敵に命乞いをしてでも、
生き延びるという方法もまかり通るのかも知れんのう。
より若い者を生かして種としての未来を繋ぐ
生物としての理からは外れるのは儂にも不可解じゃが、
それが人間が選んだ種としての道なのか…
それともこの教会という集団のみが至った道なのか…
それは今後の人間への研究を進めることで解るかのう?」
「しかしワレには…
その様な同胞に対する裏切りに対して
怒りしかないッ…
こんな奴等…我が吐息で
問答無用で吹き飛ばしてしまいたいッ!!」
「若き魔竜リュシウムよ、
その憤りはわからんでもないがのう…
所詮人間は儂らの敵じゃ。
奴等が愚かな選択をするなら、
儂らはそれに乗っかって利を取れば良いだけじゃ。
奴等が儂らと手を組みたいというの言うのなら、
黙って受けてやれば良い。
あの生贄の人間の女達は
折角くれるというんじゃから、
有難く受け取るとしようではないか?」
「アポクリファル様ッ、
念のために申しますが…
魔竜であるワレは魔素さえあれば生きていけます。
人間の女の血肉も魂も一切不要ですぞッ!
…ま、まさか!?
魔導実験にあの生贄の女たちを使われるというのですか!?
しかし、魔導具の力に普通の人間の肉体では耐えられませんぞ…
流石は狂魔導学者として魔界で名を馳せる御方、
何という恐ろしい…」
「そんな勿体ないことはせんわい!
せっかく人間の生きた個体が手に入ったんじゃ。
丁重に扱って飼わせて貰うわい。
お主は本当になかなか言う様に成ったのう…。
幸いにも人間を飼えるだけの肉などといった食料の類は、
領主や商人から受け取ったモノが
凍結魔法で氷漬けにしてあって豊富じゃしのう。
それに他に何か足りないものがあったら人間共に調達させれば良い。
そういうことじゃリュシウム。
此処は教会の話に乗ってみんか?」
「アポクリファル様…了解したッ!」
魔竜リュシウムは長い首をも伸ばすと
教会長クリストの頭上に静止させた。
「良いだろう教会の人間共よ…
その生贄たちに免じて…
オマエ達の身と安全は保障してやろうでは無いかッ!」
「ははっ、
偉大なる魔竜リュシウム殿…
ありがとうございますじゃ。
これからも定期的に贄を捧げさせて頂きますので
今後もどうぞ良しなに…」
(こ、こ奴等ッ…!?)
リュシウムはクリストの言葉に内心怒りに震えたが、
その感情を飲み込んで、
咆哮として吐き出した。
「グオオオオオッーー!」
魔竜の怒りに満ちた凄まじい咆哮は、
竜穴全体に響き渡った。
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