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456話 教会と魔族の関係

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「われら教会はこの聖王国を影から支配することを
何よりも目的とする組織ですじゃ。
この地上と人間を護るために魔族と戦うという教義自体、
あくまでもこの国の愚民の意思を纏め上げて
われらに従わせる為の戯言。

実際のところは…
この地上に深く侵攻してきた魔族の方々とは裏で手を組み、
現在に至るまで互いに協力と不可侵の関係を築いてきたのです。
われら教会は魔竜リュシウム殿とも良き関係を築きたいと、
此処に馳せ参じたという訳ですじゃ」

「…ふむ、なるほどなリュシウムよ。
この教会というのは儂ら魔族とは
随分昔からの付き合いみたいじゃのう」

 教会長の話を聞いたアポクリファルは
 魔法による念話でリュシウムに話しかける。

「…しかしアポクリファル様、
ワレにはその様な話、
魔界で一度も聞いたことは無いのですがッ?」

「そうさのう…儂も初耳じゃ。
これは完全に儂の推測じゃが…
精霊の結界が弱まったのはここ最近のこと。
それまでは儂ら魔界五軍将はもちろんのこと、
中位魔族ですら結界の隙間を抜けられるのは難儀じゃった。
つまりそれ迄の時代に地上侵攻を任せられていた魔族とは、
人間が言う所の下位魔族もしくは、
下位魔族の中でも特に強力な固体ということになる。

下位魔族とは純然たる魔族である
中位魔族以上の魔族の使い魔の様な存在であり、
傀儡そのものか自意識が希薄な存在。
そんな下位魔族に人間が接触し協力の関係を結んでいたのなら、
儂らが知らないのもまあ納得がいくかのう…。

希薄な自意識もしくは、
中位魔族の自動操縦オートコントロール魔法で操作された下位魔族が
魔界から遠く離れた地上で教会の人間に協力を持ち掛けられて…
その場で判断していたのなら、
魔界にまでその情報は上がらなかったのかも知れぬということじゃ。
そして教会の協力を受けた下位魔族が、
教会以外の人間との地上での戦いに敗れ滅ぼされていたのなら…
魔界に情報が上がらなかったことは更に納得かのう」

「しかし下位魔族が、
そう簡単に人間と手を組むことなどあり得るのですかッ?
魔導学者として研究欲に溢れるアポクリファル様なら、
人間と組むことも好奇心でなさるでしょうが、
思考が希薄な筈の下位魔族がその様な判断をするなど…」

「随分と言う様になったのうリュシウムよ…まあ良い。
そこは教会が何を下位魔族との取引の材料にしたかによるのう。
まあそれもすぐにわかるじゃろう。
ほら見てみいリュシウム?
奴さんたち、何か持ってきたわい」

 教会長クリストは自分の背後に控えていた教会騎士たちに合図を送った。
 それを受けて彼等は大きな帆車を曳いて来ると、
 リュシウムの前に静止させた。
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