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449話 竜穴
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エクスラント聖王国の地方都市グリンジス郊外に広がる大森林。
その終わりにある小山の洞窟の奥に
魔界五軍将のひとり魔導将アポクリファルが造った
地上における魔導研究室が存在する。
魔竜将ガルヴァーヴからアポクリファルに貸し出された
若き魔竜リュシウムは、
この魔導研究室の洞窟に住まうことになった。
だがリュシウムの持つ強大な魔力数値950は
この地のパワーバランスを崩すには十分であった。
この地に住まう強力な怪物達がリュシウムを倒すべく次々と襲来する。
だが魔界に住まう魔竜に取って地上に住まう怪物など取るに足らない相手。
サラマンダーやガルーダといった其の悉くを蹴散らして見せた。
その凄まじい力に畏怖したグリンジス領主である大貴族ゴルザベスは、
リュシウムに自らの意思で従属しその配下となった。
そしてその強大な力を後ろ盾にして…
自分を追放した聖王都に、
ポーラ姫たちにいずれは復讐する意図を持って。
魔竜リュシウムがゴルザベスを配下としてから数日後、
この洞窟は【竜穴】と名を変えた。
命名者は他ならぬアポクリファル。
元々はアポクリファルの地上の魔導研究室というだけで、
洞窟自体に名称は無かった。
だが名目上リュシウムが洞窟の主ということになったので、
便宜上不便だろうと察したアポクリファルが名付けたという訳なのである。
「フォフォフォ…どうじゃなリュシウム。
なかなか良い名じゃろう?」
「アポクリファル様…
愉しんでおられませんか?」
「そりゃあ愉しいわい。
地上に上がってお前さんと此処に住んでから
色んな事が起きて、
毎日退屈せんで良いのう。
魔界の奥底で研究していたなら
決して味わえなかった良い刺激じゃな。
…おや?
また新しいお客さんが来たかのう?」
魔導将アポクリファルは宙に向けてひとさし指を差した。
すると空中に洞窟の外の大森林が映し出された。
魔法によるリアルタイム投射映像。
そこには大人数の人間達の列が映し出されていた。
「特に武装はしておらんようじゃな、
恰好からして商人と見たのう。
それじゃあリュシウム、
この竜穴の主として
奴さんたちの対応を任せるぞ」
「アポクリファル様、任された!」
********
「私はこの聖王国を中心に手広く商売をやっています商人バイアンと申す者。
こちらの洞窟に偉大なお力を持つ魔族のドラゴン様であられる、
リュシウム様という御方がお住まいになられたと聞き、
ご挨拶に伺いました。
どうぞお見知り置きを」
いかにも裕福そうな衣服に身を包んだ商人の男は
竜穴の奥に鎮座する、
巨大な魔竜リュシウムの前に敬服した。
その終わりにある小山の洞窟の奥に
魔界五軍将のひとり魔導将アポクリファルが造った
地上における魔導研究室が存在する。
魔竜将ガルヴァーヴからアポクリファルに貸し出された
若き魔竜リュシウムは、
この魔導研究室の洞窟に住まうことになった。
だがリュシウムの持つ強大な魔力数値950は
この地のパワーバランスを崩すには十分であった。
この地に住まう強力な怪物達がリュシウムを倒すべく次々と襲来する。
だが魔界に住まう魔竜に取って地上に住まう怪物など取るに足らない相手。
サラマンダーやガルーダといった其の悉くを蹴散らして見せた。
その凄まじい力に畏怖したグリンジス領主である大貴族ゴルザベスは、
リュシウムに自らの意思で従属しその配下となった。
そしてその強大な力を後ろ盾にして…
自分を追放した聖王都に、
ポーラ姫たちにいずれは復讐する意図を持って。
魔竜リュシウムがゴルザベスを配下としてから数日後、
この洞窟は【竜穴】と名を変えた。
命名者は他ならぬアポクリファル。
元々はアポクリファルの地上の魔導研究室というだけで、
洞窟自体に名称は無かった。
だが名目上リュシウムが洞窟の主ということになったので、
便宜上不便だろうと察したアポクリファルが名付けたという訳なのである。
「フォフォフォ…どうじゃなリュシウム。
なかなか良い名じゃろう?」
「アポクリファル様…
愉しんでおられませんか?」
「そりゃあ愉しいわい。
地上に上がってお前さんと此処に住んでから
色んな事が起きて、
毎日退屈せんで良いのう。
魔界の奥底で研究していたなら
決して味わえなかった良い刺激じゃな。
…おや?
また新しいお客さんが来たかのう?」
魔導将アポクリファルは宙に向けてひとさし指を差した。
すると空中に洞窟の外の大森林が映し出された。
魔法によるリアルタイム投射映像。
そこには大人数の人間達の列が映し出されていた。
「特に武装はしておらんようじゃな、
恰好からして商人と見たのう。
それじゃあリュシウム、
この竜穴の主として
奴さんたちの対応を任せるぞ」
「アポクリファル様、任された!」
********
「私はこの聖王国を中心に手広く商売をやっています商人バイアンと申す者。
こちらの洞窟に偉大なお力を持つ魔族のドラゴン様であられる、
リュシウム様という御方がお住まいになられたと聞き、
ご挨拶に伺いました。
どうぞお見知り置きを」
いかにも裕福そうな衣服に身を包んだ商人の男は
竜穴の奥に鎮座する、
巨大な魔竜リュシウムの前に敬服した。
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