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448話 大貴族の答え
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「魔導将アポクリファル様、
ワレは魔竜将ガルヴァーヴ様からアナタに貸し出された身、
今のワレはアナタが主。
アポクリファル様がそうなさりたいのなら、
ワレはこれ以上は申しませぬ。
貴方のご意思に従うのみ!」
魔竜リシュシウムはアポクリファルに言葉を返すと
眼下のゴルザベス達人間を再度見下ろして威圧的に言葉を放った。
「…良かろうゴルザベスとやら…
オマエ達がそれ程までにワレの下僕となりたいのなら、
その望み叶えてやろうッ!」
「ハハッードラゴン様!
このゴルザベス一同、
一身に仕えさせて頂きます!」
「…リュシウムだ。
それが我が名、
深く刻むが良い」
「おお…リュシウム様。
流石は強大な力を持つ高位魔族の御方は
名前の響きが違いますな!」
「…あからさまなお世辞は身を亡ぼすぞ人間…」
自分を”高位魔族”と勘違いしている目の前の愚かな人間に
リュシウムは侮蔑の目を向けた。
何という…曇った眼であろうか。
本当の高位魔族の方々はワレとは次元が違う。
我が真の主たる魔竜将ガルヴァーヴ様の魔力数値は
ワレの10倍以上は確実なのだからな。
「いえいえ、そんな事は」
ゴルザベスは謙遜の言葉を返す。
そんな舌が廻る男に対して魔竜は長い首をもたげると、
ゴルザベス達の直上へと伸ばし大きく口を開けた。
その顎に並んだ鋭い牙が彼等に向けて鈍く輝いた。
「まあ多少の無礼は水に流してやろう。
だがワレの下僕となった以上、
裏切りだけは絶対に許さん…
それは深く心に留めておくことだなッ!」
リュシウムはゴルザベス達を噛み砕かんとばかりに
口を開閉させながら言葉を述べた。
「ハハッ…
肝に銘じておきます…」
ゴルザベスとその配下の兵士たち一同はその場にひれ伏した。
********
「ゴルザベス様…
本当にあの様な恐ろしい
魔族の竜の配下となって宜しかったのですか?
私は何時焼き払われるか、
もしくは噛み殺されるか気が気でなく、
生きた心地がしませんでした…」
リュシウム達の洞窟を後にして
街への帰途に就くグリンジス軍の兵士長は、
主である領主ゴルザベスに問い掛けた。
「兵士長。
それは生まれながらの貴族である私と、
下人であるお前との見る目の差よ。
私はあの魔族の竜…リュシウム様が
我々に害を与える気が無い事は気付いておったわ」
「そ、そうだったのですかゴルザベス様!?
でも自分にはあの竜があと一歩で、
我々に向かって吐息を吐く様に見えたのですが…?」
「それもリュシウム様の高等な演技だな、
生まれながらの支配者たる私には解った」
「そう…ですか。
しかしゴルザベス様。
あの魔族の竜には早速、
鉱物や魔法薬といった類の
様々なモノを捧げるように言われたのですが…」
「それぐらいは安いものよ。
むしろあちらから要望があるならこちらとしてはやりやすい。
こうやって少しづつ信頼を勝ち取って、
ゆくゆくはリュシウム様の御力を借りることができたなら…
我等は聖王都への反撃の準備として、
この上ない後ろ盾を得ることが出来るのだからな!
がはははは!」
大貴族ゴルザベスは自分を追放した聖王都への、
ポーラ姫達への復讐に燃えながら高らかに笑った。
ワレは魔竜将ガルヴァーヴ様からアナタに貸し出された身、
今のワレはアナタが主。
アポクリファル様がそうなさりたいのなら、
ワレはこれ以上は申しませぬ。
貴方のご意思に従うのみ!」
魔竜リシュシウムはアポクリファルに言葉を返すと
眼下のゴルザベス達人間を再度見下ろして威圧的に言葉を放った。
「…良かろうゴルザベスとやら…
オマエ達がそれ程までにワレの下僕となりたいのなら、
その望み叶えてやろうッ!」
「ハハッードラゴン様!
このゴルザベス一同、
一身に仕えさせて頂きます!」
「…リュシウムだ。
それが我が名、
深く刻むが良い」
「おお…リュシウム様。
流石は強大な力を持つ高位魔族の御方は
名前の響きが違いますな!」
「…あからさまなお世辞は身を亡ぼすぞ人間…」
自分を”高位魔族”と勘違いしている目の前の愚かな人間に
リュシウムは侮蔑の目を向けた。
何という…曇った眼であろうか。
本当の高位魔族の方々はワレとは次元が違う。
我が真の主たる魔竜将ガルヴァーヴ様の魔力数値は
ワレの10倍以上は確実なのだからな。
「いえいえ、そんな事は」
ゴルザベスは謙遜の言葉を返す。
そんな舌が廻る男に対して魔竜は長い首をもたげると、
ゴルザベス達の直上へと伸ばし大きく口を開けた。
その顎に並んだ鋭い牙が彼等に向けて鈍く輝いた。
「まあ多少の無礼は水に流してやろう。
だがワレの下僕となった以上、
裏切りだけは絶対に許さん…
それは深く心に留めておくことだなッ!」
リュシウムはゴルザベス達を噛み砕かんとばかりに
口を開閉させながら言葉を述べた。
「ハハッ…
肝に銘じておきます…」
ゴルザベスとその配下の兵士たち一同はその場にひれ伏した。
********
「ゴルザベス様…
本当にあの様な恐ろしい
魔族の竜の配下となって宜しかったのですか?
私は何時焼き払われるか、
もしくは噛み殺されるか気が気でなく、
生きた心地がしませんでした…」
リュシウム達の洞窟を後にして
街への帰途に就くグリンジス軍の兵士長は、
主である領主ゴルザベスに問い掛けた。
「兵士長。
それは生まれながらの貴族である私と、
下人であるお前との見る目の差よ。
私はあの魔族の竜…リュシウム様が
我々に害を与える気が無い事は気付いておったわ」
「そ、そうだったのですかゴルザベス様!?
でも自分にはあの竜があと一歩で、
我々に向かって吐息を吐く様に見えたのですが…?」
「それもリュシウム様の高等な演技だな、
生まれながらの支配者たる私には解った」
「そう…ですか。
しかしゴルザベス様。
あの魔族の竜には早速、
鉱物や魔法薬といった類の
様々なモノを捧げるように言われたのですが…」
「それぐらいは安いものよ。
むしろあちらから要望があるならこちらとしてはやりやすい。
こうやって少しづつ信頼を勝ち取って、
ゆくゆくはリュシウム様の御力を借りることができたなら…
我等は聖王都への反撃の準備として、
この上ない後ろ盾を得ることが出来るのだからな!
がはははは!」
大貴族ゴルザベスは自分を追放した聖王都への、
ポーラ姫達への復讐に燃えながら高らかに笑った。
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