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444話 任される魔竜
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都市グリンジスの郊外に広がる大森林の外れにある小山。
この麓の岩肌には魔法によって隠された洞窟がある。
洞窟の中は魔導将アポクリファルが建造した、
魔導研究の為の室が無数に存在している。
魔導将アポクリファルの要請により魔竜将ガルヴァーヴから
一時的に貸し出された若き魔竜リシュシウムは、
この洞窟内で魔導将が作成した
魔力を抑制する魔導具の実証実験に協力していた。
リュシウムが此処に住み着いてから早、一週間が経った。
若き魔竜は洞窟の中央空間に組み上げた自分の巣の中で、
長い首を丸めて眠り込み連日の実験の疲労を癒していた。
だが、突如リュシウムは何かに気付いたかの様に
その首をむくりと高く上げると周囲を見据えた。
「…ム?
アポクリファル様、
大勢の人間達が此処に向かって来ている様ですが?」
「儂の探知魔法でとうに感知済みじゃよ。
お前さんが雷鳥を返り討ちにした日辺りから
人間共が森の中をウロウロし始めて居たんじゃが、
どうやら儂らを探していたみたいじゃな。
今こちらへ向かっているのは、
完全武装の兵士が100人規模といった所じゃのう」
「良いのですか放っておいても?」
「構わんよ。
もし不相応にも儂らを討伐など考えておる様なら
それ相応の対応をする迄じゃが、
あいにく儂は魔導研究が乗りに乗った感じでのう。
その様な些事に構うては居られんのじゃ。
だからのうリシュウムよ、お前さんに人間共の対応を任せたい。
この研究室を壊さなければ後はお前さんの判断で良いからのう。
では任せたぞ」
アポクリファルはそう言い残すと、
洞窟の壁に張り付いた無数の扉のひとつを開けて
その中に消えて行った。
「…流石は魔界一の狂魔導学者と呼ばれる御方。
何よりも魔導研究を第一に考えられるか…。
あげくに人間共の対応はワレに丸投げとは、
全く…ほどほど竜使いが荒い御方よ。
だが、任された!」
魔竜リュシウムは竜の鋭い五感を集中させて洞窟の外の様子を捉えた。
人間より遙かに優れた目、耳、鼻、そして魔力や気配を感じ取る感覚で持って、
遠く離れた場所をまるで其処に居るかのように感じ取ることが出来るのである。
其処には百人ほどの完全武装の人間の兵士たちが整列していた。
その最高尾には豪華な装飾が施された馬、
その馬上にこれまた豪華な鎧に身を包んだ人間の男が居た。
その人間は馬から降りると兵士たちに導かれて洞窟の入口へと向かう。
この入り口は幻影魔法で隠されているが、
あくまで簡易的なものである為、
ある程度の魔法でなら見破ることも容易である。
どうやらこの人間達は入り口を完全に把握している様子であった。
この麓の岩肌には魔法によって隠された洞窟がある。
洞窟の中は魔導将アポクリファルが建造した、
魔導研究の為の室が無数に存在している。
魔導将アポクリファルの要請により魔竜将ガルヴァーヴから
一時的に貸し出された若き魔竜リシュシウムは、
この洞窟内で魔導将が作成した
魔力を抑制する魔導具の実証実験に協力していた。
リュシウムが此処に住み着いてから早、一週間が経った。
若き魔竜は洞窟の中央空間に組み上げた自分の巣の中で、
長い首を丸めて眠り込み連日の実験の疲労を癒していた。
だが、突如リュシウムは何かに気付いたかの様に
その首をむくりと高く上げると周囲を見据えた。
「…ム?
アポクリファル様、
大勢の人間達が此処に向かって来ている様ですが?」
「儂の探知魔法でとうに感知済みじゃよ。
お前さんが雷鳥を返り討ちにした日辺りから
人間共が森の中をウロウロし始めて居たんじゃが、
どうやら儂らを探していたみたいじゃな。
今こちらへ向かっているのは、
完全武装の兵士が100人規模といった所じゃのう」
「良いのですか放っておいても?」
「構わんよ。
もし不相応にも儂らを討伐など考えておる様なら
それ相応の対応をする迄じゃが、
あいにく儂は魔導研究が乗りに乗った感じでのう。
その様な些事に構うては居られんのじゃ。
だからのうリシュウムよ、お前さんに人間共の対応を任せたい。
この研究室を壊さなければ後はお前さんの判断で良いからのう。
では任せたぞ」
アポクリファルはそう言い残すと、
洞窟の壁に張り付いた無数の扉のひとつを開けて
その中に消えて行った。
「…流石は魔界一の狂魔導学者と呼ばれる御方。
何よりも魔導研究を第一に考えられるか…。
あげくに人間共の対応はワレに丸投げとは、
全く…ほどほど竜使いが荒い御方よ。
だが、任された!」
魔竜リュシウムは竜の鋭い五感を集中させて洞窟の外の様子を捉えた。
人間より遙かに優れた目、耳、鼻、そして魔力や気配を感じ取る感覚で持って、
遠く離れた場所をまるで其処に居るかのように感じ取ることが出来るのである。
其処には百人ほどの完全武装の人間の兵士たちが整列していた。
その最高尾には豪華な装飾が施された馬、
その馬上にこれまた豪華な鎧に身を包んだ人間の男が居た。
その人間は馬から降りると兵士たちに導かれて洞窟の入口へと向かう。
この入り口は幻影魔法で隠されているが、
あくまで簡易的なものである為、
ある程度の魔法でなら見破ることも容易である。
どうやらこの人間達は入り口を完全に把握している様子であった。
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