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437話 魔導研究の目的

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「オオオ…魔導将アポクリファル様、
その丁重な扱いに此のリュシウム感謝この上ない。
それでは有難く、
この空間ホールを我が巣として使わせて頂きますッ!」

「フォフォフォ…若い者は素直なことが一番じゃ」

 アポクリファルは自分に対して深く頭を下げて一礼した魔竜に対して、
 にこやかに笑みを浮かべた。

「それでは早速其処に座ってみい、どうじゃな?」

「オオオ…これは?
相当な魔素を感じるッ!?」

「そうじゃろう、そうじゃろう。
この山は儂が方々ほうぼうを巡って探し当てた
地上でも有数の魔導研究に適した土地じゃからのう。
魔素も豊富に含んでおる。
お前さんたち魔竜の本拠地、魔竜山砦まりゅうさんさいにも匹敵する筈じゃ」

「魔界とは違い魔素が薄い地上で、
これ程の量と質の魔素を安定して得られるとは
思いもしなかった…。
我等魔竜エビルドラゴンにとって魔素は必要不可欠なモノ。
アポクリファル様、改めて感謝する。
ワレは此処で何をすれば良い?
この恩にワレは答えよう」

「フォフォフォ…そうかすで無いわい。
まずは儂の魔導研究の目的について話そうかのう。

お前さんも良く知っている通り、
魔界と地上を結ぶ
精霊の星の中に張られた精霊の結界は
魔力数値1000以上の魔力を持つ者を通さない。

よって魔力数値1000を超える高位魔族が地上に出るには、
何らかの方法で魔力を1000以下にする必要がある。
今の儂の様に魔力の低い人造魔族ホムンクルスを造って
精神体の一部を宿らせる。
魔言将イルーラの様に自分の肉体を分離させて
魔力数値1000以下の分身を作り出す。
魔竜将副官ディラムの様に魔族と人間の半魔族である特性を利用して、
人間の部分で持って魔力を1000以下に抑え込む。
以上の様な方法じゃ。

だが儂とイルーラの方法ではどうあがいても
魔力1000以下の力しか出せん。
つまり地上で1000以上の相手に遭遇すれば無力。
故に戦闘面としては不完全なシロモノじゃ。

そしてディラムの方法じゃが、
まず奴さんの半魔族と言うのが希少レア過ぎるのう。
人間の部分で持って魔力を抑えるとかいうのも、
ディラムの天性の感性に頼り過ぎている感じじゃな。
普通だと人間の部分で魔族の魔力を抑え込むどころか、
そもそも魔族の高い魔力に
人間の部分の肉体と精神が耐えられるか怪しいものじゃて。
魔導学者としては、希少レアケース過ぎて
参考にはならないのが正直な所じゃな。

つまり儂の魔導研究の第一の目的はのう。
魔力数値を自在にコントロールする方法を作り出すという事じゃ。
結界を抜ける前に魔力を1000以下に抑え込み、
結界を抜けて地上に出た時に魔力を解放する。
ディラムの様な希少レアケースな方法では無く、
誰もが使うことが出来る汎用性のある方法をのう」
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