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426話 COOL兄

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 ポーラ姫の告白ファイナルアタックは絶大な威力であった。
 だが、今の俺は一段上の兄状態である『超兄スーパーあに』。
 今の強い兄精神状態であればギリギリ堪えることが出来た。
 ならば…俺は次の行動に移るとしよう。

「それじゃあ、ちょっと失礼するよポーラ」

「きゃうン! ケイガお兄様っ!?」

 俺はポーラ姫を抱き上げた。
 いわゆるお姫様抱っこである。

「いきなりどうしたんですかお兄様?
もしかして…本当にその気になってくださいましたか?」

 ポーラ姫は頬を赤らめると、
 何かを期待するかのように
 ちらちらと俺に向かって目配せをする。

「そういえばポーラ、
君は俺の魔力を感知して此処に飛んできたって言ってたけど、
よくシノブさんたちがそれを許したね?」

「それは…わたくしが魔力数値を限りなくゼロにして、
こっそり自室を抜け出したからですわ。
そうでなくては、シノブたち姫騎士団プリンセスナイツ
わたくしをお兄様と合わせる訳がありませんわ…」

「そっか、
それじゃあ…
ひとっ跳びするからしっかり捕まっているんだぞポーラ」

 俺はポーラ姫を抱きかかえたまま両足に気を集中させると、
 地面を強く蹴り上げて空高く跳んだ。
 そして城の尖塔から城壁上部へすたりと着地、
 その勢いのまま疾風の如く駆けた。

「ケイガお兄様…?
ポーラを何処へ連れて行きますの…?
もしかして…お兄様のお部屋ですか!?
わわたくしっ、まだ心の準備が?
…いいえ、これはお兄様をその気にさせて勝手極まりない発言ですわ…。
その…至らないところがあるかも知れませんけど、
ポーラ、お兄様の為に精いっぱい頑張りますから!」

ポーラ姫は俺に向かって両拳を握ってポーズを取った。






********





「それじゃあシノブさん、あとはよろしくお願いいたします」

「おつかれさまでしたケイガ兄様」

 俺は『見通しの眼鏡スカウターレンズ』で
 シノブさん達の場所を特定して一気に跳んだのである。
 そしてポーラ姫を引き渡した。

「ケイガお兄様あ!
わたくしを期待させておいて、
こんな仕打ちなんてあんまりですの!」

「ふふっ、それはお互い様だよポーラ」

「そんな…酷いですわお兄様…
でもっ…
そんな連れない冷静な態度のケイガお兄様もっ、
いつもとは違った魅力があって素敵ですわ!」

「それでは姫様はこちらに。
またしても兄様にご迷惑をお掛けして…
これはたっぷりお灸をすえなくてはいけませんね」

「ああっ、助けてケイガお兄様あーー!!」

 俺はポーラ姫の声を聞き流しながら部屋を後にした。
 鳴鐘 慧河なるがね けいがCOOLクールに去るぜ!

 ふぅ…とりあえずひと段落である。
 今回も俺は兄として、
 無事生き延びることが出来たのだ。
 危なかった…
 俺が今回、一段上の兄状態に覚醒しなければ
 果たしてどうなっていたのか見当もつかない。
 魔族との戦いよりも
 ポーラ姫との駆け引きバトルのほうが、
 熾烈を極めている様な気がするのは気のせいだろうか…。

 ふあぁ…俺は疲れた…
 今夜はもう遅い、帰って休もう。
 優羽花ゆうか静里菜せりなは会えたかな?

 俺は自分の部屋に向かって足を進めた。
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