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407話 伝言

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「それじゃあ…静里菜せりな、単刀直入に聞くぞ。
地球…つまり日本から、
この異世界エゾン・レイギスに実際に転移することは出来そうか?」

「もう少しお時間を頂ければと思います。
今わたしは両親と共に、
地ノ宮神社の御祭神ごさいしんの分霊を御祭りしたお社やしろ建立中こんりゅうちゅうです。
御祭神ごさいしん護り巫女まもりみこのわたしと共にられれば、
光すらも辿り着くには気が遠くなる程の時間を要する距離にある
異世界エゾン・レイギスでも迷うことなく辿り着き、
また日本に帰還することも全く問題ありません。

お社やしろが出来上がって、
星々の位置や暦などの転移巫術ふじゅつの条件が揃い次第、
御祭神ごさいしんと御一緒に
兄さんと優羽花ゆうかられる異世界へ向かう所存です」

「ええと…つまり静里菜せりなは、
持って移動できる小さなお社おやしろ
つまり神棚に近いものを作っていて、
それが出来次第こちらに来てくれるということでいいのかな?」

「そう思っていて頂ければと思います」

お社おやしろ静里菜せりなのご両親と共に作っているってことは、
おふたりとも俺と優羽花ゆうか
異世界に飛ばされたことを周知しているって事で良いんだよな?」

「はい、勿論です兄さん。
わたしから両親には説明済みです。
兄さんと優羽花ゆうかがこのまま帰って来れない様では大変と、
父さんも母さんも色々と骨を折ってくれてます」

「おお…この精神世界から戻ったら
師匠と静里菜せりなのお母さんに
俺が感謝していたと伝えておいてくれないか?」

「はい、兄さん」

静里菜せりなのご両親のおふたりは、
気士としての俺と
巫女としての静里菜せりな
それぞれの師でもあるから、
あやかし退治にも慣れているし理解は早そうだなあ。
それじゃあ…俺の両親にも、
俺と優羽花ゆうかが異世界に飛ばされた話は伝わっているのか?」

「はい、勿論です兄さん。
おふたりは兄さんの事については
”妖怪変化と日々戦って居たウチの息子が今更異世界に行ったところで大丈夫だろう”
とおっしゃっていましたが、
優羽花ゆうかのことはとても心配されている様子でした」

「おいおい…少しは俺の事も心配して欲しいぞ我が両親よ。
まあ確かに優羽花ゆうかは俺と違って
元の世界では人外の存在との戦いどころか、
荒事には無縁の普通の女子高生だったからなあ…
その反応は止む無しか。
とりあえず、
俺も優羽花ゆうかも異世界で元気にやっていると両親に伝えておいてくれるか?」

「はい兄さん。
ご両親へのお伝言、承りました」
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