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397話 三角陣形

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「…それでは、兄様…
…失礼します…」

 ツツジはベッドに横たわっている俺の右腕に両腕を絡ませて、
 添い寝する姿勢になった。

 うあああああ!
 ツツジの可愛いおっぱいが!
 俺の腕にあたってるううう!!

 ツツジは姫騎士団プリンセスナイツ最年少で
 心身ともにか細い印象の子である。
 妹オブ妹といっても良い存在なのだ。
 そんな彼女を、
 いくらおっぱいを押し付けられたからって…
 性的な目で見てしまうなんて俺は何てことを!
 罪悪感に圧し潰されそうになりながらも、
 俺は兄としての未熟さを猛省もうせいした。

 だがしかし俺は、
 ポーラ姫が行使した身体能力低下魔法の効果で
 未だに身体が全く動かない。
 つまり今の俺には…
 ツツジおっぱいから逃れる術は無いのだ!

 だから俺は必死に平静を保つべく、
 『地ノ宮流気士術ちのみやりゅうきしじゅつ・四の型、瞑想めいそう』を行使し続けている。
 そうしなくては、
 身体は全く動かなくても、
 ポーラ姫の猛攻により昂ぶった俺の男のナニカは、
 気を抜くと暴発しかねないからである!!

「兄様!
それじゃあシダレも失礼するね!」

 シダレもツツジに続いて、
 俺の左腕に両腕を絡ませて添い寝の姿勢になった。
 …ええっ!?
 シダレもなのかっ?

 おお…?
 俺の腕に当たるこれは…
 そこには…
 起伏も何もなかった…。
 言うなれば…無乳!

 俺の脳裏には
 優羽花ゆうか静里菜せりなの数年前の姿が思い出され
 シダレと重なった。
 そこには性的な感情は一切無い。
 妹を慈しむ兄心のみである。
 俺は急速に自身の心が平静さを取り戻していくのを感じた。

 今の俺は、
 右腕のツツジおっぱいを
 左のシダレ無乳が打ち消して、
 心のバランスが取れているということである。
 まさに…おっぱい中和状態!

 この土壇場で俺は、
 男の昂ぶりの更なる増長を何とか抑え込むことが出来た。
 これは助かったというべきであろう。
 ふう…俺は大きく息を吐いて安堵した。

「それでは兄様ー
カエデも失礼いたしますー」

 気が抜けた俺の隙を突くように、
 姫騎士団プリンセスナイツ副団長のカエデは
 俺の頭の下にその膝を滑り込ませた。
 ええっ?
 これって…?

 おおおお…
 この柔らかくて心地良い感触は…
 こ、これがもしかして…
 …アニメやゲームで言う所の伝説の…
 ”膝枕ひざまくら”というものなのか…?

 俺は左右の腕をそれぞれ
 ツツジとシダレにがっちりと絡まされて添い寝をされて、
 頭はカエデに膝枕されている。

 何この美少女に完全に囲まれ状態?
 言うなれば、俺を中心に形成した
 美少女騎士三角陣形トライアングルフォーメンションというべきだろうか?

 何故…どうして…こうなった?

「みんな…これは一体…どういうことなの?」

俺は自分の置かれた状態に対しての問いを口にした。
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