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第389話 おや彼女の様子が

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 ちなみに先程の謁見の間で俺が、
 ポーラ姫の抱き付きスキンシップ攻撃に何の反応もしなかったのは、
 ミリィの言った通りである。
 俺は国境の戦いで大きく成長したのである。

 俺はあの戦いで魔言将イルーラに完全に翻弄されて、
 知らず知らずのうちに調子に乗っていた
 自身の愚かさを思い知ったのである。

 俺は所詮ただの兄なのである。
 それ以上でもそれ以下でも無い。
 彼女たちの好意はあくまで妹としてのそれであり、
 異性としてのものでは無いと悟ったのだ。
 だから俺はポーラ姫のスキンシップにも全く動揺すること無く
 事務的に対応出来たのである。

 何てことは無い。
 俺が妹歴16年の優羽花ゆうか静里菜せりな相手に
 冷静に対応するのと同じ状態にポーラ姫が、
 いやミリィも他の妹たちもそうなっただけなのである。

 大体、兄が妹相手に性的にドキドキするなんておかしいのだ。
 俺はずっと妹とそうなることを強く否定して来たでは無いか。
 国境での戦いを経て、
 ようやく俺はその領域レベルまで到達出来たのである。
 兄として其は喜ばしいことであろう。

 だが、そんな俺に対して
 寂しさを感じてしまったポーラ姫が…
 この様な大胆な行為に及んでしまった。

 そんなポーラ姫に対して俺は、
 彼女が妹である大前提が完全に吹き飛んで…
 異性として完全に心を撃ち抜かれてしまった。

 これでは振り出しに戻ってしまったのではないか?
 いやむしろ悪化してないか俺?

 自問自答する俺。
 そんな完全に動きを止めた俺を見つめるポーラ姫。

「…でも…
この様な事をした甲斐はありましたわ…
だってお兄様はわたくしをちゃんと見てくれましたもの…」

 うん、凄く見たよ。
 ガン見してしまったね。
 こんな金髪碧眼美少女プリンセスな
 超ド級ファンタジーヒロインが裸で来ようものなら、
 男としては両目を大きく見開いて凝視するしかないからね。

「…お兄様…」

 俺を熱い目線で見つめるポーラ姫。
 あや…?
 彼女の様子が…?

「…ケイガお兄様…」

 ポーラ姫は俺との距離を徐々に詰め始めた。

 えっ?
 そんな凄い恰好でですか!?
 俺は本能的に危険を感じ、後ずさりを始めた。
 そして後ろに置かれたベッドの端に足が引っかかって、
 そのままベッドの上に座り込んでしまった。

 ポーラ姫が俺に迫って来たのは此れが初めてでは無い。
 むしろ日常茶飯事と言っても過言では無い頻度であろう。
 でも彼女がこうしてくる時はその側に
 ミリィが、優羽花ゆうか、シノブさんが、
 姫騎士団プリンセスナイツの皆が、
 つまり今迄は誰かが近くに居たのである。

 でも、今日は此処に俺と彼女以外は誰も居ないのである。
 更にはポーラ姫はほとんど裸に近い恰好である。

 あれ…?
 これって…
 もしかして…
 これまでに無い大ピンチじゃないですか俺!?
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