シスターヴレイヴ!~上司に捨て駒にされ会社をクビになり無職ニートになった俺が妹と異世界に飛ばされ妹が勇者になったけど何とか生きてます~

尾山塩之進

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第387話 その理由

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「…申し訳ありませんケイガお兄様!
わたくし、お兄様に『DOGEZA(土下座どげざ)』を
させるなんておつもりは無かったんです!
ああ、お兄様は何も悪くありませんわ!
わたくしが、わたくしが悪いのです!
ごめんなさい…お兄様…」

 どさっと地面を叩く音と共に、
 俺に謝罪の言葉を述べるポーラ姫。
 
 えっ…どういうことなの?
 俺は下げていた頭を恐る恐る上げて目の前の状況を確認した。
 其処には、俺と同じように土下座どげざをしているポーラ姫の姿があった。

 『土下座どげざ』は俺の元居たセカイ『地球』にある
 俺が生まれ育った国、『日本』に古くから伝わる謝罪礼法である。
 本来ならこの異世界エゾン・レイギスに、
 そしてこのエクスラント聖王国には存在しない礼法の筈であろう。
 だがこの国には和食料理や銭湯、
 果てはことわざなどの日本文化が浸透しているのである。
 つまり過去に異世界に飛ばされた日本人の先人たちが
 この国に日本文化を広めたのだ。
 だから…この国を治める王族も、
 土下座どげざを知っていても不思議はない。

 俺の土下座とポーラ姫の土下座、
 ふたりの土下座が対峙し、激突した。
 土下座バトル開始!
 謝らなければ…生き残れない!

 …一体何なのだこれは!?
 何が起きている?

 俺は彼女のほとんど裸の姿をガン見するという酷いことをしてしまった。
 これは土下座してしかるべき悪行である。
 だが何故ポーラ姫は俺に土下座しているのか…
 理由がわからない。

 だけどこのままではいけない!
 俺はがばっと起き上がると、
 地面にこうべを垂れて謝罪するポーラ姫の肩に手を添える。

「駄目だポーラ!
君はこの国の国王代理なんだ!
国を代表する者が、
俺なんかにそんな簡単に土下座何てしてはいけない!」

「で、でも…
わたくしがこの様な破廉恥な姿でお部屋に来たばっかりに…
ケイガお兄様に土下座させてしまいました…
お兄様にそんなことをさせるなんてポーラは大罪人ですわ…
こんなわたくしが出来る事は…
こうやって頭を下げて謝罪する事しか…」

「いやいやいや!
だからそんなことしちゃ駄目だって!
…えっ?
そう言えば何でポーラはそんな凄い恰好で俺の部屋に…?」

「…えっ…ええと…
それは…」

「それは?」

「…ケイガお兄様…
先程、わたくしがお兄様の胸に抱き付いた時、
お兄様は全く無反応で…
連れない態度を取られましたわ…
いつもだったらお兄様は心揺らされて下さいましたのに…
それをミリィお姉様は
”お兄様は国境の激しい戦いで大人になったんだよ”、
何て言いますし…。
それでわたくし、とても寂しくなって…
この王家に代々伝わる”子孫繁栄の衣装”でなら…
お兄様も再びわたくしに心揺らして下さると思って…」
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