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第372話 広い世界と狭い心
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「これが魔界の地図かあ…
魔界は地上と同じぐらいの広さを持つ地下世界だと
ボクたち人間側には紀伝されているけど、
この地図の尺図的に考えると…
ボクには地上の人間界よりもずいぶんと広い様に見えるね」
「流石は魔法学者を務めるだけありますなミリフィア殿。
一目でそれを見当てるとは。
ミリフィア殿もご存じの通り、
地上すなわち人間界は
精霊達の星が突き刺さった中央域を中心にして
エゾンリア大陸と呼ばれる巨大な大陸が広がっており、
大陸内には人間の国家群が建立しています。
エゾンリア大陸を取り囲む大海は、
『果ての海』と呼称され
その先は幾ら帆を進めても先の見えない無限の海が広がっています。
それに対して魔界は中央域を中心にして
地下空間が広がっており、
大魔王様が魔界を統一する前は
幾人のも魔王が魔族の国家を建立し魔界の覇権を争っていました。
かつて魔族の国家があった地域は
現在は魔界五軍将の方々が5つのブロックに分けて統治しておりますが、
この地域だけでもエゾンリア大陸よりも遙かに広大なのです。
魔界五軍将の支配地域の外周域は『果ての地平』と呼ばれ、
その先は我ら魔族も知りえない未開の地が広がっていると言われています。
信憑性には欠けるものの、
大魔王様は果ての地平で生まれたと言う俗説もあるのです」
「ボク達の住まうエクスラント聖王国ですら
エゾンリア大陸のほんの一部でしかないのに、
大陸よりも遙かに広大な地下世界、魔界かあ…。
人類未踏の果て無き世界!
聞くだけでワクワクしないかい!
兄君様?」
「お、おう…」
テンションが上がりっぱなしのミリィは
キラキラした目で俺を見つめながら同意を促してくる。
俺は彼女の圧にたじたじになってしまい、
思わず曖昧な返事をしてしまう。
「はあ…ボクも一度魔界に行ってみたいなぁ…」
「ミリフィア殿。
それ程までに魔界に焦がれる言葉を頂けると、
魔界で生まれ育った我としても誇らしくありますな。
宜しければこのディラムが魔界を一度ご案内いたしましょうか?」
「兄君様!?
ボク、ディラム殿に魔界に招待されちゃったよ?
うああ!
ボク…ど、どうしよう!?」
ミリィはディラムの思わぬ言葉に歓喜に打ち震えている。
「どうしようと言われてもなあ…
ミリィの好きな様にすればいいんじゃないか?」
そんな彼女に対し俺は…
興味なしと言わんばかりにそっぽを向きながら、
まるで突き放すような言葉を吐いてしまった。
…おい!?
何をやっている俺!
妹が兄以外の男と
楽しそうにしているのを見て面白くないとか…
心が狭すぎるだろう俺!
俺は自分の狭量ぶりに嫌気がさしてしまった。
とりあえず酷い態度を取ってしまったミリィにフォローをしないとなあ。
俺はミリィに向き直った。
だが彼女はまだ見ぬ魔界に思いを馳せて、
夢心地の様な表情で虚空を見つめたまま停止していた。
どうやら俺の言葉が聞こえていなかった様である。
た、助かった…のか?
俺は自分の悪運の強さに感謝した。
しかしこの程度でやきもきする様では…
妹たちが嫁入りする時が来ようものなら俺は憤死するのでは無いのか!?
ああ…こんなに心の狭いお兄ちゃんを許してくれ!
優羽花!
静里菜!
俺は心の中で妹歴16年のふたりの妹に謝りながら只々自分自身を猛省した。
魔界は地上と同じぐらいの広さを持つ地下世界だと
ボクたち人間側には紀伝されているけど、
この地図の尺図的に考えると…
ボクには地上の人間界よりもずいぶんと広い様に見えるね」
「流石は魔法学者を務めるだけありますなミリフィア殿。
一目でそれを見当てるとは。
ミリフィア殿もご存じの通り、
地上すなわち人間界は
精霊達の星が突き刺さった中央域を中心にして
エゾンリア大陸と呼ばれる巨大な大陸が広がっており、
大陸内には人間の国家群が建立しています。
エゾンリア大陸を取り囲む大海は、
『果ての海』と呼称され
その先は幾ら帆を進めても先の見えない無限の海が広がっています。
それに対して魔界は中央域を中心にして
地下空間が広がっており、
大魔王様が魔界を統一する前は
幾人のも魔王が魔族の国家を建立し魔界の覇権を争っていました。
かつて魔族の国家があった地域は
現在は魔界五軍将の方々が5つのブロックに分けて統治しておりますが、
この地域だけでもエゾンリア大陸よりも遙かに広大なのです。
魔界五軍将の支配地域の外周域は『果ての地平』と呼ばれ、
その先は我ら魔族も知りえない未開の地が広がっていると言われています。
信憑性には欠けるものの、
大魔王様は果ての地平で生まれたと言う俗説もあるのです」
「ボク達の住まうエクスラント聖王国ですら
エゾンリア大陸のほんの一部でしかないのに、
大陸よりも遙かに広大な地下世界、魔界かあ…。
人類未踏の果て無き世界!
聞くだけでワクワクしないかい!
兄君様?」
「お、おう…」
テンションが上がりっぱなしのミリィは
キラキラした目で俺を見つめながら同意を促してくる。
俺は彼女の圧にたじたじになってしまい、
思わず曖昧な返事をしてしまう。
「はあ…ボクも一度魔界に行ってみたいなぁ…」
「ミリフィア殿。
それ程までに魔界に焦がれる言葉を頂けると、
魔界で生まれ育った我としても誇らしくありますな。
宜しければこのディラムが魔界を一度ご案内いたしましょうか?」
「兄君様!?
ボク、ディラム殿に魔界に招待されちゃったよ?
うああ!
ボク…ど、どうしよう!?」
ミリィはディラムの思わぬ言葉に歓喜に打ち震えている。
「どうしようと言われてもなあ…
ミリィの好きな様にすればいいんじゃないか?」
そんな彼女に対し俺は…
興味なしと言わんばかりにそっぽを向きながら、
まるで突き放すような言葉を吐いてしまった。
…おい!?
何をやっている俺!
妹が兄以外の男と
楽しそうにしているのを見て面白くないとか…
心が狭すぎるだろう俺!
俺は自分の狭量ぶりに嫌気がさしてしまった。
とりあえず酷い態度を取ってしまったミリィにフォローをしないとなあ。
俺はミリィに向き直った。
だが彼女はまだ見ぬ魔界に思いを馳せて、
夢心地の様な表情で虚空を見つめたまま停止していた。
どうやら俺の言葉が聞こえていなかった様である。
た、助かった…のか?
俺は自分の悪運の強さに感謝した。
しかしこの程度でやきもきする様では…
妹たちが嫁入りする時が来ようものなら俺は憤死するのでは無いのか!?
ああ…こんなに心の狭いお兄ちゃんを許してくれ!
優羽花!
静里菜!
俺は心の中で妹歴16年のふたりの妹に謝りながら只々自分自身を猛省した。
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