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第363話 高速飛行魔法
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クラシアの町で姫騎士団のツツジ、シダレ、カエデの三人と合流した俺は
ディラムたち魔竜軍に同盟を持ち掛けられている今の状況を説明した。
カエデは伝令魔法で聖王都に居る姫騎士団団長シノブさんに至急連絡、
シノブさんからポーラ姫とミリィにも状況は伝えられた。
同盟の相手は歴史上、前例のない魔族。
ポーラ姫、ミリィ、シノブさんは
聖王国内での混乱を避けるために極めて内輪だけで緊急協議を行った。
その結果、同盟の為の交渉の席が正式に設けられることが決まった。
そして俺たちは魔竜軍の交渉役の代表を務めるディラムを案内して
聖王都へ戻ることになった。
聖王国国境の町クラシアから聖王都ホウリイまでは
普通に歩けば数日かかる距離だが、
高速移動飛行魔法を使えば一時間もかからない。
と言っても…今の俺たちの中で、
魔族以外で高速移動飛行魔法を使えるのは
光の勇者である優羽花と
光の精霊であるヒカリだけである。
高速移動飛行魔法は高い魔力調整技術に加えて、
高い魔力量が要求されるため人間では使用者が限られるのだ。
しかし今回の同盟の為に聖王都に来て貰う事になったディラムは魔族。
当然高速移動飛行魔法が使える。
案内役の俺たちが彼より足が遅く、待たせる形になってしまうのは…
交渉する相手に対しての心象が余り良くないだろうと俺は思った。
そこで俺はツツジ、シダレ、カエデの三人はヒカリの飛行魔法で、
俺自身は優羽花に飛行魔法でそれぞれ運んでもらう事にしたのである。
そして俺たちは現在、聖王都ホウリイへの空の旅の真っ最中である。
俺と優羽花を先頭にヒカリと姫騎士団の三人が続き、
そのあとをヴィシル、そしてディラムが続くという空中隊列である。
俺はヒカリ達のほうに目線を移す。
先頭を飛行するのがヒカリ、
その後ろにツツジ、シダレ、カエデが並んで飛行している。
ヒカリは飛行魔法を自分も含めた全員に行使しているのだろうか?
それとも自分の飛行魔法をツツジ達に分けて展開しているのだろうか?
どちらにしても流石は光の精霊、見事な魔法の御業といった所である。
そんなヒカリ達に対して俺たちは…。
「こ、このスケベお兄!
今あたしの胸さわったでしょ!?」
「言いがかりだ!
大体お前の板の様な身体じゃあ、
どこが胸か腹か背中か区別が付かないだろう!」
「…な、な、何ですってええー!!」
我が妹、優羽花は飛行魔法を複数相手に同時に行使するとか、
自分の飛行魔法を俺に分けて展開するとかそういう器用な技は一切出来なかった。
よって、俺が優羽花の背中に覆い被さることによって、
つまり兄が妹に背負われる形になって一緒に飛ぶという…
兄としても男としても、
とても恥ずかしい態勢になっているのである…。
ディラムたち魔竜軍に同盟を持ち掛けられている今の状況を説明した。
カエデは伝令魔法で聖王都に居る姫騎士団団長シノブさんに至急連絡、
シノブさんからポーラ姫とミリィにも状況は伝えられた。
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ポーラ姫、ミリィ、シノブさんは
聖王国内での混乱を避けるために極めて内輪だけで緊急協議を行った。
その結果、同盟の為の交渉の席が正式に設けられることが決まった。
そして俺たちは魔竜軍の交渉役の代表を務めるディラムを案内して
聖王都へ戻ることになった。
聖王国国境の町クラシアから聖王都ホウリイまでは
普通に歩けば数日かかる距離だが、
高速移動飛行魔法を使えば一時間もかからない。
と言っても…今の俺たちの中で、
魔族以外で高速移動飛行魔法を使えるのは
光の勇者である優羽花と
光の精霊であるヒカリだけである。
高速移動飛行魔法は高い魔力調整技術に加えて、
高い魔力量が要求されるため人間では使用者が限られるのだ。
しかし今回の同盟の為に聖王都に来て貰う事になったディラムは魔族。
当然高速移動飛行魔法が使える。
案内役の俺たちが彼より足が遅く、待たせる形になってしまうのは…
交渉する相手に対しての心象が余り良くないだろうと俺は思った。
そこで俺はツツジ、シダレ、カエデの三人はヒカリの飛行魔法で、
俺自身は優羽花に飛行魔法でそれぞれ運んでもらう事にしたのである。
そして俺たちは現在、聖王都ホウリイへの空の旅の真っ最中である。
俺と優羽花を先頭にヒカリと姫騎士団の三人が続き、
そのあとをヴィシル、そしてディラムが続くという空中隊列である。
俺はヒカリ達のほうに目線を移す。
先頭を飛行するのがヒカリ、
その後ろにツツジ、シダレ、カエデが並んで飛行している。
ヒカリは飛行魔法を自分も含めた全員に行使しているのだろうか?
それとも自分の飛行魔法をツツジ達に分けて展開しているのだろうか?
どちらにしても流石は光の精霊、見事な魔法の御業といった所である。
そんなヒカリ達に対して俺たちは…。
「こ、このスケベお兄!
今あたしの胸さわったでしょ!?」
「言いがかりだ!
大体お前の板の様な身体じゃあ、
どこが胸か腹か背中か区別が付かないだろう!」
「…な、な、何ですってええー!!」
我が妹、優羽花は飛行魔法を複数相手に同時に行使するとか、
自分の飛行魔法を俺に分けて展開するとかそういう器用な技は一切出来なかった。
よって、俺が優羽花の背中に覆い被さることによって、
つまり兄が妹に背負われる形になって一緒に飛ぶという…
兄としても男としても、
とても恥ずかしい態勢になっているのである…。
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