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第359話 考え方の差異
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「なるほどな…話を聞いた限りでは、
お前さんたち魔竜軍との同盟は
俺たち人間側にとって悪くないものだと俺は思う。
魔族は強い。
そして魔族の長である大魔王は更にとてつもなく強い。
これからの魔族との戦いは人間にとっては苦戦は免れないだろう。
だがそんな魔族の軍の一角である魔竜軍と手を組むことが出来れば…
今後の戦いの情勢は人間に取って有利になるだろうからなあ」
「それは良かった、我等としても好ましい限りよ。
それではナルガネ・ケイガ。
貴様達三人と我等魔竜軍とで正式に同盟を結びたい」
「ん?
…ちょっと待て!
三人って?
同盟するのは俺とヒカリと優羽花だけってことか?」
「そのつもりだが…何かおかしいのか?」
「俺たちは、ほぼ個人みたいなものじゃないか!
そんな俺たちと魔族軍の五分の一の魔竜軍が同盟って…
釣り合わなくは無いのか?」
「ナルガネ・ケイガ。
貴様は自分達の力を過小評価し過ぎだ。
仮初めの肉体とはいえ、大魔王様を倒したその実力、
人間の一国家にも比肩すると知るがいい」
「…こ、国家級って!?」
なるほど…そういうことか。
個で強く数の少ない魔族と、
個で弱いが数が多い人間とでは、
その考え方に大きく差異があるという訳なんだな。
俺はその差異を埋めるべく思考する。
「だがディラム。
俺たちは人間の一国家に、
エクスラント聖王国に世話になっている身だ。
俺たちが安定して戦えるのは聖王国のバックアップあってのものなんだ。
つまり俺たちの強さは聖王国あってとも言える訳だ。
よって…お前たち魔竜軍が同盟を結ぶ相手は
俺たちが世話になっているエクスラント聖王国とするのが
道理じゃないかと俺は考えるんだが?」
「ふむ、ならば…
聖王国も含めるという形でも我等は構わない。
貴様たちを聖王国代表として、
今此処に我等と同盟を組もうでは無いか」
「ちょっと待ってくれ!
俺は異世界生まれの戦士、
優羽花は俺と同じく異世界生まれの勇者、
そしてヒカリは精霊だ。
俺たちは聖王国の人間では無いんだ。
そんな俺たちが勝手に
一国家であるエクスラント聖王国と、
魔族の一軍との同盟を結ぶことなんて出来る訳がないだろう?」
「お前たち程の力の持ち主ならば
個々で人間国家の交渉権を所持していると思ったが、
そうでは無いのか?」
「そんな訳ないだろ!
俺たち人間のセカイでは、
個人で国家の動向を即断即決出来る権力を持っている奴は
早々居ないからな!
こういう場合は…
お前たち魔竜軍のしかるべき者と
聖王国のしかるべき者同士で対話し交渉して、
互いに納得した上で同盟を結ぶものだろう。
少なくとも、人間のセカイではそういうものだ」
「確かに…
人間セカイの事情も分からずに礼に欠けていた。
我も事を急がせるふしが有った。
すまぬ、此処に非礼を詫びさせて欲しい」
魔騎士ディラムは俺に頭を下げた。
「それでは我が魔竜軍の代表として聖王国へ向かい、
聖王国の代表と会って同盟の手続きをしようではないか。
ナルガネ・ケイガ、貴様には聖王国への案内を頼みたい」
お前さんたち魔竜軍との同盟は
俺たち人間側にとって悪くないものだと俺は思う。
魔族は強い。
そして魔族の長である大魔王は更にとてつもなく強い。
これからの魔族との戦いは人間にとっては苦戦は免れないだろう。
だがそんな魔族の軍の一角である魔竜軍と手を組むことが出来れば…
今後の戦いの情勢は人間に取って有利になるだろうからなあ」
「それは良かった、我等としても好ましい限りよ。
それではナルガネ・ケイガ。
貴様達三人と我等魔竜軍とで正式に同盟を結びたい」
「ん?
…ちょっと待て!
三人って?
同盟するのは俺とヒカリと優羽花だけってことか?」
「そのつもりだが…何かおかしいのか?」
「俺たちは、ほぼ個人みたいなものじゃないか!
そんな俺たちと魔族軍の五分の一の魔竜軍が同盟って…
釣り合わなくは無いのか?」
「ナルガネ・ケイガ。
貴様は自分達の力を過小評価し過ぎだ。
仮初めの肉体とはいえ、大魔王様を倒したその実力、
人間の一国家にも比肩すると知るがいい」
「…こ、国家級って!?」
なるほど…そういうことか。
個で強く数の少ない魔族と、
個で弱いが数が多い人間とでは、
その考え方に大きく差異があるという訳なんだな。
俺はその差異を埋めるべく思考する。
「だがディラム。
俺たちは人間の一国家に、
エクスラント聖王国に世話になっている身だ。
俺たちが安定して戦えるのは聖王国のバックアップあってのものなんだ。
つまり俺たちの強さは聖王国あってとも言える訳だ。
よって…お前たち魔竜軍が同盟を結ぶ相手は
俺たちが世話になっているエクスラント聖王国とするのが
道理じゃないかと俺は考えるんだが?」
「ふむ、ならば…
聖王国も含めるという形でも我等は構わない。
貴様たちを聖王国代表として、
今此処に我等と同盟を組もうでは無いか」
「ちょっと待ってくれ!
俺は異世界生まれの戦士、
優羽花は俺と同じく異世界生まれの勇者、
そしてヒカリは精霊だ。
俺たちは聖王国の人間では無いんだ。
そんな俺たちが勝手に
一国家であるエクスラント聖王国と、
魔族の一軍との同盟を結ぶことなんて出来る訳がないだろう?」
「お前たち程の力の持ち主ならば
個々で人間国家の交渉権を所持していると思ったが、
そうでは無いのか?」
「そんな訳ないだろ!
俺たち人間のセカイでは、
個人で国家の動向を即断即決出来る権力を持っている奴は
早々居ないからな!
こういう場合は…
お前たち魔竜軍のしかるべき者と
聖王国のしかるべき者同士で対話し交渉して、
互いに納得した上で同盟を結ぶものだろう。
少なくとも、人間のセカイではそういうものだ」
「確かに…
人間セカイの事情も分からずに礼に欠けていた。
我も事を急がせるふしが有った。
すまぬ、此処に非礼を詫びさせて欲しい」
魔騎士ディラムは俺に頭を下げた。
「それでは我が魔竜軍の代表として聖王国へ向かい、
聖王国の代表と会って同盟の手続きをしようではないか。
ナルガネ・ケイガ、貴様には聖王国への案内を頼みたい」
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