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第349話 撤退命令
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「兄者サマ、ちょっとこっちに来てくれないか?
皆が目を覚まさないので回復魔法を掛けて欲しいんだ」
「よし来た!」
俺はヴィシルの求めに応じて、
倒れたままで居るエクゼヴ達中位魔族の側へと駆け寄った。
まさに渡りに船といった具合に
ヒカリの超々ド級おっぱいから上手く逃げたな…
とかじゃないからな!
俺は脳内で言い訳をしつつも、
心を静め精神を集中を集中させた。
闇属性の魔族に光属性の回復魔法は効果があるのか?
という疑問に関しては大魔王との戦闘で
ダメージを受けたヴィシルに俺が掛けて有効であることを既に確認している。
よし、まずは一番近くに居るエクゼヴから回復だな。
俺は手をかざして魔法を行使する。
「光回…」
「…それには及ばないわケイガ…
『回復』」
突如、声ともに俺の隣に人一人分のサイズの光球が降りて来て
回復魔法を行使した。
癒しの光がエクゼヴ、ガグーン、ライゼガの三人の魔族の身体を包み込む。
これは俺には使えない高レベルの”全体掛け”の回復魔法である。
…一体何者だ!?
と俺が光球を見据えた瞬間、
光の玉は霧散しその中から
自分の背丈よりも高い杖を携え、
自身の頭よりも二回りは大きな帽子を被り、
自身の背丈よりも長いマントを羽織ったひとりの少女が姿を現した。
「イルーラ!?」
「イルーラ様!?」
俺と彼女の配下の魔族たちの声がハモった。
そしてヴィシル、回復魔法で意識を取り戻したエクゼヴ達は
一斉にその場に跪いた。
大魔王直属の魔界五軍将のひとり、魔言将イルーラ。
俺はさっき、大魔王の巨人内部の魔力心臓核と同化していた彼女を倒している。
それは彼女が精霊の結界を抜けられる魔力数値1000以下を切り離した一部、
分身の様なものでありであり本体では無い。
今の俺の前に居るイルーラは、
魔界に居る彼女の本体から送られた新たな分身なのだろう。
実際、今の彼女が身に纏っている衣服と手に携えた杖は
以前の時のものとは全く別物である。
彼女の装備品は大魔王の装備品、
以前のものは大魔王の巨人ごと失われて同じものは存在しないという事だろう。
しかし俺は分身とはいえ間違いなく彼女に手を掛けてその命を奪っている。
これは紛うこと無き事実である。
そんな相手が再び目の前に現れた時、
俺はどんな顔をすればいいのかわからなかった。
イルーラはそんな半ば硬直している俺をよそに
自分の配下の魔族たちへと向き直り言葉を述べた。
「…我が忠実なる配下達…
…大魔王様の意識は魔界の奥底へと還った…
…私の魔族侵攻軍は下位魔族は全て全滅し瓦解している…
…私達は今一度戦略を練り直す必要がある……
…魔界に撤退するわ…」
「イルーラ様、仰せのままに」
エクゼヴを筆頭に中位魔族たちはイルーラの言葉に答え立ち上がった。
いや、ヴィシルだけはその場にに跪いたまま動こうとはしなかった。
皆が目を覚まさないので回復魔法を掛けて欲しいんだ」
「よし来た!」
俺はヴィシルの求めに応じて、
倒れたままで居るエクゼヴ達中位魔族の側へと駆け寄った。
まさに渡りに船といった具合に
ヒカリの超々ド級おっぱいから上手く逃げたな…
とかじゃないからな!
俺は脳内で言い訳をしつつも、
心を静め精神を集中を集中させた。
闇属性の魔族に光属性の回復魔法は効果があるのか?
という疑問に関しては大魔王との戦闘で
ダメージを受けたヴィシルに俺が掛けて有効であることを既に確認している。
よし、まずは一番近くに居るエクゼヴから回復だな。
俺は手をかざして魔法を行使する。
「光回…」
「…それには及ばないわケイガ…
『回復』」
突如、声ともに俺の隣に人一人分のサイズの光球が降りて来て
回復魔法を行使した。
癒しの光がエクゼヴ、ガグーン、ライゼガの三人の魔族の身体を包み込む。
これは俺には使えない高レベルの”全体掛け”の回復魔法である。
…一体何者だ!?
と俺が光球を見据えた瞬間、
光の玉は霧散しその中から
自分の背丈よりも高い杖を携え、
自身の頭よりも二回りは大きな帽子を被り、
自身の背丈よりも長いマントを羽織ったひとりの少女が姿を現した。
「イルーラ!?」
「イルーラ様!?」
俺と彼女の配下の魔族たちの声がハモった。
そしてヴィシル、回復魔法で意識を取り戻したエクゼヴ達は
一斉にその場に跪いた。
大魔王直属の魔界五軍将のひとり、魔言将イルーラ。
俺はさっき、大魔王の巨人内部の魔力心臓核と同化していた彼女を倒している。
それは彼女が精霊の結界を抜けられる魔力数値1000以下を切り離した一部、
分身の様なものでありであり本体では無い。
今の俺の前に居るイルーラは、
魔界に居る彼女の本体から送られた新たな分身なのだろう。
実際、今の彼女が身に纏っている衣服と手に携えた杖は
以前の時のものとは全く別物である。
彼女の装備品は大魔王の装備品、
以前のものは大魔王の巨人ごと失われて同じものは存在しないという事だろう。
しかし俺は分身とはいえ間違いなく彼女に手を掛けてその命を奪っている。
これは紛うこと無き事実である。
そんな相手が再び目の前に現れた時、
俺はどんな顔をすればいいのかわからなかった。
イルーラはそんな半ば硬直している俺をよそに
自分の配下の魔族たちへと向き直り言葉を述べた。
「…我が忠実なる配下達…
…大魔王様の意識は魔界の奥底へと還った…
…私の魔族侵攻軍は下位魔族は全て全滅し瓦解している…
…私達は今一度戦略を練り直す必要がある……
…魔界に撤退するわ…」
「イルーラ様、仰せのままに」
エクゼヴを筆頭に中位魔族たちはイルーラの言葉に答え立ち上がった。
いや、ヴィシルだけはその場にに跪いたまま動こうとはしなかった。
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