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第324話 巨魔界樹の杖
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「とにかく…イルーラ様、エクゼヴ殿、ガグーン、ライゼガの敵は討てた…
一緒に戦ってくれて感謝するよ兄者サマ」
ヴィシルは動かない巨人を見上げながら俺に言葉を述べた。
「あの巨人は皆の成れの果て…
イルーラ様たちの弔いの為にも墓ぐらい作って上げたい」
「そうだなヴィシル、
あの巨大さなら大変そうだ。
なら俺も墓を作るのを手伝うとするか」
「…うぬらの墓をか?」
大魔王の巨大な瞳が突如動いてこちらを見下ろした。
そしてゆっくりとその巨体を起こし立ち上がる。
「ぐはあああああ…
この余にここまでのダメージを与えるとはなかなかのものだな…
人間、光の精霊、そして若い獣人型魔族よ…
だが…余の『魔力心臓核』を貫くには…
あと一歩足りなかった様だな」
大魔王は自身の右胸の箇所を指さした。
胸の皮膚装甲は俺たちの攻撃で吹き飛んだのか完全に無くなっており、
その中がむき出しになっている。
そこには内臓の類のものは一切無く
無数の蔦が詰まっていた。
動物というよりも、植物の集合体というべきモノ。
そしてその胸の中には、
全身に蔦が絡みついて石像の様に動かない
魔界五軍将・魔言将イルーラの姿があった。
「イルーラ様!?」
自分の主の姿に声を上げるヴィシル。
そして俺の『見通しの眼鏡』の
魔力捜索モードの反応はイルーラを指し示している。
これは…大魔王の仮初めの肉体である
この巨人の魔力心臓核は
イルーラの持っていた大魔王の杖では無く、
他らなぬイルーラ自身だったということなのか?
「エクゼヴ殿!
ガグーン!
ライゼガ!」
そしてイルーラの周囲には、同じ様に身に蔦が絡みついて石像の様に動かない
イルーラの配下の中位魔族たちの姿が在った。
「周囲の生物を絡み取って取り込み、
その肉体を溶かし吸収し急成長する魔界植物を元に創り出した
余の装備品のひとつである『巨魔界樹の杖』。
この仮初めの巨人の肉体はこの杖を魔力心臓核とし、
周囲の生物を吸収して急成長した魔界植物を巨人の形に編み上げたもの。
本来ならば杖に吸収された生き物は全て、
魔界植物が成長するためのエサとして溶かされて完全に消えてしまう筈だが…。
イルーラめ、『巨魔界樹の杖』に吸収されながらも
逆に杖の意思を奪い自らを魔力心臓核にすることで
魔界植物の消化機能を操作し、
この様に自分の配下どもが姿を保ったまま
辛うじて生きている様にしよったわ。
この大魔王に抗うとはな…がはははは!
流石は余の代言、魔言将イルーラの実力というべきよのう。
だが…余の直属の配下としては有りまじき
”情”
”優しさ”
が仇となるのだ。
そこの若い獣人型魔族よ。
うぬに余の仮初めの心臓と化したイルーラを殺すことが出来るかのう?」
一緒に戦ってくれて感謝するよ兄者サマ」
ヴィシルは動かない巨人を見上げながら俺に言葉を述べた。
「あの巨人は皆の成れの果て…
イルーラ様たちの弔いの為にも墓ぐらい作って上げたい」
「そうだなヴィシル、
あの巨大さなら大変そうだ。
なら俺も墓を作るのを手伝うとするか」
「…うぬらの墓をか?」
大魔王の巨大な瞳が突如動いてこちらを見下ろした。
そしてゆっくりとその巨体を起こし立ち上がる。
「ぐはあああああ…
この余にここまでのダメージを与えるとはなかなかのものだな…
人間、光の精霊、そして若い獣人型魔族よ…
だが…余の『魔力心臓核』を貫くには…
あと一歩足りなかった様だな」
大魔王は自身の右胸の箇所を指さした。
胸の皮膚装甲は俺たちの攻撃で吹き飛んだのか完全に無くなっており、
その中がむき出しになっている。
そこには内臓の類のものは一切無く
無数の蔦が詰まっていた。
動物というよりも、植物の集合体というべきモノ。
そしてその胸の中には、
全身に蔦が絡みついて石像の様に動かない
魔界五軍将・魔言将イルーラの姿があった。
「イルーラ様!?」
自分の主の姿に声を上げるヴィシル。
そして俺の『見通しの眼鏡』の
魔力捜索モードの反応はイルーラを指し示している。
これは…大魔王の仮初めの肉体である
この巨人の魔力心臓核は
イルーラの持っていた大魔王の杖では無く、
他らなぬイルーラ自身だったということなのか?
「エクゼヴ殿!
ガグーン!
ライゼガ!」
そしてイルーラの周囲には、同じ様に身に蔦が絡みついて石像の様に動かない
イルーラの配下の中位魔族たちの姿が在った。
「周囲の生物を絡み取って取り込み、
その肉体を溶かし吸収し急成長する魔界植物を元に創り出した
余の装備品のひとつである『巨魔界樹の杖』。
この仮初めの巨人の肉体はこの杖を魔力心臓核とし、
周囲の生物を吸収して急成長した魔界植物を巨人の形に編み上げたもの。
本来ならば杖に吸収された生き物は全て、
魔界植物が成長するためのエサとして溶かされて完全に消えてしまう筈だが…。
イルーラめ、『巨魔界樹の杖』に吸収されながらも
逆に杖の意思を奪い自らを魔力心臓核にすることで
魔界植物の消化機能を操作し、
この様に自分の配下どもが姿を保ったまま
辛うじて生きている様にしよったわ。
この大魔王に抗うとはな…がはははは!
流石は余の代言、魔言将イルーラの実力というべきよのう。
だが…余の直属の配下としては有りまじき
”情”
”優しさ”
が仇となるのだ。
そこの若い獣人型魔族よ。
うぬに余の仮初めの心臓と化したイルーラを殺すことが出来るかのう?」
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