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第319話 反逆の魔族?
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「ふう…やった…」
俺は大魔王を名乗った巨人が動かなくなったことを確認すると、
ほっと胸を撫で下ろした。
謎の妹?の手を借りて魔力数値の差を埋めたら意外とあっさり倒せたなあ…
数値の差は絶対ということか。
だが『見通しの眼鏡』はあくまで魔力数値しか計れない。
俺は魔力の他に気力も持っていて、
魔力と気力を合わせた”仮称・戦闘能力数値”で持って
自身の強さの数値としている。
俺の気力数値は見通しの眼鏡では測れない。
自分で推測の上に計算したものである。
大魔王は俺の気力も数値化して見えていたらしく、
俺が推測していた気力数値は正しかったことが証左された。
つまり俺は…
今後も自分の気力数値、そして魔力数値を合計した戦闘能力数値を常に把握して、
相手の魔力数値と照らし合わせなければ
この世界での戦いに生き残れないという事である。
見通しの眼鏡の気力版の様なものがあればかなり楽になるんだがなあ…
と思ったが、まあ無いものねだりをしても仕方は無いだろう。
俺は地面に倒れ伏したままの大魔王を名乗った巨人の身体を見上げた。
あの巨人は大魔王が魔界の奥底で眠る真の肉体に替わり地上で活動するために
イルーラ達を取り込んで作り出した仮初めの肉体。
よってあれを倒したところで大魔王本人には何のダメージを与えていないだろう。
だがあのまま放っていたらクラシアの町を初め、
この地上に甚大な被害が出ていた。
つまりこれは俺たち人間側に取っては間違いなく勝利なのである。
しかし大魔王は同胞であり自身の配下である筈の魔族たちに対して
何の情も無く一瞬で自分の為の贄にして殺してしまった。
それに…大魔王に殺されたイルーラやエクゼヴといった魔族たちは
人間に対して血も涙もない冷酷非情な侵略者と聞いていた割には…
俺にはそこまで悪い奴には見えなかった。
今回の戦いでは、何と言うか…
俺には色々と心にしこりが残った気がする…。
「おにいちゃん?
どうしたの?
どこかいたい?」
色々と思案する俺を心配したのか、
ヒカリが覗き込んできた。
「だいじょうぶだよ。
ちょっと考え事をしていただけさ。
ヒカリ、一緒に戦ってくれてありがとうな」
「んー、おにいちゃんのお役に立ててヒカリはうれしい」
俺はヒカリに礼を述べたあと、
目線を俺を兄呼ばわりした謎の獣人型魔族の女性に移し言葉を掛けた。
「あんたもありがとうな。
正直あんたが参戦してくれなかったら、
あの大魔王を名乗る巨人には勝てなかったと思う。
でもその姿に高い魔力数値、あんたも魔族じゃないのか?
部外者の俺が言うのも何だが…
魔族の長の大魔王相手に戦ったりしたら、
反逆者として扱われてまずいことになったりしないのか?」
俺は魔族のセカイは大魔王を頂点とした完全な縦社会であると学んでいる。
だから魔族だと思われる彼女が、
大魔王と戦っていること自体が大きな疑問だったのである。
俺はその疑問に対する答えが欲しくてストレートに彼女に問いかけた。
俺は大魔王を名乗った巨人が動かなくなったことを確認すると、
ほっと胸を撫で下ろした。
謎の妹?の手を借りて魔力数値の差を埋めたら意外とあっさり倒せたなあ…
数値の差は絶対ということか。
だが『見通しの眼鏡』はあくまで魔力数値しか計れない。
俺は魔力の他に気力も持っていて、
魔力と気力を合わせた”仮称・戦闘能力数値”で持って
自身の強さの数値としている。
俺の気力数値は見通しの眼鏡では測れない。
自分で推測の上に計算したものである。
大魔王は俺の気力も数値化して見えていたらしく、
俺が推測していた気力数値は正しかったことが証左された。
つまり俺は…
今後も自分の気力数値、そして魔力数値を合計した戦闘能力数値を常に把握して、
相手の魔力数値と照らし合わせなければ
この世界での戦いに生き残れないという事である。
見通しの眼鏡の気力版の様なものがあればかなり楽になるんだがなあ…
と思ったが、まあ無いものねだりをしても仕方は無いだろう。
俺は地面に倒れ伏したままの大魔王を名乗った巨人の身体を見上げた。
あの巨人は大魔王が魔界の奥底で眠る真の肉体に替わり地上で活動するために
イルーラ達を取り込んで作り出した仮初めの肉体。
よってあれを倒したところで大魔王本人には何のダメージを与えていないだろう。
だがあのまま放っていたらクラシアの町を初め、
この地上に甚大な被害が出ていた。
つまりこれは俺たち人間側に取っては間違いなく勝利なのである。
しかし大魔王は同胞であり自身の配下である筈の魔族たちに対して
何の情も無く一瞬で自分の為の贄にして殺してしまった。
それに…大魔王に殺されたイルーラやエクゼヴといった魔族たちは
人間に対して血も涙もない冷酷非情な侵略者と聞いていた割には…
俺にはそこまで悪い奴には見えなかった。
今回の戦いでは、何と言うか…
俺には色々と心にしこりが残った気がする…。
「おにいちゃん?
どうしたの?
どこかいたい?」
色々と思案する俺を心配したのか、
ヒカリが覗き込んできた。
「だいじょうぶだよ。
ちょっと考え事をしていただけさ。
ヒカリ、一緒に戦ってくれてありがとうな」
「んー、おにいちゃんのお役に立ててヒカリはうれしい」
俺はヒカリに礼を述べたあと、
目線を俺を兄呼ばわりした謎の獣人型魔族の女性に移し言葉を掛けた。
「あんたもありがとうな。
正直あんたが参戦してくれなかったら、
あの大魔王を名乗る巨人には勝てなかったと思う。
でもその姿に高い魔力数値、あんたも魔族じゃないのか?
部外者の俺が言うのも何だが…
魔族の長の大魔王相手に戦ったりしたら、
反逆者として扱われてまずいことになったりしないのか?」
俺は魔族のセカイは大魔王を頂点とした完全な縦社会であると学んでいる。
だから魔族だと思われる彼女が、
大魔王と戦っていること自体が大きな疑問だったのである。
俺はその疑問に対する答えが欲しくてストレートに彼女に問いかけた。
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