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第316話 別人
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大魔王が口内から吐いた灼熱の火球弾が
大地に突き刺さって大爆発を起こした。
火山の噴火の如き凄まじい爆炎が巻き上がり、
火球弾が直撃した地面は融解してまるで溶岩の様である。
大魔王は俺が”核”の在る
自身の右胸に向かって攻撃を仕掛けてくると予測し、
俺が飛んで来るであろう射線上にあらかじめ狙いを定めて於いて
火球弾を撃ったのだ。
大魔王の灼熱の火球弾は
防御魔法『光防壁』と攻防一体の気士術『金剛力士』で
魔法的にも物理的にも鉄壁の防御状態であった筈の俺を
一撃で瀕死状態にした超火力の攻撃。
俺が咄嗟に射線変更せずにあのまま大魔王の右胸に向かって突撃していれば、
火球弾が直撃して間違いなく死んでいただろう。
俺は間一髪、命拾いしたという訳である。
大魔王の両目が輝いて光線が放たれる。
俺は射線を読んで躱す。
間髪入れず光線が連射されて、
無理な緊急回避で戦闘の構えが崩れていた俺は
態勢を立て直す為にも後退せざるを得なかった。
ヒカリも瞬間移動で後退している。
こうも時間を空けてしまえば…
大魔王の右胸の皮膚装甲にせっかく与えた傷も徐々に塞がってしまう。
俺は一気に大魔王を倒し切る好機を不意にしてしまった。
俺はヒカリと一緒に戦う事で攻撃力を二倍とし、
一気に大魔王を倒し切れると考えた。
だがここまで戦って…
俺はその見通しが甘かったと考えを改めざるを得なかった。
俺と戦い始めた頃の大魔王は強者としての絶対的余裕と言うか
敵に対しての慢心といったものがあり、防御は甘かった。
いや一切防御姿勢を取らなかったと言った方がいいだろう。
攻撃もいたって単純で手を抜いている様なふしもあった。
だが俺が大魔王の”核”の箇所を推測し、
其の箇所を執拗に攻撃してからというもの…
大魔王の攻撃の本気度が変わった。
そしてヒカリに不意を突かれ倒され、
其処から起き上がって来てからというもの…とてつもなく防御が固くなった。
今の大魔王は攻撃も防御も最初の時とはまるで別人なのである。
今のままでは…勝てない…?
俺は大魔王に対して戦闘の構えを取りながらも…
攻めあぐねてしまい、動きが止まってしまった。
そんな俺を見透かす様に大魔王が言葉を紡ぐ。
「どうした人間?
余が少しばかり本気になって防御し、
攻撃に転じて見れば…
最早手も足も出んか?」
「そんなことは…無い!」
俺は大魔王の言葉を否定する一声を挙げると全力で駆けた。
そうしなければ、
ここは強がらなければ、
心が負けてしまう気がしたのだ。
俺は他らなぬ俺自身の心を奮い立たせるためにも、
とにかく身体を動かして行動で示す!
大地に突き刺さって大爆発を起こした。
火山の噴火の如き凄まじい爆炎が巻き上がり、
火球弾が直撃した地面は融解してまるで溶岩の様である。
大魔王は俺が”核”の在る
自身の右胸に向かって攻撃を仕掛けてくると予測し、
俺が飛んで来るであろう射線上にあらかじめ狙いを定めて於いて
火球弾を撃ったのだ。
大魔王の灼熱の火球弾は
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一撃で瀕死状態にした超火力の攻撃。
俺が咄嗟に射線変更せずにあのまま大魔王の右胸に向かって突撃していれば、
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俺は間一髪、命拾いしたという訳である。
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俺は射線を読んで躱す。
間髪入れず光線が連射されて、
無理な緊急回避で戦闘の構えが崩れていた俺は
態勢を立て直す為にも後退せざるを得なかった。
ヒカリも瞬間移動で後退している。
こうも時間を空けてしまえば…
大魔王の右胸の皮膚装甲にせっかく与えた傷も徐々に塞がってしまう。
俺は一気に大魔王を倒し切る好機を不意にしてしまった。
俺はヒカリと一緒に戦う事で攻撃力を二倍とし、
一気に大魔王を倒し切れると考えた。
だがここまで戦って…
俺はその見通しが甘かったと考えを改めざるを得なかった。
俺と戦い始めた頃の大魔王は強者としての絶対的余裕と言うか
敵に対しての慢心といったものがあり、防御は甘かった。
いや一切防御姿勢を取らなかったと言った方がいいだろう。
攻撃もいたって単純で手を抜いている様なふしもあった。
だが俺が大魔王の”核”の箇所を推測し、
其の箇所を執拗に攻撃してからというもの…
大魔王の攻撃の本気度が変わった。
そしてヒカリに不意を突かれ倒され、
其処から起き上がって来てからというもの…とてつもなく防御が固くなった。
今の大魔王は攻撃も防御も最初の時とはまるで別人なのである。
今のままでは…勝てない…?
俺は大魔王に対して戦闘の構えを取りながらも…
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「どうした人間?
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攻撃に転じて見れば…
最早手も足も出んか?」
「そんなことは…無い!」
俺は大魔王の言葉を否定する一声を挙げると全力で駆けた。
そうしなければ、
ここは強がらなければ、
心が負けてしまう気がしたのだ。
俺は他らなぬ俺自身の心を奮い立たせるためにも、
とにかく身体を動かして行動で示す!
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