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第307話 希望のヒカリ
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俺の身体は大魔王の巨大な手にぞんざいに握り締められた。
まるで子供の手に握られた玩具人形の様に。
「どうした人間よ?
もう余に抵抗せぬのか?」
「そうしたいのはやまやまなんだが…
俺にはもう鼻くそをほじる力も残ってはいないからなあ…」
「そうか?
それはつまらんな。
ならばこれで終いとしよう」
大魔王の手に更に力が籠る。
俺の全身の肉が、骨が、軋みを上げる。
もう…これまでなのか…。
俺は諦めようとした瞬間、
突然上空から出現した”光の玉”が、
弾けるように超速で飛んで大魔王の顎に衝突した。
「…ぐがあっ!?」
光の玉に吹き飛ばされた大魔王の巨体が宙を舞う。
そのまま凄い勢いで地面に墜落した。
凄まじい地響きとともに土煙が上がり辺り一帯を飲み込んだ。
そして俺はと言うと…
大魔王が宙を舞ったその瞬間に、
力が緩まったその手から空中へ放り出されてしまった。
今の全く身体が動かせない俺の身では、
このまま地面に激突してしまい到底無事では済まないな…。
まるで他人のことの様に冷静に状況を見る俺。
ほとんど諦めの境地に達していた俺の元に、
先程大魔王を吹き飛ばした”光の玉”が飛び込んで来た。
光の玉に包まれた俺はそのままゆっくり降下して、地面に着地した。
「おにいちゃん?
だいじょうぶ?」
俺を気遣う幼い声。
その声の発せられた光の玉の中心を見やれば…
その長い髪から肌、着ている服まで真っ白な幼い少女。
光の精霊が立っていた。
「ヒカリっ!?
ど、どうしてここに?」
「おにいちゃんの魔力はんのうが切れたから
しんぱいになって探しにきた。
そしたら大魔王が居てびっくり。
まにあって良かった」
「そっか…こんな小さな妹に助けられるなんて
俺は駄目なおにいちゃんだな。
でもありがとうヒカリ、助かったよ」
「んー、どういたしまして。
おにいちゃん」
ヒカリは子供らしい屈託のない笑顔を見せた。
俺もつられて笑った。
それと同時に俺の身体に魔力が再度流れ出してきているのを感じた。
ヒカリが側に来た事で彼女との魔力接続が再び繋がったのである。
「光回復!」
俺はすさかず自分に光属性回復魔法を行使した。
全身の痛みと火傷がみるみると引いていく…体力も回復していく。
俺は身を起こし、力強く立ち上がった。
「ぐはああああ…
この余をここまで吹き飛ばすこの光の力は…?
光の精霊か…?
うぬたち精霊は人間共には力添えはするが
我等魔族に直接武力を持って干渉するということは良しとしない筈…。
それがこの世界エゾン・レイギスを創造した
うぬたち精霊自身が取り決めた世界の法則。
余は元闇の精霊であるリリンシアからそう聞いている。
それが今更、何故…?」
土煙の中で地に倒れ伏したままの大魔王はヒカリに向かって問いかけた。
まるで子供の手に握られた玩具人形の様に。
「どうした人間よ?
もう余に抵抗せぬのか?」
「そうしたいのはやまやまなんだが…
俺にはもう鼻くそをほじる力も残ってはいないからなあ…」
「そうか?
それはつまらんな。
ならばこれで終いとしよう」
大魔王の手に更に力が籠る。
俺の全身の肉が、骨が、軋みを上げる。
もう…これまでなのか…。
俺は諦めようとした瞬間、
突然上空から出現した”光の玉”が、
弾けるように超速で飛んで大魔王の顎に衝突した。
「…ぐがあっ!?」
光の玉に吹き飛ばされた大魔王の巨体が宙を舞う。
そのまま凄い勢いで地面に墜落した。
凄まじい地響きとともに土煙が上がり辺り一帯を飲み込んだ。
そして俺はと言うと…
大魔王が宙を舞ったその瞬間に、
力が緩まったその手から空中へ放り出されてしまった。
今の全く身体が動かせない俺の身では、
このまま地面に激突してしまい到底無事では済まないな…。
まるで他人のことの様に冷静に状況を見る俺。
ほとんど諦めの境地に達していた俺の元に、
先程大魔王を吹き飛ばした”光の玉”が飛び込んで来た。
光の玉に包まれた俺はそのままゆっくり降下して、地面に着地した。
「おにいちゃん?
だいじょうぶ?」
俺を気遣う幼い声。
その声の発せられた光の玉の中心を見やれば…
その長い髪から肌、着ている服まで真っ白な幼い少女。
光の精霊が立っていた。
「ヒカリっ!?
ど、どうしてここに?」
「おにいちゃんの魔力はんのうが切れたから
しんぱいになって探しにきた。
そしたら大魔王が居てびっくり。
まにあって良かった」
「そっか…こんな小さな妹に助けられるなんて
俺は駄目なおにいちゃんだな。
でもありがとうヒカリ、助かったよ」
「んー、どういたしまして。
おにいちゃん」
ヒカリは子供らしい屈託のない笑顔を見せた。
俺もつられて笑った。
それと同時に俺の身体に魔力が再度流れ出してきているのを感じた。
ヒカリが側に来た事で彼女との魔力接続が再び繋がったのである。
「光回復!」
俺はすさかず自分に光属性回復魔法を行使した。
全身の痛みと火傷がみるみると引いていく…体力も回復していく。
俺は身を起こし、力強く立ち上がった。
「ぐはああああ…
この余をここまで吹き飛ばすこの光の力は…?
光の精霊か…?
うぬたち精霊は人間共には力添えはするが
我等魔族に直接武力を持って干渉するということは良しとしない筈…。
それがこの世界エゾン・レイギスを創造した
うぬたち精霊自身が取り決めた世界の法則。
余は元闇の精霊であるリリンシアからそう聞いている。
それが今更、何故…?」
土煙の中で地に倒れ伏したままの大魔王はヒカリに向かって問いかけた。
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