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第300話 二倍

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「はあああああああ!」

俺は『気』を集中させた。
気が俺の身体から炎の様に湧き上がって、火柱の如く立ち昇った。

「ほう?
気を集中させて一気に高めるすべか」

 大魔王は俺の気の急上昇の様に対して、
 淡々と言葉を述べる。
 これだけの上昇では大魔王には全く通じないだろう。
 ならば!

光の加護ライトフォース!」

 俺は異世界エゾン・レイギスに来てからの三週間、
 ミリィの下で学んで修得した光属性の身体能力強化魔法を行使した。
 気の光をまとっている俺の上から更に魔法の光が包み込んで、
 光の輝きが倍増した。

 身体能力強化魔法『光の加護ライトフォース』を修得し、
 実際に自分の身体に使用して解ったことがある。
 身体能力強化魔法とは、気を高める効果を持つ魔法だったのだ。

 エゾン・レイギスでは『気』を扱う者は珍しいという認識だが、
 実は誰しもが存在を知らないだけで『気』自体は持っているのである。
 つまり身体能力強化魔法とは…
 誰しもが持つ気を高めて、それを身体にまとわせることで
 身体能力を強化していたということなのだ。
 ちなみに身体能力強化魔法は魔力も多少上げる効果があるのだが、
 それは気の上昇がメインのハンバーグなら、
 魔力上昇は添え物のミニトマトみたいなものである。
 俺の体感では気の上昇率は魔力のそれよりも遙かに上だったのだ。
 この異世界エゾン・レイギスには
 気というものを明確に理解している者がいなかった為に、
 今に至るまで身体能力強化魔法の本質に誰も気付けなかったのであろう。

 つまり…
 気を集中させて高めることと、
 身体強化魔法の効果は全く同じなのである。
 俺はこの二つを同時に使ったらどうなるかを
 自分の身体を使って手探りで幾度となく試した。
 その結果、気を高める行為と身体強化魔法は効果が重複する事が解った。

 そして同時に使用することで、
 互いの効果が増幅されて気の上昇率は倍増する。
 具体的に言うと二倍である。

「ほほう、今のうぬの強さの数値は2400といった所であろうな?
脆弱な人間としてはかなりの領域まで来ておる…だが」

 大魔王の余裕の態度は変わらない。
 これ程の戦闘能力数値を持ってしても…
 魔力数値5000の大魔王には敵わないだろう…だが!

「いくぞ大魔王!
気を限界まで高めた今の状態で、
俺の最高の光の技を受けて見ろ!」

「何…?
光だと…?」

地ノ宮流気士術ちのみやりゅうきしじゅつ五の型・改、極光きょくこう!」

 俺の両手のひらから巨大な気のエネルギー波が解き放たれて、
 大魔王の巨体を包み込んだ。
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