277 / 556
第277話 提案
しおりを挟む
「待てよあんた!
俺が倒した三人の魔族は死んでいない!
気を失っているだけだ。
俺はぎりぎり手加減をしたからな」
「…な、何だとッ…?」
魔族エクゼヴは
自らの『見通しの眼鏡』を操作して
倒れたままの三人の魔族の様子を確認する。
皆の魔法数値はゼロではあるものの
慧河の言葉通り、確かに生命反応が確認出来た。
「キサマ…手加減だと…何故だ…?
まさか…?
人間特有の”慈悲”などと言う甘っちょろい戯言で…
誇り高き魔族の戦士である彼等の戦いを侮辱して、
むざむざ生かしたとでも言うのかッ!!」
エクゼヴは誇り高き高等生物である自分達魔族が
下等生物の人間如きに侮辱されたと感じ、
言葉を荒げて激高した。
「…俺はそんな殊勝な人間じゃない。
相手から殺意を向けられたら殺意で返すまでだ。
だがあんたたちは人間を誰ひとりも殺していなかったじゃないか?
それだったら俺も殺す訳にはいかない、それだけさ」
慧河は激昂する魔族に対して平静に淡々と言葉を返した。
「我はこの町に魔軍の前線基地を造成する為の労働力として、
この町の人間全てを奴隷とする為に生かしたに過ぎん。
そもそも我に従わないというのなら、
ひとりふたりは見せしめに殺しても構わない腹積もりだったのだぞ?
ふはははは、そんな姿勢の我らに対してよくもッ…殺さないなどと抜かせるなッ!」
「…そうだとしても、
結果的にあんたたちは一人も人間を殺さなかっただろう?
それなら俺もあんたたちを殺す訳にはいかないな。
それが、地ノ宮流気士術の気士としての俺の信条だ。
そんな俺からあんたに提案だ。
今すぐ、倒れている仲間の魔族を連れてとっとと魔界へ帰れ!
それなら俺はあんた達に一切手は出さない」
「…キ、キサマッ、
我と魔軍の総特効が恐ろしくてそんな戯れ言を抜かしおるのだろうッ!?
命を惜しむ臆病者の人間風情がッ!」
「…そりゃあ誰だって命は惜しいだろうよ?
それは俺たち人間だけではなく、
あんたたち魔族だってそうだろう?
ここでみすみす無駄死にしたら、
それこそあんたの主である魔言将サマに申し訳が立たないんじゃ無いのか?
それにここで引き上げれば、あんたの仲間の魔族の三人だって助かるだろう?」
「…キサマ…口が回る…」
「それでもあんたが命を捨てて特攻してくるなら…
俺は容赦はしない。
腹を括ってあんたの命を奪う覚悟を決める。
それに俺は最初から負けるつもりはさらさらないからな。
全力で戦って、あんたも魔族軍も全員返り討ちにして倒す!」
俺が倒した三人の魔族は死んでいない!
気を失っているだけだ。
俺はぎりぎり手加減をしたからな」
「…な、何だとッ…?」
魔族エクゼヴは
自らの『見通しの眼鏡』を操作して
倒れたままの三人の魔族の様子を確認する。
皆の魔法数値はゼロではあるものの
慧河の言葉通り、確かに生命反応が確認出来た。
「キサマ…手加減だと…何故だ…?
まさか…?
人間特有の”慈悲”などと言う甘っちょろい戯言で…
誇り高き魔族の戦士である彼等の戦いを侮辱して、
むざむざ生かしたとでも言うのかッ!!」
エクゼヴは誇り高き高等生物である自分達魔族が
下等生物の人間如きに侮辱されたと感じ、
言葉を荒げて激高した。
「…俺はそんな殊勝な人間じゃない。
相手から殺意を向けられたら殺意で返すまでだ。
だがあんたたちは人間を誰ひとりも殺していなかったじゃないか?
それだったら俺も殺す訳にはいかない、それだけさ」
慧河は激昂する魔族に対して平静に淡々と言葉を返した。
「我はこの町に魔軍の前線基地を造成する為の労働力として、
この町の人間全てを奴隷とする為に生かしたに過ぎん。
そもそも我に従わないというのなら、
ひとりふたりは見せしめに殺しても構わない腹積もりだったのだぞ?
ふはははは、そんな姿勢の我らに対してよくもッ…殺さないなどと抜かせるなッ!」
「…そうだとしても、
結果的にあんたたちは一人も人間を殺さなかっただろう?
それなら俺もあんたたちを殺す訳にはいかないな。
それが、地ノ宮流気士術の気士としての俺の信条だ。
そんな俺からあんたに提案だ。
今すぐ、倒れている仲間の魔族を連れてとっとと魔界へ帰れ!
それなら俺はあんた達に一切手は出さない」
「…キ、キサマッ、
我と魔軍の総特効が恐ろしくてそんな戯れ言を抜かしおるのだろうッ!?
命を惜しむ臆病者の人間風情がッ!」
「…そりゃあ誰だって命は惜しいだろうよ?
それは俺たち人間だけではなく、
あんたたち魔族だってそうだろう?
ここでみすみす無駄死にしたら、
それこそあんたの主である魔言将サマに申し訳が立たないんじゃ無いのか?
それにここで引き上げれば、あんたの仲間の魔族の三人だって助かるだろう?」
「…キサマ…口が回る…」
「それでもあんたが命を捨てて特攻してくるなら…
俺は容赦はしない。
腹を括ってあんたの命を奪う覚悟を決める。
それに俺は最初から負けるつもりはさらさらないからな。
全力で戦って、あんたも魔族軍も全員返り討ちにして倒す!」
0
お気に入りに追加
38
あなたにおすすめの小説

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜
早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。
食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した!
しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……?
「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」
そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。
無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

目立つのが嫌でダンジョンのソロ攻略をしていた俺、アイドル配信者のいる前で、うっかり最凶モンスターをブッ飛ばしてしまう
果 一
ファンタジー
目立つことが大嫌いな男子高校生、篠村暁斗の通う学校には、アイドルがいる。
名前は芹なずな。学校一美人で現役アイドル、さらに有名ダンジョン配信者という勝ち組人生を送っている女の子だ。
日夜、ぼんやりと空を眺めるだけの暁斗とは縁のない存在。
ところが、ある日暁斗がダンジョンの下層でひっそりとモンスター狩りをしていると、SSクラスモンスターのワイバーンに襲われている小規模パーティに遭遇する。
この期に及んで「目立ちたくないから」と見捨てるわけにもいかず、暁斗は隠していた実力を解放して、ワイバーンを一撃粉砕してしまう。
しかし、近くに倒れていたアイドル配信者の芹なずなに目撃されていて――
しかも、その一部始終は生放送されていて――!?
《ワイバーン一撃で倒すとか異次元過ぎw》
《さっき見たらツイットーのトレンドに上がってた。これ、明日のネットニュースにも載るっしょ絶対》
SNSでバズりにバズり、さらには芹なずなにも正体がバレて!?
暁斗の陰キャ自由ライフは、瞬く間に崩壊する!
※本作は小説家になろう・カクヨムでも公開しています。両サイトでのタイトルは『目立つのが嫌でダンジョンのソロ攻略をしていた俺、アイドル配信者のいる前で、うっかり最凶モンスターをブッ飛ばしてしまう~バズりまくって陰キャ生活が無事終了したんだが~』となります。
※この作品はフィクションです。実在の人物•団体•事件•法律などとは一切関係ありません。あらかじめご了承ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる