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第277話 提案
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「待てよあんた!
俺が倒した三人の魔族は死んでいない!
気を失っているだけだ。
俺はぎりぎり手加減をしたからな」
「…な、何だとッ…?」
魔族エクゼヴは
自らの『見通しの眼鏡』を操作して
倒れたままの三人の魔族の様子を確認する。
皆の魔法数値はゼロではあるものの
慧河の言葉通り、確かに生命反応が確認出来た。
「キサマ…手加減だと…何故だ…?
まさか…?
人間特有の”慈悲”などと言う甘っちょろい戯言で…
誇り高き魔族の戦士である彼等の戦いを侮辱して、
むざむざ生かしたとでも言うのかッ!!」
エクゼヴは誇り高き高等生物である自分達魔族が
下等生物の人間如きに侮辱されたと感じ、
言葉を荒げて激高した。
「…俺はそんな殊勝な人間じゃない。
相手から殺意を向けられたら殺意で返すまでだ。
だがあんたたちは人間を誰ひとりも殺していなかったじゃないか?
それだったら俺も殺す訳にはいかない、それだけさ」
慧河は激昂する魔族に対して平静に淡々と言葉を返した。
「我はこの町に魔軍の前線基地を造成する為の労働力として、
この町の人間全てを奴隷とする為に生かしたに過ぎん。
そもそも我に従わないというのなら、
ひとりふたりは見せしめに殺しても構わない腹積もりだったのだぞ?
ふはははは、そんな姿勢の我らに対してよくもッ…殺さないなどと抜かせるなッ!」
「…そうだとしても、
結果的にあんたたちは一人も人間を殺さなかっただろう?
それなら俺もあんたたちを殺す訳にはいかないな。
それが、地ノ宮流気士術の気士としての俺の信条だ。
そんな俺からあんたに提案だ。
今すぐ、倒れている仲間の魔族を連れてとっとと魔界へ帰れ!
それなら俺はあんた達に一切手は出さない」
「…キ、キサマッ、
我と魔軍の総特効が恐ろしくてそんな戯れ言を抜かしおるのだろうッ!?
命を惜しむ臆病者の人間風情がッ!」
「…そりゃあ誰だって命は惜しいだろうよ?
それは俺たち人間だけではなく、
あんたたち魔族だってそうだろう?
ここでみすみす無駄死にしたら、
それこそあんたの主である魔言将サマに申し訳が立たないんじゃ無いのか?
それにここで引き上げれば、あんたの仲間の魔族の三人だって助かるだろう?」
「…キサマ…口が回る…」
「それでもあんたが命を捨てて特攻してくるなら…
俺は容赦はしない。
腹を括ってあんたの命を奪う覚悟を決める。
それに俺は最初から負けるつもりはさらさらないからな。
全力で戦って、あんたも魔族軍も全員返り討ちにして倒す!」
俺が倒した三人の魔族は死んでいない!
気を失っているだけだ。
俺はぎりぎり手加減をしたからな」
「…な、何だとッ…?」
魔族エクゼヴは
自らの『見通しの眼鏡』を操作して
倒れたままの三人の魔族の様子を確認する。
皆の魔法数値はゼロではあるものの
慧河の言葉通り、確かに生命反応が確認出来た。
「キサマ…手加減だと…何故だ…?
まさか…?
人間特有の”慈悲”などと言う甘っちょろい戯言で…
誇り高き魔族の戦士である彼等の戦いを侮辱して、
むざむざ生かしたとでも言うのかッ!!」
エクゼヴは誇り高き高等生物である自分達魔族が
下等生物の人間如きに侮辱されたと感じ、
言葉を荒げて激高した。
「…俺はそんな殊勝な人間じゃない。
相手から殺意を向けられたら殺意で返すまでだ。
だがあんたたちは人間を誰ひとりも殺していなかったじゃないか?
それだったら俺も殺す訳にはいかない、それだけさ」
慧河は激昂する魔族に対して平静に淡々と言葉を返した。
「我はこの町に魔軍の前線基地を造成する為の労働力として、
この町の人間全てを奴隷とする為に生かしたに過ぎん。
そもそも我に従わないというのなら、
ひとりふたりは見せしめに殺しても構わない腹積もりだったのだぞ?
ふはははは、そんな姿勢の我らに対してよくもッ…殺さないなどと抜かせるなッ!」
「…そうだとしても、
結果的にあんたたちは一人も人間を殺さなかっただろう?
それなら俺もあんたたちを殺す訳にはいかないな。
それが、地ノ宮流気士術の気士としての俺の信条だ。
そんな俺からあんたに提案だ。
今すぐ、倒れている仲間の魔族を連れてとっとと魔界へ帰れ!
それなら俺はあんた達に一切手は出さない」
「…キ、キサマッ、
我と魔軍の総特効が恐ろしくてそんな戯れ言を抜かしおるのだろうッ!?
命を惜しむ臆病者の人間風情がッ!」
「…そりゃあ誰だって命は惜しいだろうよ?
それは俺たち人間だけではなく、
あんたたち魔族だってそうだろう?
ここでみすみす無駄死にしたら、
それこそあんたの主である魔言将サマに申し訳が立たないんじゃ無いのか?
それにここで引き上げれば、あんたの仲間の魔族の三人だって助かるだろう?」
「…キサマ…口が回る…」
「それでもあんたが命を捨てて特攻してくるなら…
俺は容赦はしない。
腹を括ってあんたの命を奪う覚悟を決める。
それに俺は最初から負けるつもりはさらさらないからな。
全力で戦って、あんたも魔族軍も全員返り討ちにして倒す!」
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