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第268話 通行止め
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「よーしシダレ、わたしたちも退避するよー」
「了解だよ副団長!」
城壁から退避していくツツジ達を見送ったカエデとシダレも追って退避を始めた。
ふたりは姫騎士団の中でも1、2位を争う俊足。
みるみるうちに魔族達から遠ざかっていく。
「待つんだよ人間どもォ!
本気になったアタイ達から逃げられると思うなア!」
魔族たちはカエデ達を追うべく駆け出そうとしたその瞬間、
その眼前にひとりの男が立ち塞がった。
「おっと!
ここから先は行かせないんだな、これが。
…さあ、ここは俺に任せて先に行くんだ妹たち!」
「はーい兄様ー」
「兄様も気を付けてね!」
急速で離脱していくふたりの妹を
後ろ手を振って見送る鳴鐘 慧河、25歳童貞。
「いきなり何だいオマエは!?
邪魔をするなァ!」
ヴィシルはその手から長い爪を伸ばし斬りかぶった!
鉄製の鎧をもバターの様に切り裂くという、
獣人型魔族が誇る魔爪である。
だが…その必殺の攻撃はあっさりと躱されて、
逆にカウンターで彼女の腹に慧河の渾身の拳が突き刺さった。
「が…はァ…そ、そんな…アタイがたった一撃で…?」
獣人型魔族ヴィシルは前のめりに倒れ、
そのまま動かなくなった。
「おお…油断していたとは言え、あのヴィシルを一撃で倒すとは!?
その格好、騎士でも戦士でもないですね。
私と同じく徒手空拳を戦闘スタイルとする拳士ですかな?」
鬼人型魔族ガグーンは
その筋肉粒々の巨大な拳を嵐の如く繰り出して慧河に攻撃を仕掛けた。
「拳士か…広い意味でなら
その範疇かも知れないけど、
俺は正式には『気士』だからなあ!」
慧河も音速で拳を繰り出してガグーンと真正面から渡り合う。
「キシ? つまり”騎士”とは違うという事ですね。
もしかして其れは異世界の言葉ですかな?
まさか…アナタが噂に聞く異世界の勇者だというのですか!?
『雷光撃!』」
「期待させて悪いが、俺は勇者じゃない!
『地ノ宮流気士術・一の型、雷迅』!」
ガグーンの魔力の雷を纏った正拳突き、
慧河の雷撃状の気を纏った正拳突きが真正面からぶつかった。
「お…おお…!
この威力は…うおッ!?」
ガグーンの巨体がまるでゴムボールの様に跳んで城壁に激突した。
彼も先のヴィシル同様にそのまま動かなくなった。
「了解だよ副団長!」
城壁から退避していくツツジ達を見送ったカエデとシダレも追って退避を始めた。
ふたりは姫騎士団の中でも1、2位を争う俊足。
みるみるうちに魔族達から遠ざかっていく。
「待つんだよ人間どもォ!
本気になったアタイ達から逃げられると思うなア!」
魔族たちはカエデ達を追うべく駆け出そうとしたその瞬間、
その眼前にひとりの男が立ち塞がった。
「おっと!
ここから先は行かせないんだな、これが。
…さあ、ここは俺に任せて先に行くんだ妹たち!」
「はーい兄様ー」
「兄様も気を付けてね!」
急速で離脱していくふたりの妹を
後ろ手を振って見送る鳴鐘 慧河、25歳童貞。
「いきなり何だいオマエは!?
邪魔をするなァ!」
ヴィシルはその手から長い爪を伸ばし斬りかぶった!
鉄製の鎧をもバターの様に切り裂くという、
獣人型魔族が誇る魔爪である。
だが…その必殺の攻撃はあっさりと躱されて、
逆にカウンターで彼女の腹に慧河の渾身の拳が突き刺さった。
「が…はァ…そ、そんな…アタイがたった一撃で…?」
獣人型魔族ヴィシルは前のめりに倒れ、
そのまま動かなくなった。
「おお…油断していたとは言え、あのヴィシルを一撃で倒すとは!?
その格好、騎士でも戦士でもないですね。
私と同じく徒手空拳を戦闘スタイルとする拳士ですかな?」
鬼人型魔族ガグーンは
その筋肉粒々の巨大な拳を嵐の如く繰り出して慧河に攻撃を仕掛けた。
「拳士か…広い意味でなら
その範疇かも知れないけど、
俺は正式には『気士』だからなあ!」
慧河も音速で拳を繰り出してガグーンと真正面から渡り合う。
「キシ? つまり”騎士”とは違うという事ですね。
もしかして其れは異世界の言葉ですかな?
まさか…アナタが噂に聞く異世界の勇者だというのですか!?
『雷光撃!』」
「期待させて悪いが、俺は勇者じゃない!
『地ノ宮流気士術・一の型、雷迅』!」
ガグーンの魔力の雷を纏った正拳突き、
慧河の雷撃状の気を纏った正拳突きが真正面からぶつかった。
「お…おお…!
この威力は…うおッ!?」
ガグーンの巨体がまるでゴムボールの様に跳んで城壁に激突した。
彼も先のヴィシル同様にそのまま動かなくなった。
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