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第256話 国境の町
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地球とは違う何処かに存在する異世界。
魔力満ちる世界、エゾン・レイギス。
遙かな昔、この世界は
どこまでも広がる海とひとつの島だけだった。
ある日、一つの星が落ちてきた。
星は島に突き刺さった。
星には精霊たちが住んでいて、
その強大な力が蓄えられていた。
島に衝突した瞬間、
蓄えられていた精霊の力は弾けて
島は『エゾンリア大陸』と呼ばれる巨大な大陸に成長した。
そして星が突き刺さった地面の中は精霊の力で削られて、
地下にはとても巨大な空間が作られた。
やがて地上の大陸には人間という生き物が、
地下空間には魔族と呼ばれる生き物が生まれて増えていった。
地上は人間界と呼ばれるように、
地下は魔界と呼ばれるようになった。
これがこのエゾン・レイギスと呼ばれる世界と
この世界に住まう二大知的生物・人間と魔族の誕生の成り立ちである。
エゾンリア大陸中央の突き刺さった星の中で
地上の人間界と地下の魔界は繋がっている。
大陸中央は中央域と呼ばれている。
地上の人間界から地下の魔界にもっとも近い場所。
云わば人間が魔族と対峙する最前線。
この地に人間が住み着いたとしても、
瞬く間に魔族に攻撃されてしまう。
故に人間は一切住んでない空白地域である。
中央域を囲むようにして
エゾンリア大陸には人間の国々が存在する。
各国と中央域の境には
それぞれの国別に国境を護る砦が在って、
魔族の動向を監視する国境守備軍が常駐している。
そして砦を境にして村や町が在る。
つまり砦から内側が人間の住まう領域という訳である。
中央域に最も近い町のひとつ、
エクスラント聖王国領『クラシア』。
クラシアの街は頑強な防壁に囲まれており、
街へ入るには防壁に造られた門を通る必要がある。
門には遠くまで見渡せる塔が備え付けられており、
塔の最上階に居る守兵が街に怪しい者が入ってこないかを見張っている。
「ふぁあぁ…暇だ…」
塔の最上階から街の外を見張る守兵を務める男が大きくあくびをした。
「おい、幾ら何でも気が抜けすぎなんじゃないか?
ここは中央域に最も近い町のひとつなんだ。
いつ何時魔族が襲ってきてもおかしくはないんだぞ?」
隣に立つもうひとりの守兵が戒めの言葉を掛ける。
「そんなこと言ってもさあ…
国境を護る砦に常駐する守備軍は精強だ。
魔族が砦を超えて、
この街まで攻め込んで来たなんてことは此処数百年は皆無なんだ。
俺たちの見張り仕事なんて儀礼的なものじゃないか?」
「そりゃあそうかも知れないが…
…ん?
ちょっと待て!」
守兵のひとりが街の遙か遠くでうごめく何かを捉えた。
この遠距離で見える人影の様なもの…?
それも複数?
まさかこれは…?
「土くれの巨人の一群か!?」
驚愕の声を上げる守兵。
いま此処に、
数百年振りに魔族がクラシアの町に侵攻を開始したのだ。
魔力満ちる世界、エゾン・レイギス。
遙かな昔、この世界は
どこまでも広がる海とひとつの島だけだった。
ある日、一つの星が落ちてきた。
星は島に突き刺さった。
星には精霊たちが住んでいて、
その強大な力が蓄えられていた。
島に衝突した瞬間、
蓄えられていた精霊の力は弾けて
島は『エゾンリア大陸』と呼ばれる巨大な大陸に成長した。
そして星が突き刺さった地面の中は精霊の力で削られて、
地下にはとても巨大な空間が作られた。
やがて地上の大陸には人間という生き物が、
地下空間には魔族と呼ばれる生き物が生まれて増えていった。
地上は人間界と呼ばれるように、
地下は魔界と呼ばれるようになった。
これがこのエゾン・レイギスと呼ばれる世界と
この世界に住まう二大知的生物・人間と魔族の誕生の成り立ちである。
エゾンリア大陸中央の突き刺さった星の中で
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大陸中央は中央域と呼ばれている。
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云わば人間が魔族と対峙する最前線。
この地に人間が住み着いたとしても、
瞬く間に魔族に攻撃されてしまう。
故に人間は一切住んでない空白地域である。
中央域を囲むようにして
エゾンリア大陸には人間の国々が存在する。
各国と中央域の境には
それぞれの国別に国境を護る砦が在って、
魔族の動向を監視する国境守備軍が常駐している。
そして砦を境にして村や町が在る。
つまり砦から内側が人間の住まう領域という訳である。
中央域に最も近い町のひとつ、
エクスラント聖王国領『クラシア』。
クラシアの街は頑強な防壁に囲まれており、
街へ入るには防壁に造られた門を通る必要がある。
門には遠くまで見渡せる塔が備え付けられており、
塔の最上階に居る守兵が街に怪しい者が入ってこないかを見張っている。
「ふぁあぁ…暇だ…」
塔の最上階から街の外を見張る守兵を務める男が大きくあくびをした。
「おい、幾ら何でも気が抜けすぎなんじゃないか?
ここは中央域に最も近い町のひとつなんだ。
いつ何時魔族が襲ってきてもおかしくはないんだぞ?」
隣に立つもうひとりの守兵が戒めの言葉を掛ける。
「そんなこと言ってもさあ…
国境を護る砦に常駐する守備軍は精強だ。
魔族が砦を超えて、
この街まで攻め込んで来たなんてことは此処数百年は皆無なんだ。
俺たちの見張り仕事なんて儀礼的なものじゃないか?」
「そりゃあそうかも知れないが…
…ん?
ちょっと待て!」
守兵のひとりが街の遙か遠くでうごめく何かを捉えた。
この遠距離で見える人影の様なもの…?
それも複数?
まさかこれは…?
「土くれの巨人の一群か!?」
驚愕の声を上げる守兵。
いま此処に、
数百年振りに魔族がクラシアの町に侵攻を開始したのだ。
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