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第252話 心からの安堵
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クレハに続きイチョウもポーラ姫の側に歩み出る。
そして姫騎士ふたりで主であるポーラ姫の両肩を担ぎ上げる形となった。
「…う、ううん…ここは…?」
綺麗な碧眼をゆっくりと開いて周囲を見渡すポーラ姫。
「姫様、目を覚まされましたか?
私達の三位一体攻撃を受けて
しばらく気を失われていたのですよ。
組手試合の決着は着きました。
私達姫騎士団の勝利という形で。
勝った方が意見を通すというのが、
試合開始前の取り決めでございます。
それでは私の言う通りに従っていきましょうか姫様。
さっそく執務室に戻りましょう。
国王代理の仕事が首を長くして待っております故」
シノブさんの後に続いて
ポーラ姫はクレハとイチョウに両肩を抱え上げられたまま、
城内の中庭から連れ出されていく。
これで何度目になるかの既視感。
例えるなら王道コントのいつものオチのシーン。
まるで実家の様な安心感である。
「…いちおう断っておきますが、
『偏光幻』の魔法を使って抜け出そうとしても無駄ですからね姫様。
姫騎士団に同じ技は二度と通じません故」
「わ…わかってますわシノブ…」
ポーラ姫は不満そうに口を尖らせて言葉を述べる。
あの様子だと言われなければ、
幻惑魔法を使おうとしたのでは無いだろうか…?
「あっ…ケイガお兄様…」
シノブさん達に連行されていくポーラ姫が、
俺に向かって振り向きながら目線を投げかける。
まるで捨てられた子犬の様なまなざし。
愛しい妹からそんな救いを求めるような目で見つめられては…
兄としては手を伸ばし、
救いの手を差し伸べるしか無いだろう。
…本来であれば。
だが今の俺は手を差し伸べはしない。
手を振って、
笑顔を浮かべて、
彼女を見送った。
「ポーラ。国王代理の仕事…頑張ってな」
「…ああっ!
お兄様あー!?」
ポーラ姫は悲嘆に満ちた叫びを投げかけながら、
俺の視界から消えて行った。
これはポーラ姫とシノブさんで取り決めた試合の結果なのである。
言わばその神聖な結果を俺如きが否定することは出来ない。
幾ら愛しい妹に助けを求められても、
こればかりは受ける訳には行かないのである。
兄としても時には…
妹の望みに答えられない事があるのだ。
俺はそう”言い訳”をすると、
自分の席に戻って椅子にどっかりと座った。
ふう…疲れた。
俺はポーラ姫の猛攻の脅威が去ったことを噛みしめて、
久方ぶりに心から安堵した。
兄の誇りも尊厳も失わずに済んだのである。
俺は兄として生き延びることが出来たのだ!
そして姫騎士ふたりで主であるポーラ姫の両肩を担ぎ上げる形となった。
「…う、ううん…ここは…?」
綺麗な碧眼をゆっくりと開いて周囲を見渡すポーラ姫。
「姫様、目を覚まされましたか?
私達の三位一体攻撃を受けて
しばらく気を失われていたのですよ。
組手試合の決着は着きました。
私達姫騎士団の勝利という形で。
勝った方が意見を通すというのが、
試合開始前の取り決めでございます。
それでは私の言う通りに従っていきましょうか姫様。
さっそく執務室に戻りましょう。
国王代理の仕事が首を長くして待っております故」
シノブさんの後に続いて
ポーラ姫はクレハとイチョウに両肩を抱え上げられたまま、
城内の中庭から連れ出されていく。
これで何度目になるかの既視感。
例えるなら王道コントのいつものオチのシーン。
まるで実家の様な安心感である。
「…いちおう断っておきますが、
『偏光幻』の魔法を使って抜け出そうとしても無駄ですからね姫様。
姫騎士団に同じ技は二度と通じません故」
「わ…わかってますわシノブ…」
ポーラ姫は不満そうに口を尖らせて言葉を述べる。
あの様子だと言われなければ、
幻惑魔法を使おうとしたのでは無いだろうか…?
「あっ…ケイガお兄様…」
シノブさん達に連行されていくポーラ姫が、
俺に向かって振り向きながら目線を投げかける。
まるで捨てられた子犬の様なまなざし。
愛しい妹からそんな救いを求めるような目で見つめられては…
兄としては手を伸ばし、
救いの手を差し伸べるしか無いだろう。
…本来であれば。
だが今の俺は手を差し伸べはしない。
手を振って、
笑顔を浮かべて、
彼女を見送った。
「ポーラ。国王代理の仕事…頑張ってな」
「…ああっ!
お兄様あー!?」
ポーラ姫は悲嘆に満ちた叫びを投げかけながら、
俺の視界から消えて行った。
これはポーラ姫とシノブさんで取り決めた試合の結果なのである。
言わばその神聖な結果を俺如きが否定することは出来ない。
幾ら愛しい妹に助けを求められても、
こればかりは受ける訳には行かないのである。
兄としても時には…
妹の望みに答えられない事があるのだ。
俺はそう”言い訳”をすると、
自分の席に戻って椅子にどっかりと座った。
ふう…疲れた。
俺はポーラ姫の猛攻の脅威が去ったことを噛みしめて、
久方ぶりに心から安堵した。
兄の誇りも尊厳も失わずに済んだのである。
俺は兄として生き延びることが出来たのだ!
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