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第249話 窮地
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シノブさんが放つ無数の音速の剣突。
それを真っ向から全て杖で捌き切るポーラ姫。
先程までの物理戦闘ではシノブさんに
終始押圧されていたポーラ姫と比べるとまるで別人である。
「姫様…これ程とは?」
「行きますよシノブ!」
ポーラ姫は杖をバトンの様に回転させてシノブさんに向けて振りかぶる。
先程までの彼女はこの回転技を防御の盾代わりとして使っていた。
だが彼女はここで初めて攻撃の技に転化させたのである。
凄まじい速度で回転する杖が、
まるで回転ノコギリの様にシノブさんに迫り来る。
シノブさんは剣を振るいその進撃を止めようとするが、
回転力に弾かれて徐々に後退を余儀なくされる。
先程とはポーラ姫の力が、速度が、まるで違う。
ふたりの身体能力差は大きく縮まっている。
ミリィが言った通りのことが目の前で起きている。
だが俺が見た限り、
まだ少し…シノブさんのほうが身体能力では上回っているだろうか?
「ならば!」
シノブさんは剣を水平に構えると
回転の中心であるポーラ姫の持ち手へと突き出す。
ポーラ姫は杖の回転を止めてその一撃を躱すが、
攻勢が止まったその隙をシノブさんは見逃すことは無い。
ポーラ姫に向かって必殺のカウンター攻撃である超速度の剣突を繰り出した。
「光防壁!」
しかしポーラ姫の光の防御魔法が発動、
光の壁にシノブさんの剣は受け止められた。
「魔力喰い!」
シノブさんは右手に握った顎状の異形の剣で
ポーラ姫を護る光の壁を即座にかき消した。
そして息を付かせる間もなく左手に握った二本目の剣を
ポーラ姫に向かって繰り出した。
「光防壁!」
しかし即座に再発動した光の壁にその剣は喰い止められた。
…速い!
シノブさんは左手の剣を引くと
右手の魔力喰いを新たな光の壁に繰り出そうとするが、
それよりも早く光の壁が”消えた”。
「光線砲!」
光の壁が消えたと同時に、必殺の光線が放たれる。
魔法の次弾へのタイムラグがさっきとは比べ物にはならない。
魔力数値の大幅な上昇は
ここまで戦闘能力を向上させるものなのか!?
シノブさんは間一髪、
身を捻って直撃だけは躱すものの、
光線は軽装状態である彼女の身体を掠めて
少ないまでもダメージを与えた。
「…姫様を護る盾であり剣である私が、
他らなぬ姫様に追い詰められようとは」
シノブさんは小さく呼吸を繰り返す。
その頬には汗が伝っている。
いつも冷静沈着な彼女が
完全に追い詰められている…と俺は肌で感じた。
それを真っ向から全て杖で捌き切るポーラ姫。
先程までの物理戦闘ではシノブさんに
終始押圧されていたポーラ姫と比べるとまるで別人である。
「姫様…これ程とは?」
「行きますよシノブ!」
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先程までの彼女はこの回転技を防御の盾代わりとして使っていた。
だが彼女はここで初めて攻撃の技に転化させたのである。
凄まじい速度で回転する杖が、
まるで回転ノコギリの様にシノブさんに迫り来る。
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回転力に弾かれて徐々に後退を余儀なくされる。
先程とはポーラ姫の力が、速度が、まるで違う。
ふたりの身体能力差は大きく縮まっている。
ミリィが言った通りのことが目の前で起きている。
だが俺が見た限り、
まだ少し…シノブさんのほうが身体能力では上回っているだろうか?
「ならば!」
シノブさんは剣を水平に構えると
回転の中心であるポーラ姫の持ち手へと突き出す。
ポーラ姫は杖の回転を止めてその一撃を躱すが、
攻勢が止まったその隙をシノブさんは見逃すことは無い。
ポーラ姫に向かって必殺のカウンター攻撃である超速度の剣突を繰り出した。
「光防壁!」
しかしポーラ姫の光の防御魔法が発動、
光の壁にシノブさんの剣は受け止められた。
「魔力喰い!」
シノブさんは右手に握った顎状の異形の剣で
ポーラ姫を護る光の壁を即座にかき消した。
そして息を付かせる間もなく左手に握った二本目の剣を
ポーラ姫に向かって繰り出した。
「光防壁!」
しかし即座に再発動した光の壁にその剣は喰い止められた。
…速い!
シノブさんは左手の剣を引くと
右手の魔力喰いを新たな光の壁に繰り出そうとするが、
それよりも早く光の壁が”消えた”。
「光線砲!」
光の壁が消えたと同時に、必殺の光線が放たれる。
魔法の次弾へのタイムラグがさっきとは比べ物にはならない。
魔力数値の大幅な上昇は
ここまで戦闘能力を向上させるものなのか!?
シノブさんは間一髪、
身を捻って直撃だけは躱すものの、
光線は軽装状態である彼女の身体を掠めて
少ないまでもダメージを与えた。
「…姫様を護る盾であり剣である私が、
他らなぬ姫様に追い詰められようとは」
シノブさんは小さく呼吸を繰り返す。
その頬には汗が伝っている。
いつも冷静沈着な彼女が
完全に追い詰められている…と俺は肌で感じた。
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