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第248話 言霊

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「この世界エゾン・レイギスでは魔力の強さは
そのまま肉体の強さに比例する。
そして魔力で行使される魔法の強さももちろん上がる。
我が従妹いもうとポーラは
この試合の土壇場に於いて、大きく魔力を向上させた。
つまり物理戦、魔法戦どちらにおいても、
その強さはさっきまでとは比べ物にならない筈だよ」

「でもミリィはさっき言っていたじゃないか。
身体能力は魔法数値とは違う。
数値に出ない身体能力ではシノブさんの方が上回っているって」

「ケイガ兄君様あにぎみさま
確かに魔力の強さと身体能力の強さは
そのままの数値の比例では反映されないけれど、
魔力が向上すればその分、身体能力に確実にプラスはされるんだ。
肉体が強くなるってことは
そのまま力、防御力、速度が上がるということだからね。
ポーラは魔力数値を一気に50も上げたんだ。
対してシノブの魔力数値は70、
これ程の数値となればポーラとシノブとの身体能力の差を埋めるには十分だ。
それに加えてポーラは魔法の強さ、
つまり威力や次弾へのタイムラグも向上しているだろう。
つまりポーラの自信は決して戯言たわごとなんかじゃない。
そして…そんなポーラを最も間近で見ていたシノブも
そのことは解っている筈だよ。
戯言たわごとなんて言ったのは、
気勢を保つための自分への発破はっぱ掛けだったんじゃないかな?」

 そ、そんな…
 それじゃあシノブさんは…
 勝てないってことか?

 俺はその言葉を飲み込んだ。
 言霊ことだまという言葉がある。
 言ってしまえば現実になると言う意味。
 だから俺は口にするのめたのだ。
 俺は正直言ってシノブさんを応援している。
 普通に仲の良い兄妹の関係を望む俺の意を汲んでくれた彼女に
 ぜひ勝ってほしいと願っているのだ。
 もしポーラ姫が勝とうものなら俺は…
 あっと言う間に兄としての尊厳も何もかも破壊されてしまうだろう。 
 美少女おっぱいプリンセスという属性てんこ盛りの彼女が
 本気で攻勢を仕掛けて来ようものなら
 25歳童貞であり、おっぱい星人でもある俺に抗う術は皆無なのである。

 だから…勝ってくださいいいシノブさああああん!!
 
「シノブ、
来ないのですか?
それではわたくしから行きますよ?」

 その言葉が言い終わるかより早く、ポーラ姫の姿が消えた。
 次の瞬間、シノブさんの間近に瞬速で跳んで一気に間合いを詰めた彼女。
 その手に握った杖を超速でシノブさんに向けて振り下ろす。
 対して迎え撃つシノブさんも超速で剣を振るう。
 二人の得物えものが音を立てて激しくぶつかり合った。
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