シスターヴレイヴ！～上司に捨て駒にされ会社をクビになり無職ニートになった俺が妹と異世界に飛ばされ妹が勇者になったけど何とか生きてます～

第242話 魔力喰い

　シノブさんは剣を凄まじい速度で突き入れる。
　音速の刃の猛突。
　しかしポーラ姫は手にした杖を
　まるでバトンの様にクルクルと高速回転させて
　盾の様に展開、
　シノブさんの攻撃のことごとくを弾いて見せる。

「流石は姫様。
それではこちらも速度を上げていきましょうか？」

　シノブさんは剣の動きの幅を大きく広げると
　ポーラ姫を囲むように突きの猛撃を繰り出した。
　360度周囲からの刃の猛突が襲い掛かる。
　ポーラ姫は再び杖をバトンの様に回転させると
　縦横無尽に振り回してシノブさんの攻撃の全てを弾いていく。
　だが…徐々に圧されていく。

「さすがはシノブですね。
光属性身体強化魔法、光の加護ライトフォースを使っていても
わたくし程度の腕前では捌ききれませんか？」

「お褒め頂きありがとうございます姫様、
それでは…お覚悟を！」

「そうはいきませんわ、『光防壁ライトウォール』！」

　ポーラ姫は光の防御魔法を展開する、
　彼女の前に出現した光の壁がシノブさんの剣を受け止めた。

「体術で及ばないのなら魔法を織り交ぜるだけですわ。
『光線砲レイ』！」

　ポーラ姫の右手のひらから光線が撃ち出された。
　この至近距離ではシノブさんでも躱し切れ無いか！？

「盾シールド！」

　シノブさんの掛け声と共に、
　魔鋼製鎧マジックメイルの手甲ガントレットが盾に変形し
　ポーラ姫の放った光属性攻撃魔法を弾いた。
　だが、完全にはその威力を相殺し切れ無かった様で
　シノブさんは後ろへと圧される。
　その隙を逃がさずポーラ姫は一気に跳んで間合いを詰めると、
　手にした杖を振りかぶる。
　シノブさんは剣で受け止めるが、
　態勢が悪い分そのまま圧されていく。
　
「はっ！」

　シノブさんは強く足を踏み留めて態勢を立て直すと、
　ポーラ姫に向けて剣を振りかぶる。
　恐ろしく速く鋭い一撃！
　これはポーラ姫の杖による防御も間に合わないか！？

「光防壁ライトウォール！」

　だがポーラ姫の前に再度、
　光の壁が展開されて其の必殺の一撃を受け止めた。

「流石は姫様。
防御魔法の展開はまさに鉄壁。
それではこちらも本気で参りましょうか。
『魔力喰いマナイーター』！」

　シノブさんの声と共に、彼女が握っている剣の刃が”変形”した。
　これは…その剣にも魔鋼製鎧マジックメイルと同じく変形機能があるのか？
　カッコイイ…男の子である俺はその変形機能フォームチェンジに見とれた。

　シノブさんの剣の刀身はまるで猛獣の牙の様な形に姿を変えると、
　そのままポーラ姫が展開している光の壁に喰い込んで、
　がぎぃん！
　という耳障りな音と共に噛み切った。