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第241話 簡潔
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ポーラ姫とシノブさんは部屋から中庭に続く大窓を開けると外へと出て行く。
クレハとイチョウも後に続く。
そしてポーラ姫とシノブさんは中庭の中心で向き合った。
「シノブ、ここは簡潔に、組手の試合で決着を付けましょう。
勝った者が自身の意見を押し通す…良いですね」
ポーラ姫は俺がよく知るいつもの楚々としたお姫様の姿勢ではなく、
いつぞやの玉座で見せた王者モード全開である。
俺とミリィは部屋の中からポーラ姫とシノブさんの姿を見ている。
「ええ、了解です。姫様」
次の瞬間、ポーラ姫とシノブさんの身体の周囲に光のオーラが沸き上がった。
自分の魔力心臓核を認識し、
魔力というものがどういうものかを理解した
今の俺にははっきりとわかった。
この光のオーラこそがふたりの魔力なのである。
俺の『見通しの眼鏡』には
ポーラ姫の魔力数値195、
シノブさんの魔力数値70、
と表示される。
「なあミリィ?
ふたりの魔力数値はかなり隔たりがある様に俺には見える。
この世界エゾン・レイギスでは
魔力数値はそのまま肉体の強さに反映されると聞いている。
これでは勝負にならないということは無いのか?」
「ふふっ、『見通しの眼鏡』の魔力数値ばかりに気を取られては
兄君様もまだまだと言わざるを得ないね。
いや…この世界に召喚されて日が浅いケイガ兄君様が、
そう認識するのも仕方は無いと言うべきだよね。
確かに魔力数値は肉体の強さに反映される。
でも身体能力と魔法数値は必ずしも比例しないんだ。
そうだね、さっきボクとポーラが組手をした時に
身体能力強化魔法を使ったけど、
上昇した魔力数値以上に身体能力が上昇していたことに
兄君様はもちろん気付かれているよね?
つまりそういうことさ」
「…ああ、確かにそうだった。
つまり魔力数値はポーラが大きく上回っているが、
数値に出ない身体能力ではシノブさんが大きく上回っている。
だから総合的な力では互角になるということか?」
「そういうことだよ兄君様!
でもふたりが互角かどうかは
実際にやり合って見ないとわからないかな?」
「姫様、団長、準備は良いですか?」
クレハがふたりの間に入って互いの準備を確認する。
ポーラ姫とシノブさんは黙って頷いた。
「それでは…試合、始め!」
イチョウが試合の開始を告げた。
「光の加護!」
開始早々、ポーラ姫は身体能力強化魔法を展開する。
その身体を光が包み込む。
彼女の魔力数値は190から209まで上昇した。
「それでは…参ります、姫様!」
シノブさんは腰から剣を抜き、駈けた。
常人では捉えることも難しい、とてつもない速度。
だがポーラ姫は手に持った杖でその音速の一撃を難なく受け止める。
「「はあっ!!」」
二人の掛け声と、
剣と杖の交錯する無数の金属音が中庭に響き渡った。
クレハとイチョウも後に続く。
そしてポーラ姫とシノブさんは中庭の中心で向き合った。
「シノブ、ここは簡潔に、組手の試合で決着を付けましょう。
勝った者が自身の意見を押し通す…良いですね」
ポーラ姫は俺がよく知るいつもの楚々としたお姫様の姿勢ではなく、
いつぞやの玉座で見せた王者モード全開である。
俺とミリィは部屋の中からポーラ姫とシノブさんの姿を見ている。
「ええ、了解です。姫様」
次の瞬間、ポーラ姫とシノブさんの身体の周囲に光のオーラが沸き上がった。
自分の魔力心臓核を認識し、
魔力というものがどういうものかを理解した
今の俺にははっきりとわかった。
この光のオーラこそがふたりの魔力なのである。
俺の『見通しの眼鏡』には
ポーラ姫の魔力数値195、
シノブさんの魔力数値70、
と表示される。
「なあミリィ?
ふたりの魔力数値はかなり隔たりがある様に俺には見える。
この世界エゾン・レイギスでは
魔力数値はそのまま肉体の強さに反映されると聞いている。
これでは勝負にならないということは無いのか?」
「ふふっ、『見通しの眼鏡』の魔力数値ばかりに気を取られては
兄君様もまだまだと言わざるを得ないね。
いや…この世界に召喚されて日が浅いケイガ兄君様が、
そう認識するのも仕方は無いと言うべきだよね。
確かに魔力数値は肉体の強さに反映される。
でも身体能力と魔法数値は必ずしも比例しないんだ。
そうだね、さっきボクとポーラが組手をした時に
身体能力強化魔法を使ったけど、
上昇した魔力数値以上に身体能力が上昇していたことに
兄君様はもちろん気付かれているよね?
つまりそういうことさ」
「…ああ、確かにそうだった。
つまり魔力数値はポーラが大きく上回っているが、
数値に出ない身体能力ではシノブさんが大きく上回っている。
だから総合的な力では互角になるということか?」
「そういうことだよ兄君様!
でもふたりが互角かどうかは
実際にやり合って見ないとわからないかな?」
「姫様、団長、準備は良いですか?」
クレハがふたりの間に入って互いの準備を確認する。
ポーラ姫とシノブさんは黙って頷いた。
「それでは…試合、始め!」
イチョウが試合の開始を告げた。
「光の加護!」
開始早々、ポーラ姫は身体能力強化魔法を展開する。
その身体を光が包み込む。
彼女の魔力数値は190から209まで上昇した。
「それでは…参ります、姫様!」
シノブさんは腰から剣を抜き、駈けた。
常人では捉えることも難しい、とてつもない速度。
だがポーラ姫は手に持った杖でその音速の一撃を難なく受け止める。
「「はあっ!!」」
二人の掛け声と、
剣と杖の交錯する無数の金属音が中庭に響き渡った。
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