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第237話 偏光幻

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「ポ、ポーラどうして此処に!?
君はさっきシノブ達に捕まって、
この部屋から連れ出されていったじゃないか?」

「ミリィお姉様、それは幻惑ですわ…」

「そんなボクは確かにこの目で…はっ!?
まさかこれは…?
光を屈折させて幻を見せるという光属性魔法…?」

「ご名答です流石はお姉様、
光の幻惑魔法『偏光幻ポラゼーション』ですわ」

「『偏光幻ポラゼーション』…
光属性魔法の中でもハイレベルと目される魔法で
使い手の技量次第では
質量を持った残像すらも見せると言われているけど…
ポーラ、君がこの魔法を使いこなせる様になっているとは知らなかったよ」

「ふふっ、お姉様。
ポーラもいつまでも子供ではありませんわ。
日々成長しておりますの!」

ポーラ姫はドヤ顔全開でミリィに言葉を返す。

「むっ、その顔はちょっとしゃくに障るけど…
シノブ達やボクの目を完全に欺いたんだから大したものだね。
認めるしかないね我が愚従妹ぐまいの成長ぶりを。
すごいよポーラ!」

「ポーラやりましたわ!
魔法でお姉様に褒められましたの!」

 ポーラ姫はよほど嬉しかったのか、
 満面の笑顔を浮かべながらぴょんぴょん跳んでいる。
 さっきのドヤ顔といいクルクルと表情かおが変わって可愛い。
 いつもの楚々とした表情かおとはまた違う魅力を俺は感じた。

「…おや…お兄様?
もしかして今わたくしを…?
愛しいと思いましたか?」

「ど、どうしてわかった!?」

 俺は意中をずばり当てられて思わず声を出してしまった。

「お兄様のことならポーラなんでもわかりますわ」

 うあああああああああ!!
 完全に俺はポーラ姫に見透かされている…。
 流石はこの聖王国の国王代理を務める聖王女。
 庶民である俺の意中など手に取る様にわかってしまうということである。
 でも俺の心の中をそんなに声に出さないでええええ!!

「ケイガお兄様ー!」

 ポーラ姫は俺の名前を呼びながら俺の腕に自身の腕を絡ませて来た。
 うあああああ彼女のロイヤルおっぱいがああ!
 俺と言うひなびた港に緊急接岸して来ちゃうううう!?
 俺港にそんな超ド級豪華おっぱいを受け入れる心身の容量キャパシティは無いのおおおお!

「こらポーラ!
また調子に乗って…お兄様が迷惑してるだろう?
それはそうと、
光の幻惑魔法と言うハイレベルな魔法を使ってまで、
此処に残ったのは何の為なんだい?」

「簡単なことですわお姉様。
わたくしは光の魔法の使い手の先達せんだつとして…
同じ光属性であるお兄様に魔法をお教えしたいのです」
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