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第216話 光の壁

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「…これは自業自得という奴だよポーラ。
君は兄君様あにぎみさまに魔法を教えるのは自身が適任と言いながら、
実際やったことは自身の欲望のままに口づけを迫っただけ。
兄君様あにぎみさまの大切な魔法の授業を愚弄したのだからね?」

「そんなことはありませんの。
ポーラは光属性の魔法の使い手として、
ちゃんとお兄様に魔法を実践しようと思いましたわ。
ただ…その…
お兄様の逞しい腕に触れて…
厚い胸板に抱かれたら…
急にお兄様とキスしたくなりました。
…てへ♪
ですわ」

「…てへ♪
じゃないよポーラあ!」

「それでは此処からは、
光の属性を持つわたくしが責任を持って、
光の魔法を実践いたしますわ。
…お兄様、よく見ていてくださいね。
光の防御魔法、
光防壁ライトウォール!」

 ポーラ姫の声と共に前に光り輝く壁が現れた。

「光の防御魔法の威力を見てもらうには
実際に攻撃しなきゃダメだよね。
…それも魔族の闇の魔力の技と同質である
闇の攻撃魔法でないといけないね。
それじゃいくよポーラ!
闇の攻撃魔法、
暗黒撃衝ブラックブラス!」

 ミリィがかざした杖から黒色のエネルギー波が放たれて、
 ポーラ姫の創った光の壁に迫り来る。
 しかし光の壁はミリィの闇の攻撃魔法を完全に防いで霧散させた。

 光の防御魔法は魔族の闇の魔力を防ぎ切る
 頼りになる盾になるということが
 俺の目からも実証された。
 しかし闇の魔法も光の魔法と同じく修得が難しいと言っていたが…
 ミリィは風属性で属性違いにも関わらずどちらも使えるという事か。
 流石は魔術に長けたエルフの血を引くハーフエルフであり、
 魔法学者ということなのだろうか?
 俺は彼女の底知れぬ魔法の才覚に驚いた。

「流石はポーラ。
元より護りの術に才覚のある君が
光防壁ライトウォールを展開したら
ボクの攻撃魔法ではその防御を抜くことは出来ないだろう。
ならば近接戦でしかないよね!
風の身体能力強化魔法、
風の舞護シルフィーダンス!」

ミリィの身体の周りを風が包み込む。
そして俺が掛けている
見通しの眼鏡スカウターレンズ』に映る
ミリィの魔力数値が195から214まで上昇する。

 地を蹴り上げてポーラ姫に向かって跳ぶミリィ、
 …速い!?
 これが身体能力強化魔法の威力なのか?

「それではこちらも近接戦でお相手いたしますわミリィお姉様。
光の身体能力強化魔法、
光の加護ライトフォース!」

 ポーラ姫の身体を光が包み込む。
 そして彼女の魔力数値は190から209まで上昇した。
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