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第212話 魔法を扱うものの心得

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「ケイガ兄君様あにぎみさまは魔法習得に関して最後まで堅実だね。
異世界、地球から召喚された者たちは大体、
派手で火力の高い攻撃魔法を真っ先に習得しようとする傾向が有るからね。
だから兄君様あにぎみさまのとても手堅い見解はとても新鮮だったよ。
魔法学者のボクから見ても、
結構気付かされたと言うか…学ぶところがあったね」

「ははっ、ミリィ。
別にそんなに大したことは無いさ。
俺は元の世界でも戦いに身を投じていた。
戦いは命のやりとり。
ほんの少しの油断がまさに命取りとなる。
だから俺は少しでもリスクの少ない堅実な戦いの方法を選んでいるだけさ。
それに…大切な妹たちへの誤爆なんて、決して有ってはならないからな。
まあ…慎重すぎて、只の臆病者の考えなのかもしれないけどなあ」

「なるほど、以前に聖王国に来ていたクロカワ一行は
元の世界では戦いの経験は無いと言っていた。
対して元の世界でも戦いの経験が豊富なケイガ兄君様あにぎみさまは、
彼女たちとは魔法についての考えに大きな差があるという訳だね。
うん、流石は兄君様あにぎみさまだ!

魔法は強大な力をもたらすすべ
そしてとてもデリケートなものなんだ。
ほんの少しの力の入れ具合の間違いで、
術者本人も、そしてその周りの人間も命を失いかねない。

だから兄君様あにぎみさまの様に、
それこそ、臆病なぐらい慎重なほうが魔法を扱う術者の心得としては正しいんだよ。

…それじゃあ、ケイガ兄君様あにぎみさま
早速魔法を指導しようじゃないか。
エクスラント聖王国の魔術学者であるボクにどーんとお任せだよ!
まずは兄君様あにぎみさまの魔力属性である
”光属性”の魔法をボクが実際使って見せるからね」

「ちょっとお待ちくださいの!
ミリィお姉様!」

 突然の声と共に、
 俺たちが魔法授業を受けているミリィの部屋の入口の扉が勢いよく開いて、
 先刻、シノブさんたち姫騎士団プリンセスナイツ
 連行されていった筈のポーラ姫が再び姿を現した。

「うわあポーラ!?
急に現れるからびっくりしたよ!
シノブが言っていた、
山のように溜まっているという
国王代理の認可書類の仕事はどうしたんだい?」

「あんな一瞥してハンコを押すだけのお仕事は
わたくしが本気になればたやすいですわ!
…それよりもミリィお姉様!
仕事を終わらせて急ぎお姉様の部屋に戻ってみれば、
部屋の中から聞き捨てならない言葉が漏れてきましたの!
ケイガお兄様がわたくしと同じ光属性ということに!!
それは本当なんですのミリィお姉様っ!?」
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