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第210話 俺の属性

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「???…???」

 優羽花ゆうかはヒカリの話が難解過ぎて
 頭脳がオーバーロードを起こし、
 その動きを完全に停止してしまった。

 優羽花ゆうかは頭を使うのは苦手と自分でよく言っているが
 あくまで頭の回転がゆっくりなだけであり、頭自体が悪いわけではない。
 時間が立てば理解できるだろう。
 自分がヒカリから”おねえちゃん”と呼ばれることは永遠とわに無いという
 優羽花ゆうか自身にとって辛く厳しい事実に。
 とりあえずそっとしておこう。

 俺は教壇のミリィに向き直ると、
 この異世界エゾン・レイギスの魔法についての授業を再開する。

「ミリィ先生、
習得する魔法の属性は使用者の属性を元に選ぶということはわかった。
基本的に大多数の人間は無属性ということなら、
俺も無属性ということになるかな?
それなら属性による魔法の威力の低下は起こらないから、
俺は全ての属性魔法を習得出来るということで良いのかな?」

「確かに兄君様あにぎみさまは元々は無属性だったのかもしれない。
でも今は光の精霊ヒカリ様と契約して魔力を得ているからね。
契約によって上位存在の魔力を共有している者は
必然的に上位存在の属性の魔力になるんだよ。
つまり兄君様あにぎみさまは光属性ということになるね」

「そっか、俺は光の属性だったのか。
優羽花ゆうかやポーラ姫と同じか。
つまり俺はポーラ姫が部長たちとの戦いで使用していた魔法と同じものを使えるという認識で良いのかな?」

「魔法属性の方向性に関してはその通りだよ、兄君様あにぎみさま
魔法には一定の魔力数値を超えないと習得できないものも存在するけど、
兄君様あにぎみさまの魔力数値は40もあるからね。
伝説級レジェンドクラスの戦略攻撃魔法ならいざ知らず、
基本的な魔法なら全て習得できる筈だよ。
でもポーラと全く同じ魔法を習得できるというのは一概には言えないかな?
魔法の習得には魔法の種類における相性と言うか、センスにも左右されるからね」

「魔法の種類? 相性?
えっと…俺が見た範囲だと
攻撃魔法、防御魔法、回復魔法、能力強化魔法があったよなあ。
これらの種類に対して個人によって相性やセンスに差があって
それぞれ得手不得手があるということでいいのかな?」

「流石は兄君様あにぎみさま、理解が早いね。
相性やセンスは実際に魔法を習得してみないとわからない。
だからとりあえずやってみることが重要だね。
兄君様あにぎみさまはどういった種類の魔法を覚えたいんだい?
こういうことは本人のやりたいことを思いのままに始めるのが一番だからね」

「…そうだなあ、俺は」
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