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第202話 誤り
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ヒカリの全身から放たれていた閃光が収まって、
俺の周囲の景色が急速に元に戻っていく。
そして手で目を覆っているふたりの妹の姿が視界に飛び込んで来た。
「今のはまぶしかったあ…
大丈夫なの?
お兄?」
「…凄い光だったね。
伝承では精霊様は契約の際に、
本来の姿に戻ると言われてるけど、
今の現象がまさにそうだったのかな?
兄君様、その様子だと
光の精霊様との契約は上手くいったのかい?」
優羽花とミリィが俺に言葉を掛ける。
「優羽花、大丈夫だ問題ない。
ミリィ、ああ契約は無事成功したぞ!
それよりも見てくれ、
俺の身体から溢れる凄い魔力をッ!!
うおおおおおお…!
力が高まる…溢れる…。
これほどのパワーなら
俺は上位魔族であろうとも、
どんな相手にも負けない!
俺は今後どんな敵が来ようとも、
妹たちみんなを護れるんだ!
ミリィ!
君の掛けている見通しの眼鏡に見えている
俺の魔力数値はいくつだ!?」
「…えっ、ええと…
兄君様。
よ、40だけど…?」
「…よ、40…?
たった40…だと…?」
この異世界エゾン・レイギスの一般的な大人の魔力数値は5。
それに比べれば40は遙かに高い数値ではある、あるのだが…。
俺が感じた、相手が上位魔族であれ何であれ、
絶対に負けないという万能感というか高揚感に対して、
40という魔力数値は実際は見合っていないと思う…。
そして姫騎士団の魔力数値は全員50以上、
ポーラ姫190、ミリィ195。
彼女たちと比較してかなり見劣りする数値である。
…何故?
どうしてこうなった?
俺は思考する。
元々俺は魔力がゼロだった。
その状態から突然、魔力数値40を得た。
数値だけで言うなら40倍以上、
いや元がゼロなのだから、それ以上の体感があるだろう。
つまり突然40倍以上の未知のパワーを得たことにより、
実際の数値とはかけ離れた万能感、高揚感を感じてしまったということか…?
…これが戦闘中で無くて良かった。
もし実際の戦闘中であったなら、
俺は自身の力を見誤って敵に無謀に突っ込んで
敗北していた可能性が高いだろう。
しかし何と言うか…俺は凄く調子に乗ってしまい、
妹たちを前に大見得を切ってしまった…。
うう…恥ずかしい。
妹たちにあわす顔が無い。
まさに穴があったら入りたい心境である。
出来ることならこの場から逃げ出したい。
だが、過ちはすぐに正さなくてはならない。
男として、兄として、当然の行為である。
俺は襟を正すと、ミリィと優羽花に向き直った。
俺の周囲の景色が急速に元に戻っていく。
そして手で目を覆っているふたりの妹の姿が視界に飛び込んで来た。
「今のはまぶしかったあ…
大丈夫なの?
お兄?」
「…凄い光だったね。
伝承では精霊様は契約の際に、
本来の姿に戻ると言われてるけど、
今の現象がまさにそうだったのかな?
兄君様、その様子だと
光の精霊様との契約は上手くいったのかい?」
優羽花とミリィが俺に言葉を掛ける。
「優羽花、大丈夫だ問題ない。
ミリィ、ああ契約は無事成功したぞ!
それよりも見てくれ、
俺の身体から溢れる凄い魔力をッ!!
うおおおおおお…!
力が高まる…溢れる…。
これほどのパワーなら
俺は上位魔族であろうとも、
どんな相手にも負けない!
俺は今後どんな敵が来ようとも、
妹たちみんなを護れるんだ!
ミリィ!
君の掛けている見通しの眼鏡に見えている
俺の魔力数値はいくつだ!?」
「…えっ、ええと…
兄君様。
よ、40だけど…?」
「…よ、40…?
たった40…だと…?」
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それに比べれば40は遙かに高い数値ではある、あるのだが…。
俺が感じた、相手が上位魔族であれ何であれ、
絶対に負けないという万能感というか高揚感に対して、
40という魔力数値は実際は見合っていないと思う…。
そして姫騎士団の魔力数値は全員50以上、
ポーラ姫190、ミリィ195。
彼女たちと比較してかなり見劣りする数値である。
…何故?
どうしてこうなった?
俺は思考する。
元々俺は魔力がゼロだった。
その状態から突然、魔力数値40を得た。
数値だけで言うなら40倍以上、
いや元がゼロなのだから、それ以上の体感があるだろう。
つまり突然40倍以上の未知のパワーを得たことにより、
実際の数値とはかけ離れた万能感、高揚感を感じてしまったということか…?
…これが戦闘中で無くて良かった。
もし実際の戦闘中であったなら、
俺は自身の力を見誤って敵に無謀に突っ込んで
敗北していた可能性が高いだろう。
しかし何と言うか…俺は凄く調子に乗ってしまい、
妹たちを前に大見得を切ってしまった…。
うう…恥ずかしい。
妹たちにあわす顔が無い。
まさに穴があったら入りたい心境である。
出来ることならこの場から逃げ出したい。
だが、過ちはすぐに正さなくてはならない。
男として、兄として、当然の行為である。
俺は襟を正すと、ミリィと優羽花に向き直った。
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