192 / 556
第192話 欲深
しおりを挟む
「…何よそれ…」
「ははっ、優羽花にとっては只の迷惑だったかな?」
「…その言い方ずるい」
「ずるい?」
「あたしは別に!
”特別”何て言われても!
嬉しくなんて無いんだからね!」
「…う、うん…?
その言い回しだと…
ツンデレ的には嬉しいという事か?」
「いちいち口にすんな!
このデリカシー無しの馬鹿お兄い!!」
「何だ、やっぱり嬉しかったんだな?
優羽花が喜んでくれるなら兄さんも嬉しいぞ。
よし、お前がもっと喜んでくれる様に、
今からほっぺをいっぱい突いてあげような」
「だからそれはすんなって言ってるでしょ!!」
俺と優羽花は10年同じ屋根の下で過ごした兄妹として、
お互い遠慮なく言い合った。
「…ふふっ、やっぱりケイガ兄君様とユウカは仲がいいよね。
一昨日に妹になったばかりのボクたちじゃあちょっと間に入れないよね…」
「ミリィお姉様、そんなことはありませんわ。
ケイガお兄様はきっと隔たりなく、
わたくしたち妹全てを愛して下さいますわ。
…お兄様ー!」
「ええっ!?
今のケイガ兄君様とユウカの間に割って入るなんて…
ポーラは肝が据わっているなあ…」
俺の名前を呼びながら、俺と優羽花の間に割って入って来たポーラ姫。
彼女は俺の顔をまっすぐ見つめながら言葉を述べる。
「お兄様、ユウカ様は”つんつん”を嫌がっておられますわ。
無理強いはいけないとわたくしは思いますの!」
「えっ?
これってツンデレ特有の、
実はして欲しいけど素直になれない奴なんじゃないのか?」
「だからあたしはさっきからすんなって言ってるでしょうが!」
「…まあ本当に嫌がっているのは知ってはいたけどなあ。
俺が優羽花の頬を突きまくりたかっただけだし」
「…こ、このクソお兄ぃ…」
優羽花が拳を握りしめて震えている。
おっと、これはからかいが過ぎたな。
物理的制裁が来ないうちに引くとしようか。
「でしたらお兄様」
ポーラ姫が鉛筆を持った俺の右手を包むように握った。
「わたくしにユウカ様の分の”つんつん”もして下さいの」
「…ええっー!?
ポーラ、あれだけ兄君様に”ぷにぷに”して貰ったのに…
まだ足りないとでも言うのかい?」
「ミリィお姉様、わたくしはまだまだ満足しておりませんわ」
「…ボクはもう満足しているよ。
そういうところは流石は第一王位継承者というか…
国の長としての欲深さと言うべきなのかな…?」
「…あ、ユウカ様。
”つんつん”を本当はして貰いたいようでしたら譲りますけれど…」
「ポーラさん、あたしは本当にいいから…
良かったねお兄!
ポーラさんがお兄の趣味に付き合ってくれるって!」
ジト目で俺に言葉を放つ優羽花。
ううむ、何か棘がある言い方だよなあ…。
「それではお兄様、ユウカ様のお許しも貰えましたので…
ポーラにもう一度、”つんつん”をお願いしますの」
「ははっ、優羽花にとっては只の迷惑だったかな?」
「…その言い方ずるい」
「ずるい?」
「あたしは別に!
”特別”何て言われても!
嬉しくなんて無いんだからね!」
「…う、うん…?
その言い回しだと…
ツンデレ的には嬉しいという事か?」
「いちいち口にすんな!
このデリカシー無しの馬鹿お兄い!!」
「何だ、やっぱり嬉しかったんだな?
優羽花が喜んでくれるなら兄さんも嬉しいぞ。
よし、お前がもっと喜んでくれる様に、
今からほっぺをいっぱい突いてあげような」
「だからそれはすんなって言ってるでしょ!!」
俺と優羽花は10年同じ屋根の下で過ごした兄妹として、
お互い遠慮なく言い合った。
「…ふふっ、やっぱりケイガ兄君様とユウカは仲がいいよね。
一昨日に妹になったばかりのボクたちじゃあちょっと間に入れないよね…」
「ミリィお姉様、そんなことはありませんわ。
ケイガお兄様はきっと隔たりなく、
わたくしたち妹全てを愛して下さいますわ。
…お兄様ー!」
「ええっ!?
今のケイガ兄君様とユウカの間に割って入るなんて…
ポーラは肝が据わっているなあ…」
俺の名前を呼びながら、俺と優羽花の間に割って入って来たポーラ姫。
彼女は俺の顔をまっすぐ見つめながら言葉を述べる。
「お兄様、ユウカ様は”つんつん”を嫌がっておられますわ。
無理強いはいけないとわたくしは思いますの!」
「えっ?
これってツンデレ特有の、
実はして欲しいけど素直になれない奴なんじゃないのか?」
「だからあたしはさっきからすんなって言ってるでしょうが!」
「…まあ本当に嫌がっているのは知ってはいたけどなあ。
俺が優羽花の頬を突きまくりたかっただけだし」
「…こ、このクソお兄ぃ…」
優羽花が拳を握りしめて震えている。
おっと、これはからかいが過ぎたな。
物理的制裁が来ないうちに引くとしようか。
「でしたらお兄様」
ポーラ姫が鉛筆を持った俺の右手を包むように握った。
「わたくしにユウカ様の分の”つんつん”もして下さいの」
「…ええっー!?
ポーラ、あれだけ兄君様に”ぷにぷに”して貰ったのに…
まだ足りないとでも言うのかい?」
「ミリィお姉様、わたくしはまだまだ満足しておりませんわ」
「…ボクはもう満足しているよ。
そういうところは流石は第一王位継承者というか…
国の長としての欲深さと言うべきなのかな…?」
「…あ、ユウカ様。
”つんつん”を本当はして貰いたいようでしたら譲りますけれど…」
「ポーラさん、あたしは本当にいいから…
良かったねお兄!
ポーラさんがお兄の趣味に付き合ってくれるって!」
ジト目で俺に言葉を放つ優羽花。
ううむ、何か棘がある言い方だよなあ…。
「それではお兄様、ユウカ様のお許しも貰えましたので…
ポーラにもう一度、”つんつん”をお願いしますの」
0
お気に入りに追加
38
あなたにおすすめの小説
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊
北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。
D○ZNとY○UTUBEとウ○イレでしかサッカーを知らない俺が女子エルフ代表の監督に就任した訳だが
米俵猫太朗
ファンタジー
ただのサッカーマニアである青年ショーキチはひょんな事から異世界へ転移してしまう。
その世界では女性だけが行うサッカーに似た球技「サッカードウ」が普及しており、折りしもエルフ女子がミノタウロス女子に蹂躙されようとしているところであった。
更衣室に乱入してしまった縁からエルフ女子代表を率いる事になった青年は、秘策「Tバック」と「トップレス」戦術を授け戦いに挑む。
果たしてエルフチームはミノタウロスチームに打ち勝ち、敗者に課される謎の儀式「センシャ」を回避できるのか!?
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。
異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話
kaizi
ファンタジー
※しばらくは毎日(17時)更新します。
※この小説はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。
※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
異世界帰りのオッサン冒険者。
二見敬三。
彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。
彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。
彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。
そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。
S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。
オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?
前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に二週目の人生を頑張ります
京衛武百十
ファンタジー
俺の名前は阿久津安斗仁王(あくつあんとにお)。いわゆるキラキラした名前のおかげで散々苦労もしたが、それでも人並みに幸せな家庭を築こうと仕事に精を出して精を出して精を出して頑張ってまあそんなに経済的に困るようなことはなかったはずだった。なのに、女房も娘も俺のことなんかちっとも敬ってくれなくて、俺が出張中に娘は結婚式を上げるわ、定年を迎えたら離婚を切り出されれるわで、一人寂しく老後を過ごし、2086年4月、俺は施設で職員だけに看取られながら人生を終えた。本当に空しい人生だった。
なのに俺は、気付いたら五歳の子供になっていた。いや、正確に言うと、五歳の時に危うく死に掛けて、その弾みで思い出したんだ。<前世の記憶>ってやつを。
今世の名前も<アントニオ>だったものの、幸い、そこは中世ヨーロッパ風の世界だったこともあって、アントニオという名もそんなに突拍子もないものじゃなかったことで、俺は今度こそ<普通の幸せ>を掴もうと心に決めたんだ。
しかし、二週目の人生も取り敢えず平穏無事に二十歳になるまで過ごせたものの、何の因果か俺の暮らしていた村が戦争に巻き込まれて家族とは離れ離れ。俺は難民として流浪の身に。しかも、俺と同じ難民として戦火を逃れてきた八歳の女の子<リーネ>と行動を共にすることに。
今世では結婚はまだだったものの、一応、前世では結婚もして子供もいたから何とかなるかと思ったら、俺は育児を女房に任せっきりでほとんど何も知らなかったことに愕然とする。
とは言え、前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に、何とかしようと思ったのだった。
異世界転生 我が主のために ~不幸から始まる絶対忠義~ 冒険・戦い・感動を織りなすファンタジー
紫電のチュウニー
ファンタジー
第四部第一章 新大陸開始中。 開始中(初投稿作品)
転生前も、転生後も 俺は不幸だった。
生まれる前は弱視。
生まれ変わり後は盲目。
そんな人生をメルザは救ってくれた。
あいつのためならば 俺はどんなことでもしよう。
あいつの傍にずっといて、この生涯を捧げたい。
苦楽を共にする多くの仲間たち。自分たちだけの領域。
オリジナルの世界観で描く 感動ストーリーをお届けします。
貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!
やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり
目覚めると20歳無職だった主人公。
転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。
”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。
これではまともな生活ができない。
――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう!
こうして彼の転生生活が幕を開けた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる