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第189話 同期(シンクロ)

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”つんつん”って…ポーラさんっ、言い方!
ミリィの”ぷにぷに”もそうですけど、
男としての劣情れつじょうを随分と煽られますね!

だが兄としては妹に望まれては答えるしかない。
手にした鉛筆の柄の部分をポーラ姫へと向けた。
俺は既視感デジャブを感じた。

「よし…いくぞポーラ」

 俺はそっと金髪巨乳お姫様の頬に鉛筆を突き入れた。
 その柔らかな頬がほんのちょっとへこんだ。

「…あの、お兄様?
ちょっと”つんつん”が弱い様に思うのですけれど…?

「いや、だってさあ…」
 
 俺はこれ以上鉛筆をポーラ姫の頬に突き入れるのをためらってしまい、
 手の動きを停めてしまった。

「ケイガお兄様は、
ミリィお姉様にはもっと強く”つんつん”をしていたじゃありませんか!?
わたくしも、お兄様の妹ですのに…
ミリィお姉様だけズルイです!
わたくしにもお姉様みたいに、もっと強く”つんつん”をしてください!
ポーラ、お兄様の力強い”つんつん”が欲しいですの!」

 俺は再び強烈な既視感デジャブを感じた。
 ミリィの従妹ということでその思考も似ているという事だろうか?
 それとも従姉妹の同期シンクロというべきであろうか?

「いや…あの…そのなあ…?
ポーラはこのエクスラント聖王国の『聖王女』で、言わばこの国の顔。
国内、国外の要人との交流なんかもあるだろう。
そんな一国に取って重要な人物であるポーラの頬に
鉛筆を突き立てるなんて真似はしてはいけないと俺は思うんだが…?
俺がこの国の政治に悪影響を与える訳にはいかないだろう?」

「お兄様、お気遣い感謝します。
…ですが、ご心配は無用ですわ。
わたくしの顔、結構頑丈ですのよ?
それに万が一があったとしても回復魔法ですぐに治りますわ」

 俺はポーラ姫がミリィの激しいツッコミを受けて、
 顔からずざーと地面を滑ったあとに平然としているのを思い出した。
 なるほど…
 この世界エゾン・レイギスでは
 個の持つ魔力数値の高さはそのまま肉体の強さに直結すると
 ミリィが講義で説明していたが、
 ポーラ姫の魔力数値190というのは伊達では無いという事か。
 しかしいざとなれば回復魔法とかポーラ姫は見た目に寄らず、
 結構豪快な思考の持ち主だなあと俺は思った。
 これが一国の長としての心持ちといった所だろうか?

「…ですから、お兄様。
ご遠慮なさらずに、ポーラに思いっきり”つんつん”をお願い致しますわ」

「ああ、それなら…
少し強くするから、
痛かったらすぐに言うんだよ?」

「はい…お兄様…
それでは…どうぞ…」

「それじゃあ…行くぞ、ポーラ!」

 俺は改めて鉛筆の芯の無いほうをポーラ姫に向ける。
 そして現在の聖王国の実質の長である『聖王女』の
 清楚可憐な頬に勢いよく突き出した。
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