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第184話 罰

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「ケイガ兄君様あにぎみさま
この世界の成り立ち、その仕組み、
そして人間と魔族についての簡潔な説明は以上になるよ。
何か解らないことがあったら遠慮なく聞いてくれたまえ」

「今のところは大丈夫だミリィ。
何か気になることが有ったらその時に質問させてもらうから。
…って、優羽花ゆうか!?
何で居眠りしてるんだ?」

 俺の隣の席で我が愛しの妹、優羽花ゆうかは机に突っ伏して眠っていた。

「あはは、ユウカには長くてつまらない話だったかな?」

「まったく…
せっかくミリィがこの世界についての講義してくれているのに…。
ごめんなミリィ。
妹歴16年の俺の妹は頭は悪くはないんだが、
どうも勉強をするのが苦手みたいでな…
昔から長い話になると居眠りをしてしまう癖があるんだよ」

「別に構わないよ兄君様あにぎみさま
この世界について短時間で一気に覚えて貰おうなんてボクも思っていない。
これから少しづつ反復学習で理解してもらえば良いさ」

「ありがとう、ミリィ。
しかし優羽花ゆうか…よく寝てるなあ」

 気持ち良さそうに眠っている優羽花ゆうかの顔を見ていた俺の中に悪戯心が芽生えた。
 俺は持っていた鉛筆を裏返しにすると、優羽花ゆうかの頬に突き付けた。
 愛しい妹の頬がぷにっとへこむ。
 まるでお餅みたいだ。
 おれはぷにぷにと優羽花ゆうかを突き続けた。

「んん…やあ…お兄…」

 優羽花ゆうかは手を動かして俺の鉛筆を振り払おうとした。
 俺はすっと鉛筆を引いてその手の一撃をかわした。
 優羽花ゆうかは目を覚ましたという訳でなく、
 腕をだらんと放りだして再び深い眠りに落ちていく。
 俺は再度優羽花ゆうかを鉛筆を突いた。
 ぷにぷに、ぷにぷにと。
 
「んー! んー!」

 優羽花ゆうかは眠ったまま俺の鉛筆を払おうとするが
 俺は再度鉛筆を引いてかわし切る。
 これは隣で勉強している兄をよそに、
 自分だけ気持ち良さげに眠っている彼女への罰なのである。
 さあ! 俺の心ゆくまで、その罰を受けて貰おうか優羽花ゆうかよ!!

「…ふふっ、やはりケイガ兄君様あにぎみさまとユウカは仲が良い兄妹だね。
ボクにはとてもうらやましい限りだよ」

「こういうのが良いのかミリィ?
優羽花ゆうかは嫌がっていると思うけどなあ…。
だったら…」

「つまりボクにもその”ぷにぷに”をしてくれるのかい兄君様あにぎみさま!?」

 ミリィはその美しい瞳をキラキラと輝かせながら俺に問いかけた。
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