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第182話 大魔王の力

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「500年前、魔界に一人の魔族が生まれた。
その魔族は生まれながらに、とてつもなく強大な力を持っていた。
そして周囲の魔族を瞬く間に従えて『魔王』となると、
魔界に多数存在した他の魔王を制して
魔王の中の魔王、『大魔王』を名乗った。
大魔王はエゾン・レイギスで史上初となる、
魔界の覇者となった。

大魔王は魔界の支配だけに飽き足らず、
人間界をも征服すべく、
魔族の軍勢を率いて人間界に侵攻を開始した。
大魔王と魔族の軍の力は圧倒的で、
地上は焦土化し、
人間の国々は次々と滅ぼされて、
生き残った人々は大陸の端にまで追い込まれて、
人間は滅亡寸前にまで追い詰められたんだ。

世界の均衡を護る精霊様たちは力を結集し、
星の欠片から星剣を造りだした。
そして後に”勇者”と呼ばれることになる一人の人間に授けた。
勇者は激闘の末に辛くも大魔王を倒した。
長を失った魔族の軍勢は瓦解し魔界に退いた。
でも大魔王は滅びはしなかった。
魔界の奥底に逃れて、
復活の為に其処で深い眠りに着いたんだ。
そして一度は崩壊した魔族軍も
大魔王直属の魔界五軍将の元に再編成された。

そして大魔王が眠りについてから500年後…
精霊様の結界が綻び始めた現在、
魔族軍は再び地上への侵攻を開始したんだ。

でも、500年前の人間の魔族の大戦の終結後、
精霊様が地上と地下の間に張られた結界のおかげで
強力な魔族は地上に出てこれ無くなっている。

だから魔族たちは、
結界を超えられるぐらいの強さに抑えた戦力を地上に送り出して来たんだ。
つまり結界を超えられる中位魔族を司令官にして、
その下に大多数の下位魔族達で構成されているのが現在の魔族軍だ。

今の魔族軍はかつて人間を滅亡寸前に追い込んだ時とは
比べ物にならない程弱体化している。
人間たちの軍でも何とか渡り合える。

でもこの魔族軍はおそらく大魔王の露払いでしかないんだ。
500年の時を経て復活間近の大魔王の為のね。

大魔王が復活すれば、
人間軍は一蹴されて、
再び地上は焼き尽くされて、
人間は今度こそ滅ぼされてしまうだろう。
それ程に大魔王の力は圧倒的と言うのが、
500年前の記録から明らかなんだ。

そして強力な魔族が地上に出るのを阻む精霊様の結界も、
大魔王に通じるかは懐疑的なんだ。
もし通じるなら、
精霊様は500年前の大魔王の地上侵攻時の
もっと早い段階で結界を張ったんじゃないかと思われるからね。

正直な所…
魔族軍も他の魔族も居なくても
大魔王が復活した時点で
この地上は魔族のものになってしまう可能性が高いというのが
ボクたち学者の見解なんだ…」
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