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第166話 見る目の変化

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「ふうん…お兄、
ポーラさんに対してそんなこと考えてたんだ。
…いやらし」

 優羽花ゆうかがゴミを見るようなさげすみの目で俺を見た。
 おおう…妹歴16年の俺の愛しい妹が本領を発揮しておられるぞ!

 でも仕方が無いだろう!
 俺だって兄である前に男なんだ!
 思うぐらいは良いだろう!
 大体巨乳美少女お姫様に迫られて何も思わない男なんているのか!
 そう…男の子としてこれは不可避の必然の出来事なのだよ!!
 優羽花ゆうかあー!!!!

 俺はジト目で俺を見続ける優羽花ゆうかに対して、心の中で絶叫した。

「へえ…兄君様あにぎみさまも口づけしたいとか思ってたんだね…」

「兄様がそんなことを…?」

「…兄様…」

 ミリィや姫騎士団プリンセスナイツの皆に動揺が広がっていく。
 うわあ…ポーラ姫の発言は影響力絶大ですね!
 妹たちの俺に対する見る目の変化が怖いです…。

「なるほど、ケイガ兄様も兄様である前に立派な男性ということでしたか。
つまり…女性との口づけを常に求めていたということですね」

 シノブさん!
 俺が”男”であることは貴女は理解していると何度も言った筈なのに、
 今更になってわかったかの様なこと言わないで下さい!
 やはりポンコツですか!
 ポンコツ女騎士さんなんですかシノブさあんっ!
 あと常に求めているとか言わないで!
 まるで俺が性欲の塊みたいじゃないですか!
 俺は常に理性を保とうと必死なんですよ!
 いや出来ることならキスしたいとは思っているので
 間違ってはいないんですけどね!
 俺は25歳童貞…もう色々とすっごく溜まっているんですよ!

「ですがケイガ兄様。
姫様は今のこのエクスラント聖王国の長を務める聖王女です。
セカイを救うために異世界より召喚された戦士である兄様とはいえ、
姫様との口づけは色々と問題を引き起こすかも知れません。
兄様…此処は苦しいと思いますが、その気持ちを抑えて下さいませ」

 おお…姫騎士団プリンセスナイツの団長らしい至極もっともな発言である。
 確かにその通りである。
 俺は兄としてだけではなく、
 そういった立場のある女性であるポーラ姫に対しても、
 軽々しく振る舞ってはいけないのである。
 俺は一人の大人としてシノブさんの言葉に完全に同意した。

「ですからケイガ兄様。
此処は私にその男性としての思いをぶつけ下さいませ。
私相手ならば特に問題は起きませんから」

「えっ?」

 シノブさんはそう言うと自身の指を唇に添えて、俺に向かって微笑んだ。
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