164 / 556
第164話 妹はそれぞれ
しおりを挟む
「うわあ…何よそれ、キモ」
優羽花がぼそりと口走ったツッコミが俺の背中に突き刺さった。
流石は妹歴16年の俺の妹…容赦の無さ振りが違う!
だが妹はそれぞれである。
たとえ…優羽花にはキモいとも言われようが、
ポーラ姫に対しては兄としてこの対応で正しい筈なのだ。
「ああっ…お兄様!」
ポーラ姫は両腕を広げて俺の胸に飛び込んで来た。
ちょっ!?
これはお姫様抱っこと違う!
とりあえず俺は彼女を抱き止めて、
彼女が落ちない様にその背中をがっちりホールドした。
ポーラ姫も俺の背中に手を回す。
う、うん…?
お互いに抱き合って、
まるで情熱的な恋人同士みたいな絵図になってないですかコレ?
「ポーラ姫…そんなに抱き付かれるとお姫様抱っこが出来ないんだが…」
「すみませんケイガお兄様…ポーラ感激の余り思わず」
「それじゃあ、俺がゆっくり腰を下ろすから…」
「はい、お兄様」
「じゃあポーラ姫、足の力を抜いて」
「は、はい…お兄様。んっ…」
「それじゃポーラ、いくぞ!」
「あン! お兄様っ!?」
俺はポーラ姫の身体に両腕を廻し、一気に抱え上げた。
「…お兄、何それ?
何だかいやらしいんですけど?」
優羽花の再度のツッコミが俺の背中に突き刺さる。
ち違うぞ我が妹よ、俺は何もやましいことはしていない!
俺は優羽花の指摘を流してポーラ姫に言葉を掛ける。
「どうだいポーラ姫。
お姫様抱っこの感触は?」
「…はい…素晴らしいですわ…ケイガお兄様…」
ポーラ姫は瞳をうるうるさせて歓喜の言葉を返した。
満足して貰った様で、兄としては何よりである。
「そう言えばお兄様、お姫様抱っことは言いますけれど…
わたくしこの様に抱かれたのはケイガお兄さまが初めてですの」
俺には結構意外な言葉であった。
何しろ”お姫様抱っこ”と、わざわざ呼ばれているのだ。
正真正銘のお姫様であるポーラ姫なら、
既に何度も経験があると思っていたからである。
なるほど…所詮は創作物に中での行為であって、
実用的なものでは無かったのかも知れないな。
「わたくし、初めてお姫様抱っこされたのがケイガお兄様でよかったです」
うっ…かなりどきっとする発言。
やめてください童貞歴25年の俺はしんでしまいます。
「お兄様…」
ポーラ姫はその美しい瞳を潤ませながら、俺の眼を覗き込むように見つめる。
俺は既視感を感じた。
あれこの展開は…前にも…?
「…どうぞ…」
ポーラ姫はその可憐な吐息が感じる距離にまで俺の顔に寄ると、
目を閉じてその可憐な唇を差し出した。
優羽花がぼそりと口走ったツッコミが俺の背中に突き刺さった。
流石は妹歴16年の俺の妹…容赦の無さ振りが違う!
だが妹はそれぞれである。
たとえ…優羽花にはキモいとも言われようが、
ポーラ姫に対しては兄としてこの対応で正しい筈なのだ。
「ああっ…お兄様!」
ポーラ姫は両腕を広げて俺の胸に飛び込んで来た。
ちょっ!?
これはお姫様抱っこと違う!
とりあえず俺は彼女を抱き止めて、
彼女が落ちない様にその背中をがっちりホールドした。
ポーラ姫も俺の背中に手を回す。
う、うん…?
お互いに抱き合って、
まるで情熱的な恋人同士みたいな絵図になってないですかコレ?
「ポーラ姫…そんなに抱き付かれるとお姫様抱っこが出来ないんだが…」
「すみませんケイガお兄様…ポーラ感激の余り思わず」
「それじゃあ、俺がゆっくり腰を下ろすから…」
「はい、お兄様」
「じゃあポーラ姫、足の力を抜いて」
「は、はい…お兄様。んっ…」
「それじゃポーラ、いくぞ!」
「あン! お兄様っ!?」
俺はポーラ姫の身体に両腕を廻し、一気に抱え上げた。
「…お兄、何それ?
何だかいやらしいんですけど?」
優羽花の再度のツッコミが俺の背中に突き刺さる。
ち違うぞ我が妹よ、俺は何もやましいことはしていない!
俺は優羽花の指摘を流してポーラ姫に言葉を掛ける。
「どうだいポーラ姫。
お姫様抱っこの感触は?」
「…はい…素晴らしいですわ…ケイガお兄様…」
ポーラ姫は瞳をうるうるさせて歓喜の言葉を返した。
満足して貰った様で、兄としては何よりである。
「そう言えばお兄様、お姫様抱っことは言いますけれど…
わたくしこの様に抱かれたのはケイガお兄さまが初めてですの」
俺には結構意外な言葉であった。
何しろ”お姫様抱っこ”と、わざわざ呼ばれているのだ。
正真正銘のお姫様であるポーラ姫なら、
既に何度も経験があると思っていたからである。
なるほど…所詮は創作物に中での行為であって、
実用的なものでは無かったのかも知れないな。
「わたくし、初めてお姫様抱っこされたのがケイガお兄様でよかったです」
うっ…かなりどきっとする発言。
やめてください童貞歴25年の俺はしんでしまいます。
「お兄様…」
ポーラ姫はその美しい瞳を潤ませながら、俺の眼を覗き込むように見つめる。
俺は既視感を感じた。
あれこの展開は…前にも…?
「…どうぞ…」
ポーラ姫はその可憐な吐息が感じる距離にまで俺の顔に寄ると、
目を閉じてその可憐な唇を差し出した。
0
お気に入りに追加
38
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
強奪系触手おじさん
兎屋亀吉
ファンタジー
【肉棒術】という卑猥なスキルを授かってしまったゆえに皆の笑い者として40年間生きてきたおじさんは、ある日ダンジョンで気持ち悪い触手を拾う。後に【神の触腕】という寄生型の神器だと判明するそれは、その気持ち悪い見た目に反してとんでもない力を秘めていた。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
呪われ少年魔法師、呪いを解除して無双する〜パーティを追放されたら、貴族の令嬢や王女と仲良くなりました〜
桜 偉村
ファンタジー
瀬川空也(せがわ くうや)は魔力量が極端に少ない魔法師だった。
それでも一級品である【索敵(さくてき)】スキルで敵の攻撃を予測したり、ルート決めや作戦立案をするなど、冒険者パーティ【流星(メテオロ)】の裏方を担っていたが、あるとき「雑用しかできない雑魚はいらない」と追放されてしまう、
これが、空也の人生の分岐点となった。
ソロ冒険者となった空也は魔物に襲われていた少女を助けるが、その少女は有数の名家である九条家(くじょうけ)の一人娘だった。
娘を助けた見返りとして九条家に保護された空也は、衝撃の事実を知る。空也は魔力量が少ないわけではなく、禁術とされていた呪いをかけられ、魔力を常に吸い取られていたのだ。
呪いを解除すると大量の魔力が戻ってきて、冒険者の頂点であるSランク冒険者も驚愕するほどの力を手に入れた空也は最強魔法師へと変貌を遂げるが、そんな彼の周囲では「禁術の横行」「元パーティメンバーの異変」「生態系の変化」「魔物の凶暴化」など、次々に不可解な現象が起きる。それらはやがて一つの波を作っていって——
これは、最強少年魔法師とその仲間が世界を巻き込む巨大な陰謀に立ち向かう話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
何故か超絶美少女に嫌われる日常
やまたけ
青春
K市内一と言われる超絶美少女の高校三年生柊美久。そして同じ高校三年生の武智悠斗は、何故か彼女に絡まれ疎まれる。何をしたのか覚えがないが、とにかく何かと文句を言われる毎日。だが、それでも彼女に歯向かえない事情があるようで……。疋田美里という、主人公がバイト先で知り合った可愛い女子高生。彼女の存在がより一層、この物語を複雑化させていくようで。
しょっぱなヒロインから嫌われるという、ちょっとひねくれた恋愛小説。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
クラス転移、異世界に召喚された俺の特典が外れスキル『危険察知』だったけどあらゆる危険を回避して成り上がります
まるせい
ファンタジー
クラスごと集団転移させられた主人公の鈴木は、クラスメイトと違い訓練をしてもスキルが発現しなかった。
そんな中、召喚されたサントブルム王国で【召喚者】と【王候補】が協力をし、王選を戦う儀式が始まる。
選定の儀にて王候補を選ぶ鈴木だったがここで初めてスキルが発動し、数合わせの王族を選んでしまうことになる。
あらゆる危険を『危険察知』で切り抜けツンデレ王女やメイドとイチャイチャ生活。
鈴木のハーレム生活が始まる!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる