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第161話 魔鋼製鎧の機能
しおりを挟む俺は地ノ宮流気士術の気功弾の技、
『流星』を撃ち放った。
いくら速いシノブさんでも、
この至近距離では躱し切る事は出来まい。
だいぶ気を抑えて放ったので致命傷にはならないだろうが、
それでもダウンさせるぐらいの威力はある筈である。
ちなみに俺の剣もシノブさんたち姫騎士団の剣も、
組手稽古用の魔法が任意で掛けられる様になっており、
直撃しても大事には至らない様になっている。
まあ切れないだけで当たると凄く痛いことには変わりは無いのだが。
シノブさんは左手を自身の真正面に据えた。
左手を身代わりにして全体へのダメージを減らすつもりか?
「盾!」
シノブさんの掛け声と共に彼女の左手の籠手が一瞬で盾に変形した。
そして俺の『流星』を受け止めて完全にかき消した。
「なっ!?」
鎧の左手の装甲部分が瞬く間に盾に変形した?
魔鋼製鎧にはそんな機能もあるのか?
何てカッコイイんだ…実に男の子好みの鎧だなあと俺は思った。
「ケイガ兄様、お覚悟を!」
魔鋼製鎧の機能に見惚れた俺に向かって、
シノブさんは剣を構え高速で駆ける。
…まずい、このままでは!
俺は両足に集中させた気を爆発的に噴射させて高速で飛翔、
その場を緊急離脱した。
『地ノ宮流気士術・二の型、飛燕(ひえん)・改』
空高く舞い上がった俺はそのまま両手をかざす。
「地ノ宮流気士術・五の型改二、流星雨!」
俺の両手のひらから放たれた気のエネルギー弾は無数の散弾となって、
流れ星の雨の如くシノブさんに降り注いだ。
この気功散弾による無差別範囲攻撃は、
その魔鋼製鎧の機能である『盾』でも全ては防ぎきれない筈。
そして気功弾の幾つかはシノブさんの纏う鎧に突き刺さった。
散弾ゆえに一発一発のダメージは大したことは無いが、
足を停めるだけの威力は有る。
シノブさんの動きはその場に釘付けになった。
そして周囲一帯に無量に突き刺さった気功弾は
地面の土を吹き上げて砂煙を巻き起こし、
シノブさんの完全に視界を遮った。
俺は気を探りシノブさんの位置を正確に見極めると、
拳を振るい彼女の手から剣を叩き落とす。
そして、丸腰になったシノブさんを俺はすかさず、お姫様抱っこした。
「よしシノブさん!
俺が先にお姫様抱っこしましたよ!
この勝負はこれにて終了ですね!」
俺はシノブさんに有無を言わせず勝利宣言をした。
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