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第160話 俺の尊厳を守るために
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「さあ、ケイガ兄君様…どうぞ楽にされて下さい」
重厚な鎧に身を包んだ、姫騎士団の団長シノブさんが
俺に向かって両手を広げながら迫って来る。
俺は強烈な既視感を感じた。
そう、先日の大浴場で俺は似たような状況になっているのである。
シノブさんは度々俺を追い詰めるなあ…
うん、ドSキャラかな?
しかし俺はこのままシノブさんにお姫様抱っこされる訳にはいかないのだ。
そうなれば俺の兄としての、そして男としての尊厳が粉々に撃ち砕かれてしまう。
…だから俺は両足に気を集中させると床を全力で蹴って真横に跳んだ。
そして全速で此の食堂から逃げ出した。
「はっ!」
俺は食堂を飛び出して城内を駆け抜けて一気に中庭へ逃げ込んだ。
ここまで来れば…。
「…どこへ行こうというのです? ケイガ兄様」
俺の真後ろに全身鎧姿の女騎士がぴたりと寄り添って問い掛けた。
なっ…早いっ!?
俺は急ぎ身体を反転させてシノブさんに向き直る。
其処へ彼女の籠手に包まれた手が伸びて来る。
ここでお姫様抱っこをするつもりですかシノブさん!?
俺は拳を構えると彼女の手を撃ち払う。
「うおおおお!」
俺とシノブさんの拳が激突する。
凄まじい速度の連撃の応酬。
そして互いに相手と反対側へ跳ぶと、
間合いを取り直した。
シノブさん、剣だけでは無く格闘技にも心得があるのか?
そしてその足の速さ。
彼女と拳を交えるのは此れが初めてではあるが、
流石は強者揃いの姫騎士団を統べる団長ということか。
「シノブさん、素手でも充分に強いんですね。
正直俺はびっくりしましたよ」
「いえいえ、私など徒手空拳ではケイガ兄様には到底及びませんよ。
ですから、剣を使っても良いですか?」
「別に良いですけど…そこまでしてシノブさんは俺を黙らせて、お姫様抱っこをしたいんです?」
「でしたら抵抗せず私に抱かれて下さい」
「真顔で何言ってるんですか!
俺は貴女にお姫様抱っこされるわけにはいかないんですよ!
兄としての…男としての…尊厳を護るためにね!!」
「そうですか…では行きます、ケイガ兄様!」
シノブさんは腰の剣をすらりと抜くと俺に向かって一陣の風の如く駆ける。
速い!?
俺は身体を逸らし彼女の鋭い一刀を躱す。
シノブさんは流れる様に剣を振るう。
凄まじい速度。
俺は最小限の動きで躱しながら勝機を探す。
そして腰の中剣右手で引き抜くと彼女の剣を受け止めた。
一瞬でもその鋭い剣技を止められればそれで充分。
俺は空いた左手をシノブさんに向けてかざした。
「地ノ宮流気士術・五の型、流星!」
俺の手のひらから放たれた気のエネルギー弾が、
流れ星の如き超高速度でシノブさんに向かって突き進んだ。
重厚な鎧に身を包んだ、姫騎士団の団長シノブさんが
俺に向かって両手を広げながら迫って来る。
俺は強烈な既視感を感じた。
そう、先日の大浴場で俺は似たような状況になっているのである。
シノブさんは度々俺を追い詰めるなあ…
うん、ドSキャラかな?
しかし俺はこのままシノブさんにお姫様抱っこされる訳にはいかないのだ。
そうなれば俺の兄としての、そして男としての尊厳が粉々に撃ち砕かれてしまう。
…だから俺は両足に気を集中させると床を全力で蹴って真横に跳んだ。
そして全速で此の食堂から逃げ出した。
「はっ!」
俺は食堂を飛び出して城内を駆け抜けて一気に中庭へ逃げ込んだ。
ここまで来れば…。
「…どこへ行こうというのです? ケイガ兄様」
俺の真後ろに全身鎧姿の女騎士がぴたりと寄り添って問い掛けた。
なっ…早いっ!?
俺は急ぎ身体を反転させてシノブさんに向き直る。
其処へ彼女の籠手に包まれた手が伸びて来る。
ここでお姫様抱っこをするつもりですかシノブさん!?
俺は拳を構えると彼女の手を撃ち払う。
「うおおおお!」
俺とシノブさんの拳が激突する。
凄まじい速度の連撃の応酬。
そして互いに相手と反対側へ跳ぶと、
間合いを取り直した。
シノブさん、剣だけでは無く格闘技にも心得があるのか?
そしてその足の速さ。
彼女と拳を交えるのは此れが初めてではあるが、
流石は強者揃いの姫騎士団を統べる団長ということか。
「シノブさん、素手でも充分に強いんですね。
正直俺はびっくりしましたよ」
「いえいえ、私など徒手空拳ではケイガ兄様には到底及びませんよ。
ですから、剣を使っても良いですか?」
「別に良いですけど…そこまでしてシノブさんは俺を黙らせて、お姫様抱っこをしたいんです?」
「でしたら抵抗せず私に抱かれて下さい」
「真顔で何言ってるんですか!
俺は貴女にお姫様抱っこされるわけにはいかないんですよ!
兄としての…男としての…尊厳を護るためにね!!」
「そうですか…では行きます、ケイガ兄様!」
シノブさんは腰の剣をすらりと抜くと俺に向かって一陣の風の如く駆ける。
速い!?
俺は身体を逸らし彼女の鋭い一刀を躱す。
シノブさんは流れる様に剣を振るう。
凄まじい速度。
俺は最小限の動きで躱しながら勝機を探す。
そして腰の中剣右手で引き抜くと彼女の剣を受け止めた。
一瞬でもその鋭い剣技を止められればそれで充分。
俺は空いた左手をシノブさんに向けてかざした。
「地ノ宮流気士術・五の型、流星!」
俺の手のひらから放たれた気のエネルギー弾が、
流れ星の如き超高速度でシノブさんに向かって突き進んだ。
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