160 / 556
第160話 俺の尊厳を守るために
しおりを挟む
「さあ、ケイガ兄君様…どうぞ楽にされて下さい」
重厚な鎧に身を包んだ、姫騎士団の団長シノブさんが
俺に向かって両手を広げながら迫って来る。
俺は強烈な既視感を感じた。
そう、先日の大浴場で俺は似たような状況になっているのである。
シノブさんは度々俺を追い詰めるなあ…
うん、ドSキャラかな?
しかし俺はこのままシノブさんにお姫様抱っこされる訳にはいかないのだ。
そうなれば俺の兄としての、そして男としての尊厳が粉々に撃ち砕かれてしまう。
…だから俺は両足に気を集中させると床を全力で蹴って真横に跳んだ。
そして全速で此の食堂から逃げ出した。
「はっ!」
俺は食堂を飛び出して城内を駆け抜けて一気に中庭へ逃げ込んだ。
ここまで来れば…。
「…どこへ行こうというのです? ケイガ兄様」
俺の真後ろに全身鎧姿の女騎士がぴたりと寄り添って問い掛けた。
なっ…早いっ!?
俺は急ぎ身体を反転させてシノブさんに向き直る。
其処へ彼女の籠手に包まれた手が伸びて来る。
ここでお姫様抱っこをするつもりですかシノブさん!?
俺は拳を構えると彼女の手を撃ち払う。
「うおおおお!」
俺とシノブさんの拳が激突する。
凄まじい速度の連撃の応酬。
そして互いに相手と反対側へ跳ぶと、
間合いを取り直した。
シノブさん、剣だけでは無く格闘技にも心得があるのか?
そしてその足の速さ。
彼女と拳を交えるのは此れが初めてではあるが、
流石は強者揃いの姫騎士団を統べる団長ということか。
「シノブさん、素手でも充分に強いんですね。
正直俺はびっくりしましたよ」
「いえいえ、私など徒手空拳ではケイガ兄様には到底及びませんよ。
ですから、剣を使っても良いですか?」
「別に良いですけど…そこまでしてシノブさんは俺を黙らせて、お姫様抱っこをしたいんです?」
「でしたら抵抗せず私に抱かれて下さい」
「真顔で何言ってるんですか!
俺は貴女にお姫様抱っこされるわけにはいかないんですよ!
兄としての…男としての…尊厳を護るためにね!!」
「そうですか…では行きます、ケイガ兄様!」
シノブさんは腰の剣をすらりと抜くと俺に向かって一陣の風の如く駆ける。
速い!?
俺は身体を逸らし彼女の鋭い一刀を躱す。
シノブさんは流れる様に剣を振るう。
凄まじい速度。
俺は最小限の動きで躱しながら勝機を探す。
そして腰の中剣右手で引き抜くと彼女の剣を受け止めた。
一瞬でもその鋭い剣技を止められればそれで充分。
俺は空いた左手をシノブさんに向けてかざした。
「地ノ宮流気士術・五の型、流星!」
俺の手のひらから放たれた気のエネルギー弾が、
流れ星の如き超高速度でシノブさんに向かって突き進んだ。
重厚な鎧に身を包んだ、姫騎士団の団長シノブさんが
俺に向かって両手を広げながら迫って来る。
俺は強烈な既視感を感じた。
そう、先日の大浴場で俺は似たような状況になっているのである。
シノブさんは度々俺を追い詰めるなあ…
うん、ドSキャラかな?
しかし俺はこのままシノブさんにお姫様抱っこされる訳にはいかないのだ。
そうなれば俺の兄としての、そして男としての尊厳が粉々に撃ち砕かれてしまう。
…だから俺は両足に気を集中させると床を全力で蹴って真横に跳んだ。
そして全速で此の食堂から逃げ出した。
「はっ!」
俺は食堂を飛び出して城内を駆け抜けて一気に中庭へ逃げ込んだ。
ここまで来れば…。
「…どこへ行こうというのです? ケイガ兄様」
俺の真後ろに全身鎧姿の女騎士がぴたりと寄り添って問い掛けた。
なっ…早いっ!?
俺は急ぎ身体を反転させてシノブさんに向き直る。
其処へ彼女の籠手に包まれた手が伸びて来る。
ここでお姫様抱っこをするつもりですかシノブさん!?
俺は拳を構えると彼女の手を撃ち払う。
「うおおおお!」
俺とシノブさんの拳が激突する。
凄まじい速度の連撃の応酬。
そして互いに相手と反対側へ跳ぶと、
間合いを取り直した。
シノブさん、剣だけでは無く格闘技にも心得があるのか?
そしてその足の速さ。
彼女と拳を交えるのは此れが初めてではあるが、
流石は強者揃いの姫騎士団を統べる団長ということか。
「シノブさん、素手でも充分に強いんですね。
正直俺はびっくりしましたよ」
「いえいえ、私など徒手空拳ではケイガ兄様には到底及びませんよ。
ですから、剣を使っても良いですか?」
「別に良いですけど…そこまでしてシノブさんは俺を黙らせて、お姫様抱っこをしたいんです?」
「でしたら抵抗せず私に抱かれて下さい」
「真顔で何言ってるんですか!
俺は貴女にお姫様抱っこされるわけにはいかないんですよ!
兄としての…男としての…尊厳を護るためにね!!」
「そうですか…では行きます、ケイガ兄様!」
シノブさんは腰の剣をすらりと抜くと俺に向かって一陣の風の如く駆ける。
速い!?
俺は身体を逸らし彼女の鋭い一刀を躱す。
シノブさんは流れる様に剣を振るう。
凄まじい速度。
俺は最小限の動きで躱しながら勝機を探す。
そして腰の中剣右手で引き抜くと彼女の剣を受け止めた。
一瞬でもその鋭い剣技を止められればそれで充分。
俺は空いた左手をシノブさんに向けてかざした。
「地ノ宮流気士術・五の型、流星!」
俺の手のひらから放たれた気のエネルギー弾が、
流れ星の如き超高速度でシノブさんに向かって突き進んだ。
0
お気に入りに追加
38
あなたにおすすめの小説
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜
八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。
第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。
大和型三隻は沈没した……、と思われた。
だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。
大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。
祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。
※異世界転移が何番煎じか分からないですが、書きたいのでかいています!
面白いと思ったらブックマーク、感想、評価お願いします!!※
※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※
日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊
北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。
異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話
kaizi
ファンタジー
※しばらくは毎日(17時)更新します。
※この小説はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。
※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
異世界帰りのオッサン冒険者。
二見敬三。
彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。
彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。
彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。
そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。
S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。
オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?
大和型戦艦、異世界に転移する。
焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。
※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。
貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!
やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり
目覚めると20歳無職だった主人公。
転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。
”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。
これではまともな生活ができない。
――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう!
こうして彼の転生生活が幕を開けた。
異世界転生 我が主のために ~不幸から始まる絶対忠義~ 冒険・戦い・感動を織りなすファンタジー
紫電のチュウニー
ファンタジー
第四部第一章 新大陸開始中。 開始中(初投稿作品)
転生前も、転生後も 俺は不幸だった。
生まれる前は弱視。
生まれ変わり後は盲目。
そんな人生をメルザは救ってくれた。
あいつのためならば 俺はどんなことでもしよう。
あいつの傍にずっといて、この生涯を捧げたい。
苦楽を共にする多くの仲間たち。自分たちだけの領域。
オリジナルの世界観で描く 感動ストーリーをお届けします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる