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第157話 食後のお姫様抱っこ
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「ごちそうさま」
俺は食後の挨拶をして朝食の時間を締めくくった。
美味しい朝食だった。
食材に、調理してくれた人に、感謝である。
「ケイガ兄様、はやく」
俺が朝食を食べ終わるのを待っていたモミジが、
待ち切れ無くなったのか俺の手を取って引っ張った。
彼女は常に大きなおにぎりを携帯しているぐらい良く食べる子であるが、
それとは裏腹にその背丈は小さく、
姫騎士団で最も最年少で小柄なツツジに次ぐ体躯である。
俺は彼女を抱き上げた。
「わあ兄様、高い…」
モミジはいつもより目線が高くなったことに感動している様だ。
「兄様はいつもこんなに高い目線でセカイを見てる?
小さいモミジはここまでセカイを見通せない。
とても羨ましい。
…ご飯いっぱい食べて、
モミジは早く成長して大きくなりたい」
なるほど、彼女が沢山食べるのはそういう理由があったのか。
「モミジがご飯いっぱい食べて大きくなったら、
そうしたら兄様と同じ目線になれる。
兄様とモミジきっとお似合い」
最後にちょっとどきりとした言葉を聞いた気がする。
俺はモミジを床に下ろした。
「さあ兄君様。
次はボクの番だよ」
ミリィはそう言うと俺に向かって優雅に一礼してから手を差し出した。
おっとこれは手を取ればいいのかな?
俺はミリィの手を取ると頭を下げて一礼を返す。
そしてミリィの身体をふわりと抱え上げた。
「へえ…これが書物等で聞くところのお姫様抱っこというものかぁ…。
ああ…これは…なかなか…気持ち良い…ね…。
…えへへ…」
ミリィはとても満足している様で、
俺の腕の中にその身を委ねた。
しかし、突然我に返ったかの様に身体をびくりとさせて俺に叫んだ。
「…いやこれは違うんだ兄君様!
別に兄君様の腕の中が気持ち良くて思わず夢見心地になっているとか、
そういう訳では無いのだよ!
ボクは一時的な快楽に溺れるとかそう言うことには決してならないんだ!
絶対に!
絶対にね!
これはあくまで学者的見解から見る客観的な判断をする為に、
兄君様に一時的に身をゆだねたという訳であってね…
書物での描写と比較して差異が無いかを確認していたんだ。
ボクは常に物事を冷静に見すえているのだよ!
…ちょっと聞いているのかい!?
兄君様っ!!」
顔を真っ赤にして俺に問いかけるミリィ。
「いやあ別に一時の快楽に身を委ねてもいいじゃないか?
ミリィは年頃なんだからそういうことも仕方が無いだろう。
そんな言い訳しなくても大丈夫だ。
俺は全然気にしないから」
「ケイガ兄君様あ! ボクの話を信じてよおーー!!」
ミリィの絶叫が食堂に響き渡った。
俺は食後の挨拶をして朝食の時間を締めくくった。
美味しい朝食だった。
食材に、調理してくれた人に、感謝である。
「ケイガ兄様、はやく」
俺が朝食を食べ終わるのを待っていたモミジが、
待ち切れ無くなったのか俺の手を取って引っ張った。
彼女は常に大きなおにぎりを携帯しているぐらい良く食べる子であるが、
それとは裏腹にその背丈は小さく、
姫騎士団で最も最年少で小柄なツツジに次ぐ体躯である。
俺は彼女を抱き上げた。
「わあ兄様、高い…」
モミジはいつもより目線が高くなったことに感動している様だ。
「兄様はいつもこんなに高い目線でセカイを見てる?
小さいモミジはここまでセカイを見通せない。
とても羨ましい。
…ご飯いっぱい食べて、
モミジは早く成長して大きくなりたい」
なるほど、彼女が沢山食べるのはそういう理由があったのか。
「モミジがご飯いっぱい食べて大きくなったら、
そうしたら兄様と同じ目線になれる。
兄様とモミジきっとお似合い」
最後にちょっとどきりとした言葉を聞いた気がする。
俺はモミジを床に下ろした。
「さあ兄君様。
次はボクの番だよ」
ミリィはそう言うと俺に向かって優雅に一礼してから手を差し出した。
おっとこれは手を取ればいいのかな?
俺はミリィの手を取ると頭を下げて一礼を返す。
そしてミリィの身体をふわりと抱え上げた。
「へえ…これが書物等で聞くところのお姫様抱っこというものかぁ…。
ああ…これは…なかなか…気持ち良い…ね…。
…えへへ…」
ミリィはとても満足している様で、
俺の腕の中にその身を委ねた。
しかし、突然我に返ったかの様に身体をびくりとさせて俺に叫んだ。
「…いやこれは違うんだ兄君様!
別に兄君様の腕の中が気持ち良くて思わず夢見心地になっているとか、
そういう訳では無いのだよ!
ボクは一時的な快楽に溺れるとかそう言うことには決してならないんだ!
絶対に!
絶対にね!
これはあくまで学者的見解から見る客観的な判断をする為に、
兄君様に一時的に身をゆだねたという訳であってね…
書物での描写と比較して差異が無いかを確認していたんだ。
ボクは常に物事を冷静に見すえているのだよ!
…ちょっと聞いているのかい!?
兄君様っ!!」
顔を真っ赤にして俺に問いかけるミリィ。
「いやあ別に一時の快楽に身を委ねてもいいじゃないか?
ミリィは年頃なんだからそういうことも仕方が無いだろう。
そんな言い訳しなくても大丈夫だ。
俺は全然気にしないから」
「ケイガ兄君様あ! ボクの話を信じてよおーー!!」
ミリィの絶叫が食堂に響き渡った。
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