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第155話 朝食の時間

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「あっ!
イロハってばケイガ兄様にお姫様抱っこされてる!」

「シダレ、これはあたくしが望んだものでは無くってよ!
不可抗力と言うものですわ…。
あ、いいえ兄様?
別にイヤだったと言う訳ではありませんのよ!
皆に見られるのが恥ずかしいというだけですわ。
兄様の逞しい腕に抱かれるというのはとても心地よくて、
二人っきりでなら何時までもこのままで居たかったですわ!
…って、何を言ってますのあたくしは!
ああ恥ずかしいですわ…」

イロハはそう言葉を述べると真っ赤になった顔を両手で覆った。
どうやら喜んで貰えた様で、兄としては感無量である。

「イロハいいな! いいな!」

 シダレは羨ましそうに俺とイロハを見ている。

「…何か騒がしいけどどうしたのシダレ?
まあ、ケイガ兄様とイロハ…これは…羨ましい…」

「わー、ケイガ兄様のお姫様抱っこ良いですねー」

 厨房からイチョウとモミジが出て来て俺たちに言葉を掛けてきた。
 今日の朝ごはんの当番はシダレ、イチョウ、カエデの三人だった様である。
 そして三人は俺とイロハを羨望の眼で見ている。
 ああ、これは…。
 俺は即座に自分がすべきことを理解すると、シダレ達に言葉を掛けた。

「…三人とも、お望みだったらお姫様抱っこするかい?」

「「「はーい!!! ケイガ兄様!!!」」」

 三人の姫騎士団プリンセスナイツの声が見事にハモった。


 イロハを下ろした俺は、シダレ、イチョウ、カエデを次々とお姫様抱っこする。

「わあ、兄様の腕って細身に見えてけっこう筋肉質なんだね!」

「まあ、私をそんなに軽々と持ち上げて…流石は兄様、たくましい」

「兄様ー、カエデとても気持ち良いでーす」

 三人とも喜んで頂けたようで兄としては何より。
 そしてシダレ達は素早く厨房へと戻ると、
 出来上がっていた朝食を食堂のテーブルへと並べ始めた。
 俺は自分の席に座った。
 イロハ達もそれぞれ自分の席に座る。

「おはようございます、ケイガお兄様」

「おはよう兄君様あにぎみさま

「おはようございます兄様」

ポーラ姫、ミリィ、シノブ団長もやって来てそれぞれ自分の席へと座る。

「おはよう、お兄!」

「おはよう兄様」

 続いて優羽花ゆうかとモミジもやって来て自分の席へと座った。

 この宮殿の厨房内には専門の宮廷料理人も居るのだが、
 姫騎士団プリンセスナイツも交代で調理当番をしている。
 そしてポーラ姫とミリィも調理当番をしているらしい。
 王族も騎士も一通り料理が出来てこそ一人前という主旨で、
 みんな日々料理の実戦修業に勤しんでいるとのこと。
 そして自分たちの食べるものは自分達で準備するという事で、
 毒殺などの防犯上からも万全としているとのことである。
 なるほど、高貴な身分であれば
 そういう方向からも食事には気を配る必要があるんだなと俺は思った。

 そして食堂のテーブルに全ての料理が並べ終わり、
 今日の朝食当番のシダレ達も自分の席に着いた。

 このホウリシア城での食事は、
 ポーラ姫、ミリィ、姫騎士団プリンセスナイツ、そして俺と優羽花ゆうかが一同揃って取るのである。
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