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第153話 キメ声とキメ顔で

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「それではケイガお兄様、どうぞお受け取り下さい」

ポーラ姫は俺にファイズ殿下の剣を手渡した。
俺は姫の前に屈んで一礼し、両手を掲げて謹んで受け取った。

「ありがとう、ポーラ姫」

 こうして俺はファイズ殿下の剣を譲り受けた。
 この聖王国の第一王位継承者が使っていただけのことはあり、
 相当な業物の剣である。
 久方振りに剣を握る俺の手にもしっくりと来て、
 まるで俺の手足の一部と化したかのように自由自在に取り回すこと出来た。
 この剣の性能も手伝って、
 先の姫騎士団《プリンセスナイツ》との組手稽古で
 俺は半年間の引き籠りと言うブランクがありながらも、
 皆の鋭い攻撃を防ぎ切る事が出来たという訳である。

「シノブ。
これをファイズお兄様の王墓に供えてください。
わたくしは今日を持って…ファイズお兄様を休ませてあげたいと思います」

「姫様、了解しました」

 ポーラ姫はそう言うと自身の胸から
 ファイズ殿下の写真の入ったロケットを取り出し、
 首からチェーンを外してシノブさんに手渡した。

 あのですねポーラ姫さん!
 今ちょっとおっぱい見えたんですけど?
 ぼろんって!?
 ぼろんって擬音がしましたよ!!
 前も思いましたけど何その谷間?
 まるでアニメですよね!
 異世界プリンセス凄い!
 異世界プリンセス凄いよおおおー!!
 あなた何で俺の前でいつもそんなに無防備なんですか!?
 25歳童貞の俺を殺す気ですか!?
 いやもう死んだ!!!!

 俺は内心で絶叫した。
 生粋のおっぱい星人である俺に取って、
 ポーラ姫のロイヤルおっぱいは何度見ても慣れるものではないのだ。

「ケイガお兄様…わたくしは貴方と一緒に未来へと歩みますわ。
だからどうかわたくしを…放さないで下さいね」

 ポーラ姫はそう言うと…
 屈んでいる俺の顔をその胸で包んで、
 そのまま抱き寄せた。
 
 彼女の心のよりどころはファイズ殿下であり、
 その胸に掛けていた殿下の写真入りのロケットであったのだ。
 だが今日を持ってそのロケットを外し、
 替わりに俺をその胸で抱きしめることによって…
 新たな門出の儀式としたのであろう。

 でもですねポーラさん…
 俺は今、貴女の凄い大きなロイヤルおっぱいにですね…
 直接顔に触れてですね…
 いや挟まれていると言っても良いですね…
 えっとこれって…
 もしかして…
 漫画やゲームで言う所の
 ”ぱふぱふ”とか言う奴なんじゃないですかね??
 そんなものは現実で存在しないんじゃ無かったんです!?
 あったよ!
 楽園は本当にあったんだ!
 異世界凄いいいいいい!!

「…きゃうン!
ケイガお兄様…あの…胸に息がかかってこそばゆいです…。
すみませんお兄様、
もしかしてわたくしの胸が息苦しかったですか?」

「…いや、そういうことでは無いんだ。
他よりも大切なことが…いや何でも無いよ」

「?」

 うん、そういうことではないのですよポーラさん!
 あなたも羞恥心とかそういうものが、
 ちょっとばかり欠如している気がするのですけれど…。
 いや兄と妹ならそういうことは感じないということですか?
 確かに長年連れ添った兄妹ならばそうですね。
 ですが俺はとあなたとの兄妹歴は昨日から始まったばかりなのです。
 最初からフルスロットルのスキンシップはご遠慮いただきたいところです。
 俺の兄の心が壊れちゃうのでっ!

 俺は内心絶叫しながらも、
 その動揺を全く顔に出さずにすくりと立ち上がった。
 そしてポーラ姫の手を取った。

「ああ、ポーラ姫。
俺は兄として…君の手を放したりはしない」

 俺はポーラ姫の綺麗な瞳を覗き込むように見つめながら、
 キメ声とキメ顔で言葉を返した。
 そうしなければ…
 目線も意識もポーラ姫のおっぱいに全て持ってかれてしまうからである。
 
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