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第150話 ツンデレに対して

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「待たせたなイロハ。
何がともあれ…妹に不快な気持ちを抱かせてしまったのは兄である俺の落ち度。
だから全力でその償いをさせてもらおう!」

 俺はそう言って両手を伸ばすと、
 イロハを問答無用で抱き上げた。
 ツツジ、クレハに続き、
 この異世界エゾン・レイギスで三人目のお姫様抱っこである。

「ちょ…ちょっとケイガ兄様っ!
いきなり強引ですわよ!」

「いやあ、イロハには言葉よりもまず行動かなと思ってな。
それともお姫様抱っこは嫌だったか?
だったら下ろすけど?」

「い、嫌じゃありませんわ!
ですが兄様…
あたくしにも心の準備がありますのよ?」

「ははっ、ごめんなイロハ」

「…別に良いですけれど」

「よし、朝の稽古も終わったことだし城内に帰ろう。
そろそろ朝ごはんの時間だしな。
そうそう…イロハには色々と妹として不満な気持ちにさせてしまったからな。
だから俺にもう少しサービスをさせて欲しい。
このまま抱っこで食堂まで運んであげよう」

「ちょ、ちょっとケイガ兄様っ!
辞めてくださいまし!
恥ずかしいですわ!」

「まあまあそう言わずになあ」

 俺はイロハを抱きかかえたまま場内へと向けて歩き出した。

「…兄様、さっきからちょっと強引過ぎですわよ?」

 イロハは頬を赤らめながら、不満そうに口を尖らせている。

 うむ、確かに俺もイロハに対しては
 ちょっと強気な対応をしているなあと実感した。
 イロハはツンデレ気味であり、
 俺の妹歴16年の優羽花ゆうかのツンデレに通じるところがあるからであろうか?
 何だかこう…優羽花ゆうかの様なツンデレな物言いに対して、
 俺はちょっと意地悪をしたい気持ちになってしまうというか…。
 でもイロハは優羽花ゆうかでは無い。
 俺は彼女に対する振る舞いを反省する。

「ごめんなイロハ、嫌だったら下ろすけど?」

「…別にこのままでも宜しくてよ」

 うん、こういうところがすごく優羽花ゆうかに似ているんだよなあ。

「それにしてもケイガ兄様は格闘技だけでは無く、
剣の腕も一流なのですね。
このクレハ、恐れ入りました」

 俺たちに続いて歩くクレハが言葉を述べる。

「…ツツジも凄いと思いました…」

 同じく続いて歩くツツジも同意の言葉を述べた。

「あたくしの細身剣レイピアの必殺の突きもたやすく受け止めてしまいましたわ。
剣も使えるなんて、もしかしてケイガ兄様は万能兄様ですの?」

 俺の両腕に抱かれながら言葉を述べるイロハ。

「ははっ、別にそんなたいしたものじゃないさ。
俺の使う地ノ宮流気士術ちのみやりゅうきしじゅつ
元々使う武器は選ばない。
状況に応じて臨機応変に戦い方を使い分けることが求められる武術なんだ。
俺は様々な武器を使った戦い方も一通り会得している。
ただあくまでも俺の戦い方の主体は格闘技だからなあ。
剣はあくまで相手が武器を持っていた場合、
補助的に使うのが俺の戦いのスタイルだな。
まともに剣のみでやりあったら、
武器を使う事が主体のみんなには敵わないと思うぞ。

…あとは、この剣が良い業物というのもあるかな?」

 俺は腰に差した中剣ミドルソードを見やった。
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