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第147話 妹格差
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俺の拳の一撃で空中に跳ね跳ばされたツツジ。
彼女に向かって俺は大地を強く蹴り上げて飛翔すると、
そのか細い身体を抱き止めてそのまま着地した。
いわゆるお姫様抱っこという姿勢である。
「これで俺の勝ちだな。そしてツツジ、お疲れ様」
「…はふぅ…やっぱり…兄様…凄かったです…ツツジじゃ全然敵わなかったです…」
「そんなことは無いぞ?
クレハとイロハと組んでいるときは
俺はツツジの気配をほとんど感じ取れなかった。
ツツジひとりだけになって俺に余裕が出来たから、
全力で精神集中してやっとわかったんだ。
前のお風呂の時からそう思ってはいたんだが、
実際戦ってみて
改めてツツジの暗器騎士の気配を消す技は凄いなと思った。
俺はもっと修練を積んで、
ツツジの気配もちゃんと感じられる様に成らないとダメだよなあ。
…だからこれからも稽古の相手、お願いしていいかな?」
「…はい…兄様。
よろこんで…」
彼女は長い前髪の間から見える綺麗な瞳を歓喜に潤ませながらにっこりと笑った。
俺もつられて笑顔になった。
うん、可愛い。
可愛いぞツツジ。
やはりツツジは素直妹可愛い。
「ちょっと待ってくださいまし!
ケイガ兄様!
またしてもツツジだけに
えこひいきが過ぎませんこと!?」
「えっ?
イロハ、そんなことは無いと思うんだが。
俺は今回ちゃんとツツジに止めを刺したじゃないか?」
「でも兄様!
拳を撃ち込んで空中に吹き飛ばした後のツツジを
お姫様抱っこで受け止める”あふたーけあー”なんて…
そんな素晴らしいサービスあたくしは受けていませんわよ!
ズルいですわ!
不公平ですわ!
妹格差ですわ!」
「いやしかし、
イロハを倒した時はまだツツジが健在だったしなあ…
そういう余裕は無かっただろう?」
「ケイガ兄様ともあろうともが言い訳がましいですわよ!
其処にどの様な理由があろうとも…
妹であるあたくし本人が、
この様に妹格差の不公平振りを感じるのが何よりもいけないのですわ!」
イロハの怒涛の問い詰めが俺を襲う!
しかし言っていることはもっともであろう。
兄は全ての妹を等しく愛さなければならない。
そう出来ない兄など…兄としては失格も良い所である。
そして俺はこの異世界エゾン・レイギスに飛ばされた最初の日に理解したのだ。
妹たちがいる場で、
その中の妹ひとりに兄として優しく振る舞った場合、
その場に居る妹すべてに
同じ優しさを振る舞わなければならないと云うことを。
俺は抱きかかえていたツツジを下ろすと、
イロハに向かって両手を広げた。
「それじゃあ、次はイロハの番だ」
彼女に向かって俺は大地を強く蹴り上げて飛翔すると、
そのか細い身体を抱き止めてそのまま着地した。
いわゆるお姫様抱っこという姿勢である。
「これで俺の勝ちだな。そしてツツジ、お疲れ様」
「…はふぅ…やっぱり…兄様…凄かったです…ツツジじゃ全然敵わなかったです…」
「そんなことは無いぞ?
クレハとイロハと組んでいるときは
俺はツツジの気配をほとんど感じ取れなかった。
ツツジひとりだけになって俺に余裕が出来たから、
全力で精神集中してやっとわかったんだ。
前のお風呂の時からそう思ってはいたんだが、
実際戦ってみて
改めてツツジの暗器騎士の気配を消す技は凄いなと思った。
俺はもっと修練を積んで、
ツツジの気配もちゃんと感じられる様に成らないとダメだよなあ。
…だからこれからも稽古の相手、お願いしていいかな?」
「…はい…兄様。
よろこんで…」
彼女は長い前髪の間から見える綺麗な瞳を歓喜に潤ませながらにっこりと笑った。
俺もつられて笑顔になった。
うん、可愛い。
可愛いぞツツジ。
やはりツツジは素直妹可愛い。
「ちょっと待ってくださいまし!
ケイガ兄様!
またしてもツツジだけに
えこひいきが過ぎませんこと!?」
「えっ?
イロハ、そんなことは無いと思うんだが。
俺は今回ちゃんとツツジに止めを刺したじゃないか?」
「でも兄様!
拳を撃ち込んで空中に吹き飛ばした後のツツジを
お姫様抱っこで受け止める”あふたーけあー”なんて…
そんな素晴らしいサービスあたくしは受けていませんわよ!
ズルいですわ!
不公平ですわ!
妹格差ですわ!」
「いやしかし、
イロハを倒した時はまだツツジが健在だったしなあ…
そういう余裕は無かっただろう?」
「ケイガ兄様ともあろうともが言い訳がましいですわよ!
其処にどの様な理由があろうとも…
妹であるあたくし本人が、
この様に妹格差の不公平振りを感じるのが何よりもいけないのですわ!」
イロハの怒涛の問い詰めが俺を襲う!
しかし言っていることはもっともであろう。
兄は全ての妹を等しく愛さなければならない。
そう出来ない兄など…兄としては失格も良い所である。
そして俺はこの異世界エゾン・レイギスに飛ばされた最初の日に理解したのだ。
妹たちがいる場で、
その中の妹ひとりに兄として優しく振る舞った場合、
その場に居る妹すべてに
同じ優しさを振る舞わなければならないと云うことを。
俺は抱きかかえていたツツジを下ろすと、
イロハに向かって両手を広げた。
「それじゃあ、次はイロハの番だ」
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