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第138話 結晶

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兄君様あにぎみさま、その子が…いや、その御方が光の精霊様なのかい?」

ベッドの上に仰向けになっている俺のお腹の真上に
ぺたんと座り込んでいる髪から服まで白い幼い少女。
ミリィは彼女を見つめながら俺に問いかけた。

「ああそうだよ。
ミリィは光の精霊を見るのは初めてなのか?」

「光の精霊様は光り輝く幼い少女の姿をしていると
この世界エゾン・レイギスでは昔から聞き伝えられているけど…
実際にお逢いするのは初めてだよ。
光の精霊様は異世界から召喚された人間の前にだけ、
その御姿を現すとされているからね。
このエゾン・レイギスの人間で光の精霊様のお姿を
実際に見たことがある者は稀なんじゃないかな」

ミリィはそう言うと光の精霊に対して、深くこうべを垂れた。

「光の精霊様、このエクスラント聖王国にようこそおいで下さいました。
わたしはミリフィア=シィア=ノースラントと申します。
まずは聖王国を代表して、此処にご挨拶を述べさせて頂きます」

「ノースラント?
エクスラントせいおうこくの摂関公爵家のむすめ?」

「はっ、既に父は引退しておりますので
不肖ながら、わたしがノースラントの公爵を務めております」

「ミリフィア。
わたしはケイガおにいちゃんを闇のせいれいからまもるためにここにいる。
だからわたしにたいしてそのような、
うやうやしい振るまいは不よう。
もっときらくにする」

「…それでは恐れながら…今後はそうさせて頂きます。
そしてこちらで寝ている者がボクの従妹いとこ
エクスラント聖王国の第一王女、ポーラです。
さあポーラ、起きるんだ。
光の精霊様はがこの聖王国に顕現されたんだよ!
エクスラント聖王国の長としてちゃんと挨拶をするんだ!」

「…う、ううん…ミリィお姉様…?
…ひかりの…せいれいさま…?」

ミリィに急ぎ揺り起こされたポーラ姫がうっすらと目を開けた。
そして俺のお腹の上に座っている幼女を見つめた。

「…まあ…とても可愛らしいお子さんですね。
ケイガお兄様。
もしかして貴方がお産みになったお子さんですか?」

「…ファッ!?」

えっ?
何言ってるんですかポーラサン?
筋肉モリモリマッチョマンの変態が出産するコメディ映画とかじゃないんですよ!?

「…はっ!?
つまりこのお子さんは…
わたくしとケイガお兄様が一晩床を共にした結果生まれた…
ふたりの愛の結晶ということですかお兄様っ!?」

「そんな訳あるかあっーー!?」
「そんな訳ないだろうーー!?」

俺とミリィのツッコミが見事にシンクロした。
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