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第134話 偏った知識

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「うーん、ポーラは一度ケイガ兄君様あにぎみさま
謝った方が良いんじゃ無いかな…?
と言うか、その本のせいでポーラの頭の中の兄君様あにぎみさま
ケダモノ扱いになっているのはどうかとボクは思うよ…
ねえポーラ、その本を何処で読んだかは知らないけど、
あまり参考にしちゃダメなんじゃないかな?」

「何を言っているのですかミリィお姉様?
その本は他らなぬお姉様の蔵書にあったものですわ」

「…えっ?
どういうことなんだいポーラ?」

「わたくしはこの聖王国を背負う者としては、
まだまだ未熟も良いところですわ。
もっと経験を積む必要がありますの。
ですが18歳の若輩者の人生経験では年長者の方にはとても敵いません。
そこでわたくしは本を読んで知識を蓄えることにしておりますの。
わたくしの身近で尊敬する方と言えばミリィ姉君様ですわ。
そこでお姉様の蔵書を拝読すれば、
ポーラもミリィお姉様の様に聡明に近付けると思ったのですわ」

「ちょっと待ってポーラ?
それってボクの部屋の本棚にある本を読んだってことだよね?
でもあの本棚は魔術扉で閉められていて、
更にボクが扉に魔術鍵マナロックを掛けているから、
ボクが居ないと勝手には読めない筈なんだけど…」

「お姉様。
わたくしが浄化の魔法が得意という事を忘れてはいませんか?
光の清浄ライトクリアーを応用して
魔術鍵マナロックの掛かっている扉を解除しましたわ」

「えっ…ええっーー!?」

「あっ、もちろん本を読ませて頂いた後は、
わたくしのほうで魔術鍵マナロックを掛けて元に戻しておきました。
わたくし以外にミリィお姉様の本は読まれておりませんわ。
お姉様のプライベートはちゃんと護られてますからご安心くださいね」

「ちょっと待ってよポーラ?
君に勝手に読まれている時点で、
ボクのプライベートは護られていないよね?」

「何を言っているのですかミリィお姉様?
わたくしとお姉様の間で、隠すことなど何もありませんわ」

「いやいやいや、親しき中にも礼儀というものがね?
あれっ…と言う事は?
ポーラはボクの部屋の本は全部読んじゃったということなのかな…?」

「ええ、一通りは目を通しましたわ。
魔術学の本はわたくしにはとても難しかったですけれど…
でも男女の関係を書いた本が結構多くて、
わたくしとても参考になりましたの。
ですがミリィお姉様、男女が裸で抱きあっている絵本は、
ポーラにはちょっと刺激が強すぎましたわ」

「わーわーわー!
ポーラあ!
それ以上は言わないでえーー!!」

 つまりポーラの妙に偏った知識は…
 ボク秘蔵の”私的な趣味の本”が原因だって言うコトなの?
 ボクは自身の失態に頭を抱えた。
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