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第128話 強く動く

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「ミリィ…ミリィ…起きてくれ…」

 俺は隣で気持ち良さそうに眠っているミリィを起こそうと、
 さっきからずっと揺らし続けている。
 だが、彼女は一向に起きる気配が無い…。
 ミリィの眠りは俺が思っている以上に深いということなのだろうか?
 完全に熟睡している?
 これはもっと強く揺らさないと駄目なのか?
 だがこれ以上無理に動かして起こすのは正直気が引ける。

 …しかし俺はこのままの状態で居る訳にもいかないのである。
 このまま美少女二人に挟まれたまま再び眠りに就くという
 図太い神経を俺は持ち合わせてはいない。
 かといってここから脱出しようにも
 二人に挟まれていて逃げ口が無いのである。

 そもそも俺は彼女たちと、
 『ナニも無かった』ことをまだ証明していないのである。
 よしんば、
 『地ノ宮流気士術ちのみやりゅうきしじゅつ・二の型、飛燕ひえん・改』
 を使って空中に飛翔して此処からの脱出に成功したとしても、
 自身の潔白を立証出来ていない身の上では…
 傍から見ると、まるで不誠実な男が逃げた様に見られないだろうか?

 いや俺はナニもしてないですよ!
 する訳が無い!
 俺は25歳童貞だよ!
 そもそも兄が妹にナニをするって言うんだ!
 いい加減にしろ馬鹿!
 …でも俺にはこうなったいきさつがわからない。
 何しろここは異世界なのである。
 つまりその何らかの事態が起きて
 万が一という事もあるかも知れない。
 いや無いと思うけどね!
 とにもかくにも俺は念には念の為、
 二人に話を聞いてその確認をしないといけないのである。

「仕方が無い…ミリィごめん…ちょっと強くするぞ…」

 俺はなるべく負担を掛けない様に気を遣いながら、
 ミリィを揺らす力を少しづつ上げていく。

「ミリィ、ミリィ、起きてくれ…」

「…ふぁあ…」

 おっ、少し反応したぞ。
 よし、もう少し力を入れて動いてみよう。

「…ふぁ…あっ…あっ…」

 俺が力を込めて動くたびに
 彼女のカラダ自体が揺れて、
 そのの可憐な唇から声が漏れる。
 だんだん反応が良くなってきたぞ。
 更に強くしてみよう。

「…あっ…あっ…ああっ…」

 俺の力を込めた動きに呼応するかの様に、
 ミリィの反応する声がだんだん大きくなってきた。
 うん、あと少しかな?
 よしミリィ、悪いけど我慢してくれよ。
 もうちょっとだけ…激しくするからな!

「…ふあっ、ああっ、あああっ! えっ? 兄君様あにぎみさまっ!?」

「ああっ! ミリィー! 起きてくれっー!!」

 俺の力を込めた揺り起こしがついに実を結び、
 ハーフエルフの公爵少女ミリィがようやく目を覚ました。
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